70 ソフィアの動転
久しぶりのお風呂回です。節目の70話がこの話になるとは・・・・・・
元哉は覚悟を決めていた。どうせ逃げ回ってもやつらは必ず追ってくる。ならば正々堂々と迎え撃つのみ!
だが、今までディーナとロージーだけでも苦戦・・・・・・いや戦線崩壊寸前まで追い込まれていたのに、今回は新たな敵が加わることが確実。
それも一度に二人の強敵が増える・・・・・・
ここで元哉は考える事を放棄した。出来る範囲で頑張ろうと勇気を振り絞って戦場に向かう。
そこは皇女が用意した館だけあって豪華な造りの風呂だった。浴槽は一度に10人入る余裕がある。これはちょっとした銭湯だ。
一通り体を洗ってから贅沢に並々と張ってあるお湯に体をつけていく。この後のことを考えなければ『生き返るなー』と一言出そうになるほどその心地は最高だ。
「兄ちゃん! 入るよー!!」
来た! 敵はこの時間を完全に補足していた。まるで見透かしたかのようにピッタリのタイミングで入ってくる。
「元哉さん、お邪魔しまーす!」
さくらに続いてディーナとロージーが入ってくる。この二人に関してはもう諦めている。さくらとワンセットで何とかしのぐしかない。
「あら、やっぱりさくらちゃんが言う通り、元哉君も一緒だったのね」
椿はさくらから一緒に風呂に入って元哉から魔力の供給を受けている事を聞いていた。だから先程元哉に含みのある言い方をしたのだ。
「椿さんまで一緒になって恥ずかしくないんですか?」
元哉は視線を逸らしながらあさっての方向に話しかける。慣れている3人はともかく、彼女を真正面から見る勇気はない。
「全然恥ずかしくないわ。だってこれは借り物の体だし、本体だったらここまでしないでしょうね」
確かに彼女の言う通りこの世界に来て椿が乗り移ったリディアーネの体だ。自分の物でなければ抵抗が無いという事か。
椿が浴槽につかる。その物腰はとてもたおやかで、上品な身のこなしだ。
さくらはいつの間にか元哉の膝の上に座っている。
「兄ちゃん、私のお手柄だよ! 椿お姉ちゃんまで誘ったんだからね。どう? いい眺めでしょう」
兄の心妹知らずとはこの事だ、元哉からしたら迷惑この上ない。
「そういえばフィアちゃんがまだ来ていないね。ちょっと呼んでくる」
さくらは一旦立ち上がって濡れた体のまま浴室の外に出る。
元哉の耳に浴室の外から声が聞こえてくる。
『早くおいでよ!』
『だって元哉さんがいるなんて聞いてないです!』
『大丈夫だよ、みんなでいれば恥ずかしくないから』
『でも無理です!』
『えーい! こうなったら力ずくで!』
こうして無理やりさくらに浴室に連れて来られたソフィアはお湯に体を沈めて小さくなっている。
彼女はどちらかというと線の細いタイプで、胸はロージーと大差ない程度。要するに可もなく不可もなく平均点だった。
大して椿は借り物の体の元の持ち主に恵まれていたようで、ディーナには劣るものの中々立派な物をお持ちだ。
そして元哉の所にはさくらがソフィアを呼びに行った隙をついて二人が忍び寄っていた。
「元哉さん、私はいつでもOKなんですよ! いつになったらちゃんと相手をしてもらえるんですか?」
まず先にディーナが元哉の首筋に抱きついてくる。もちろん全裸なのでその大きな胸は元哉の体に『ギューーー!』と押し当てられている。
反対からはロージーも同じように首に抱きついてくる。
「元哉さん、私も早くしてください。もう待ちきれません!」
彼女の両足は怪しく元哉の右足に絡みついている。
この時点で元哉はギブアップ寸前だった。数を数えようが般若心経を唱えようが全くの無駄である。
「あらあら、元哉君ったら少し見ない間に随分大人になったのね」
浴槽の反対側では椿ののほほんとした声がするが、その声は元哉の耳には届かない。その隣でソフィアは恥ずかしさのあまり手で顔を覆っているが、微妙に指の間が開いている。
「あーあ、二人とも私がちょっと目を放すとすぐこれだよ!」
さくらは呆れて見ているが、この程度は毎度の事なのでわざわざ止めに入る程ではない。
「元哉さん、何か言ってください!」
ディーナが甘い声で耳元でささやくが、元哉はすでにその声に答える事が出来なくなっている。
「元哉さん、私にも何か言ってください」
ロージーも同じようにささやくが、その右手はお湯の中で何かを握り締めているようにも見える。どうやらそのせいで声も出せない状況に追い込まれていたようだ。
やがて元哉のあちらこちらを撫で回していた二人は満足したのか離れていった。彼女達はさっき魔力の補給を受けて一度天に昇っていたので、今日はあっさり目で終わりにした。
