EX・寄生と不思議のダンジョン1
無茶苦茶お久しぶりです。
久しぶりに書きたくなったので書きました。
久しぶりに読んでくれると嬉しいです。
やりたいと思いつつできなかったネタです。
全五話です。
久しぶりすぎて忘れてる人もいそうなので、まずは登場人物紹介を。
エイシ:主人公。寄生スキルを使って人の経験値やお金やスキルを自分も稼げる。
ルー:異世界の女神。おおらか(?)な性格。怪力で女神の道具を色々使えるが……。
アリー:異世界のお嬢様。礼儀正しく真面目で冒険を愛する。土を操るスキルを使える。
それでは本編をお楽しみください。
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俺――エイシが自分の世界と異世界とを自由に行き来できるようになってからしばらくの時がたった。
たまに向こうに行ったり、逆に向こうからアリーやルーやフェリペが来たり、そんな感じで愉快な日々を過ごしていたのだが……。
『ようこそ勇者達よ。君達はこの異異世界の迷宮のプレイヤーとなったのです。その知恵と勇気で道を切り開きたまえ!』
薄青い石造りの迷宮の中で、そんな人工音声が聞こえてきた。
いるのは俺一人だけ。
そして、目の前からはいかにもゲームとかに出てきそうなゴブリンが近付いて来ている。
どうしてこういうことになっているのかというと――。
俺もわからない。むしろ教えて欲しい。
久々にルー達が来たのでひとしきり俺の世界の観光をして、その後今度は俺がルー達の世界に行こうとしたのだが、そこで世界から世界へと移動してるとき、突然視界にノイズのようなものが走ったのだ。
そう思った次の瞬間、俺はこの迷宮にいたというわけである。
一緒にいた人達とも別れてしまった。
「とりあえず……この目の前のモンスターをなんとかするか」
まあこれくらいなんでも倒せるだろう。
魔法の矢あたりでサクッとやるか。
「魔法の矢!」
声は虚しく響きわたった!
「あれ? 魔法の矢!」
しかし何も出ない。
「え? え? ちょっとタイム! ステータス確認!」
【名前】エイシ=チョウカイ
【クラス】パラサイト1
【体力】 8
【攻撃力】 12
【防御力】 8
【魔力】 5
【魔法攻撃力】 10
【魔法防御力】 5
【敏捷】 7
【スキル】 オクタプルパラサイト パラサイト・クラス パラサイト・インフォ パラサイト・ゴールド パラサイト・モンスター パラサイト・ビジョン
なんじゃこりゃー!?
お、俺のステータスが激下がりしている!
寄生して集めたスキルもなくなて元々自分が持ってるパラサイトのスキルしかなくなってるし、これは?
「……はっ、まさかこれって」
謎の迷宮、初期ステータス、一人でスタート、弱いモンスター……これらが意味するところは……。
「不思議のダンジョン?」
『あなたはこのダンジョンを最奥まで進んでいかねばなりません。だがご安心を。倒れても最初からやり直せます。その場合はレベルもアイテムも初期値に戻りますが、再チャレンジは何回でもできるのでご安心を。千回遊べる迷宮となっています』
再び聞こえる人工音声。
なるほど、そういうことか。
どういうわけかわからないけど、能力も道具も持ち込みなしのダンジョンに挑戦するはめになったらしい。
「しかしそれでも俺のスキルだけは奪えなかったようだな。これを活用させてもらうか。『モンスター・パラサイト』!」
俺はゴブリンにパラサイトをしかけ、そして一目散に逃げ出した。
小さなゴブリンはすばしっこいとは言え歩幅が俺とは違うので、全力疾走すればまくことは難しくない。
十分に突き放して、振り返るとゴブリンはいなくなっていた。
あとは、あのゴブリンに頑張ってもらうか。『パラサイト・ビジョン』
パラサイトしたものの視界を共有することができるスキルだ。
これでゴブリンの動向はわかる。あとは頑張ってくれれば、俺に経験値が入ってくるのでウハウハというわけ。
ゴブリンは迷宮をきょろきょろと歩いている。俺を探しているのかもしれない。
しかし結局見つからず諦めた様子で石ころを蹴っ飛ばしながら帰っていく。イライラしているようだ。
とそこに間が悪く羽兎が現われた。これもモンスターみたいだけど、弱そうだ。
あーっ!ゴブリンが羽兎に遅いかかった! 完全に八つ当たりだ!
地面に落ちてた石で殴っている。
羽兎は羽を散らし……ばふんと煙になってきえました。
よくやったゴブリン――と思ったと同時に俺の体のまわりに金色の光が輝いた。
そして視界に浮かび上がるホログラムの文字。
『パラサイトレベルアップ! 1→4』
『クラス取得&レベルアップ! 近接格闘0→3』
『スキル取得:硬い拳(殴った時の自分の拳への反動を軽減する)』
よしよし、ゴブリンにパラサイトしたのが、いい感じに働いたぞ。
なんだか久しぶりの感覚だ。
パラサイトを繰り返して十分強くなった最近は、もうパラサイトすることなかったからなあ。
なんか演出とかスキルとかちょっと変わった気がするけど、この迷宮の仕様なのかな。
普通と違う特別な効果を持った迷宮だし、そんなことがあってもおかしくはない。
「とりあえず、最低限の戦える体勢は整ったね。あとはパラサイトは使えるから、それでうまいことレベルを上げて、スキルを覚えていって攻略していく」
と見込みがたつと、気になるのはやはり。
「ルーとアリーはどうしたんだろう?」
一緒に異世界に移動している時にノイズが走った。
なら二人もここに来ている可能性が高い。
まずは二人を探し出そう。
そして三人でダンジョン最深部まで行き、あの人工音声を設定した何者かの正体を暴き、ここの秘密を明らかにして、そして脱出するんだ。
「レベル1からのスタート、前を思い出してちょっとワクワクするかも」
それじゃあ、ゲームスタートだ!