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56 アラインの決戦2

決戦のパート2です。今回はさくら無双回になりそう・・・・・・

 ディーナとロージーが元哉にドナドナされていた頃、右側の山岳地帯で突如現れた姿の見えない敵に襲撃されて大混乱に陥っている教国の別働隊がいた。


「うほほーー!」


 さくらはご機嫌な様子でその部隊を蹴散らしている。


 彼女は決して殺人狂ではない。体を動かすことが好きな少女だ。


 ただ、敵には容赦しない事と彼女の攻撃を受けた者が『どうなろうと知ったことではない』という考え方を持っているだけだ。


 その結果としてほとんどの敵が死んでいくことになる。


 木に覆われた山の中は死角が多い。さくらはその死角をうまく利用して、敵には見えない所から次々に攻撃を加えていく。


 元哉からは何も言われていないので、特に手加減はしていない。


 彼女のコブシの一突きで5人がまとめて吹き飛ばされていく。一蹴りで小隊ごと命を刈り取る。


 時にはも擲弾筒交えて効率優先で倒す。


 混乱した別働隊はさくらに全く対処ができない。


 何しろその姿が捉えられない、姿を見た時には自分が宙に舞っている。


 山林の中で戦っている以上、圧倒的にさくらが有利なのだ。もちろん平地でもこの程度の数なら一捻りではあるが。


「一体何が起こっている?」「魔物が現れたのか?」「前方の部隊はどうなっている?」


 進軍が急に停止したことで、後続の部隊の兵士に不安が広がる。もっともその不安は長く続くことはなかった。


 さくらが前方から順に倒しているので、後続の部隊はただ順番待ちをしているに過ぎない。


 その兵士達の目に次々に倒されていく仲間の姿が遠くに映る。そしてかなりの速度で自分達に近づいてきつつあった。


「悪魔が現れた!」


 誰かが叫ぶ。その恐怖は次々に周囲の兵士達を飲み込んでいった。


 誰もが命は惜しい。いくら訓練を受けた兵士でも何の抵抗をする事無く仲間が倒れていくのを見て、平常心ではいられない。


 一人が逃げ出し始めると全員がその後に続いた。


「悪魔だー! 逃げろ!!」


 恐怖に駆られて逃げ出す兵士達、だがその後方にさくらが追いつく。


 追いかけながら擲弾筒を発射して何人かを倒すと、さらに恐慌状態に陥った兵士達は後ろを振り返る事無く逃げ去っていった。


 追いかけてもいいのだが、さくらはそれを放置した。


 彼らが逃げ帰ることで『この山には恐ろしい魔物が住み着いている』といった噂が広まれば、誰も来なくなることを見越した措置だ。


 それに何よりお腹がすいてきた。


 一暴れしたことで満足したさくらは、敵が逃げた事を元哉に連絡して帰投する。


 山林に倒れている兵達は、特殊旅団と回収任務で砦から派遣された兵が片付けることになったいるのでさくらは来た時よりも速度を上げて帰っていった。


 彼女の手で倒された教国兵はこの場に投入された実に3分の1に及んでいた。


「兄ちゃん帰ったよ!」


 うれしそうに帰投の報告をするさくらに元哉は『ご苦労さん』と声をかけた。


 彼の足元にはディーナとロージーが精根尽き果てた様子で仰向けに倒れている。


「なんだ、ディナちゃんとロジちゃんは兄ちゃんと随分楽しそうな事をやってたんだね。午後からは私も混ぜてね」


 さくらの言葉に二人は死んだ振りを続けることしか出来なかった。




 

 先鋒の部隊が壊滅して本陣にまで攻撃を加えられた教国軍は大混乱に陥っていた。


 バリスタから放たれた矢が着弾して大爆発を起こした結果、直撃を受けた大勢の兵が命を失い爆風で飛ばされて怪我をしたもっと多くの兵がそこら中で呻き声を上げている。


 張られていた天幕も全て吹き飛ばされて、着弾地点には大穴が空いてその威力を物語っていた。


 着弾地点から少し離れた所にあった幹部達の天幕もきれいさっぱり飛ばされていて、何人かは軽症を負っている。


「閣下、本陣を後退させることを進言いたします」


 この状況でも冷静さを失わない参謀が将軍に向かって意見を述べる。


「敵の攻撃がいつ襲ってくるかわからぬ状態では食事も取れないな。あと3キロ後退しよう」


 改めて後方に本陣を築いてから部隊の再編と取るべき戦術を考えることにして、教国軍は後ろに下がった。


 だがそこにまたもや悪い知らせが届く。


「報告いたします。両翼に向かった別働隊が約半数の被害を出して撤退しました」


 伝令の報告に幹部達の表情が曇る。正面への攻撃がうまくいかなかっただけに、彼らの働きに期待していた。


 それが半数の兵を失って撤退となると、よほど帝国側に備えがあると見なければならない。


 このまま同じような攻撃を繰り返してもこちらの犠牲が増えるだけの状況に彼らは苦慮していた。


 すでに正面で4000、両翼の山で3000、本陣への爆撃で1500~2000の兵士を失っている。


 まだまともな戦いを行っていに内に教国軍は兵力の1割以上を失っていた。その上多くの怪我人まで抱えている。回復魔法を使える者が全力で手当てをしているが、その数に全く追いついていないのが現状だった。