「さあ、次はソフィアさんの番ですよ!」
ディーナとロージーが浴槽の隅で小さくなっているソフィアを捕まえる。彼女もずっと魔法学校のメイドとして働いていたため、男性と付き合った経験が全く無かった。
目の前で繰り広げられる元哉と二人の生々しい光景を指の隙間から見て、初々しくも顔を真っ赤にしている。
ただ自分の番と言われても全く心の準備が出来ていない。魔力の供給と聞いていたのになぜ裸で抱きつかなければならないのか意味がわからない。
このような行為に対して興味が無いわけではないのだが、どうしたらよいのか絶賛混乱中だった。
対する元哉はすでに上を向いて口を空けて、いつものように魂が外に飛び出している。
「ソフィアちゃん、リラックスして元哉さんに体を預ければいいんですよ。私が右胸ですからソフィアちゃんは左胸がいいでしょう」
ディーナは訳がわからず『アウアウ』と首を振っているソフィアの体を元哉に近づけていく。
「さあ、ソフィアちゃん! 左胸をゆっくりと元哉さんに近づけてください」
ロージーも後ろから彼女の体を支えて、その胸を元哉の口に近づけていく。
ソフィアは何とか抵抗しようとするが、鍛え方が違う二人に両脇を固められて抵抗のしようが無い。
やがてその先端の可愛らしいピンク色の部分が元哉の口に吸い込まれていった。
「ああーー!」
ソフィアはその刺激にたまらずに顔をのけぞらせる。僅かに残った理性が彼女の中でささやきかける。
「なにこれ! ものすごい純粋な魔力! こんな魔力があったなんて信じられない!」
ここまでは何とか意識を保っていられたがもう限界だった。流れ込む元哉の魔力が体全体に引き起こす快感に全ての思考が停止する。
体を駆け巡る魔力に全ての感覚を委ねて、大波に身を任せるソフィア。
そして大きく体を痙攣させて意識を失った。
その姿を見て『よしよし!』と頷き合うディーナとロージー。さくらはすでに救助体制に入って彼女が溺れるのを防いでいる。この辺の動きは手馴れたものだ。
3人は協力してソフィアを浴室から連れ出して、体を拭いてから毛布でくるんで寝かせた。
浴室には元哉と椿だけが取り残されている。
椿はそっと元哉の隣に寄り添った。そしてその手で彼を優しく抱きかかえる。
「元哉君は相変わらず苦労しているのね」
優しく微笑みながらその顔を見つめる。その表情には慈しみと限りない愛情が溢れていた。それは決してお互いを求める愛ではなく一方的に与える、まるで母が子に与える愛情によく似ている。
元哉は半分意識を失っていたが、自分を包む暖かな感触に迷わずに身を委ねた。それは昔よく知っていたようなしかし全く思い出すことが出来ない、手を伸ばすと消えてしまうような儚い感触。
物心付いてから長い間戦いの場に身を投じた元哉にとっては、ほんの束の間の休息だった。
「こんにちはディーナです」
「ヤッホー! さくらだよ!」
(ディーナ)「さくらちゃん、ついにやりました! 念願のお風呂回ですよ!」
(さくら)「そんなに興奮することも無いでしょう。ディナちゃんそんなに待ち遠しかったの?」
(ディーナ)「はい、この時を首を長くして待っていました!」
(さくら)「それはいいんだけどね・・・・・・フィアちゃんの事に関してあれからはなちゃんの事情聴取があって、『やりすぎだ!』って怒られた上に、反省文を書かされたよ」
(ディーナ)「えー! あの程度の事で反省文ですか?」
(さくら)「いや、よく考えたら嫌がる少女のおっぱ○を無理やり男の口に押し当てた犯罪行為だって」
(ディーナ)「なんださくらちゃん考えすぎですよ! あの程度はこの世界によくあることですって」
(さくら)「そうなのかなー?」
(ディーナ)「そうです、そういう事にしておけばいいんです。都合の悪い事は『ここは異世界ですから』で済ませましょう!」
(さくら)「善良な読者の皆様、只今非常に不適切な発言があったことをお詫びいたします」
(ディーナ)「それにしてもいつになったら元哉さんは私の事を・・・・・・」
(さくら)「ディナちゃん、追いかければ追いかける程逃げていくものがあるんだよ」
(ディーナ)「そんな事はありません! きっと私の魅力で元哉さんをメロメロにしてみせます!」
(さくら)「ディナちゃんはこう言っていますが、よいこの皆さんは絶対に真似しないでください」
(ディーナ)「私が元哉さんをメロメロにしてみせるところを見たい方は感想、評価、ブックマークをお寄せください」
(さくら)「次の投稿は金曜日の予定です」