「ひとつ策があります」


 参謀が提案をする。その場にいる誰もがこれしか方法はないと思った。部隊の編成が終わり次第、攻撃を再開する事が決定される。




「どれ、敵が来なければわれらの仕事もなかろう。見張りの者を残して全軍小休止にしようではないか」


 軍務大臣の言葉に幹部達は頷く。程なく小休止の通達がなされて、要塞の中は張り詰めた空気から解放された。





「いただきまーす!」


 さくらは目の前にある食事にかぶりついている。


 わざわざ彼女のために橘とソフィアが大量に用意したものだ。


 戦場の真っ只中にいるとは思えないほどの豪華な食事にさくらは夢中になっている。  


 ディーナとロージーは食欲がない。午前中の疲労がまだ抜けなくて、せっかくのご馳走が喉を通らなかった。


「ディナちゃんもロジちゃんも食べないなら私がもらうよ!」


 さくらに黙って皿を差し出す二人。


「むほほー、おいしいね!」


 この調子で5人前を食べきったさくらは、まだ物足りなそうな顔をしている。


 そこに橘がパンケーキを差し出すと再びさくらの目が輝く。


「はなちゃん、私が食べたい物をわかってくれてうれしいよ!」


 10段重ねで上にたっぷりの生クリ-ムがトッピングされたパンケーキ×2に『甘いものは別腹』と言いながら口をつけていく。


 その姿を周囲は『本腹も別腹も区別が付かないだろう!』と心の中で突っ込んでいた。


 食後お茶を飲みながらのんびりしていると、さくらがディーナとロージーに不思議そうな顔で問いかける。


「二人ともぜんぜん食べてないけど大丈夫? 私の昼寝が終わったら午後から組み手だよ。体を動かさないとご飯がおいしくないからね!!」


 さくらは覚えていた・・・・・・いや楽しみにしていた。


 その宣告に二人の眼は死んだ魚のようになっていたことは言うまでもない。





 翌日も教国軍は攻めてこなかった。


 これは今までにない編成で攻め込む準備に時間がかかっていたことによる。


 1日暇をもてあましてさくらはまたもやディーナとロージーを組み手に連れ出そうとしていたが、さすがに二人とも朝起き上がれないほどの疲労が残っていたので元哉が止めた。


「さくら、今日は俺が相手をしよう」


 元哉の言葉に大喜びで手を引っ張って訓練場に連れて行く。


 その姿を見送る二人は『早く敵が攻めてこないか』と心から願っていた。





 さらに翌日、満を持して教国軍がやってきた。だが本陣から5キロも移動して来た事で兵士達はすでにかなり消耗している。


 それでも『今日こそは帝国を打ち破る』という決意を胸に秘めて前進してくる。


 彼らは極端に幅が狭くて縦に長い布陣で砦に迫ろうとした。一転突破の縦深陣のようにも見えるが、それにしてもあまりに極端だ。


 だが爆発する矢の攻撃の被害を少なくする意味では効果的に思われた。先日のような密集隊形よりは目標が縦に長くなるので狙いにくさはある。


「攻撃開始!」


 その声に合わせて要塞の屋上から矢が放たれた。


 誰もが敵の前方集団に当たったと思った時、矢は急に向きを変えて敵兵の左右に落ちて爆発した。


 初撃による被害がない事に教国軍の気勢が上がる。


 彼らは兵士達の間に多数の魔法使いを配して、一斉に風の魔法を発動することで矢を左右に散らしていたのだ。


「中々敵も考えるものだな、このくらいやってもらわないと面白くない。下に知らせろ、魔法の風がやんでから一斉攻撃開始だ」


 元哉の指示がすぐに伝わって『準備よし!』の返信があった。


 先程よりも敵兵はだいぶ近づいているが、まだ要塞に取り付くまでは100メートル少しある。


「第2射撃てー!」


 担当指揮官の声で屋上から一斉に矢が放たれるが、再び風魔法で左右に散っていく。


『これならうまくいく!』


 教国軍の兵士は誰もがそう思った。彼らは一斉に突撃の構えを見せる。



「撃てー!」


 突然その声は彼らの前方から聞こえた。それとともに要塞の手前にあった土壁から敵兵が顔を出して矢を放つ。


 教国の魔法使い達は先程の矢を防いでからすぐに詠唱を開始していた。だが前方から放たれた矢を防ぐには時間が足りない。


 教国兵に向かって放たれた矢は、次々に着弾して爆発していった。


 彼らが侵入を阻むための障害物だと思っていた土の壁は、実は塹壕だった。


 1メートルほど掘った穴に潜んでいた兵達が屋上から放たれる矢とは時間差をつけて矢を放つ。


 教国側にはこの攻撃を防ぐすべはなかった。


 縦深陣の前方を殲滅されたのを見てすぐに引き下がる。何しろ貴重な魔法使いを投入しているのだ、彼らをここで無駄死にさせるわけには行かない。


 初日と違って整然と退却していく教国軍、元哉の指示で無駄玉を撃つ必要はないといわれた帝国兵はそれを無言で見送った。


 

「ヤッホー、さくらだよ。私は今出撃から帰ってこれから昼寝をするところなので、このコーナーはお休みです。だってお腹いっぱいで眠いんだよ、勘弁して・・・・・・ZZZ・・・・・・あっといけない、感想、評価ブックマークお待ちしています。次回の投稿は火曜日の予定です。ではおやすみなさい・・・・・・ZZZ」



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