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君に恋をして・・・  作者: なかすけ
2/5

春名葵

「おはよー!」

また、これか・・・とあきれつつだるそうに

「おはよ~」

と気のない返事を返す。

今の元気な挨拶は1年2組のクラスメイトの春名葵である

彼女と知り合ったのは入学式で、クラス分けを見ているときに話しかけられた。

「児玉遥斗君だよね?

 私、春名葵!よろしく」

今思えばなぜ僕の名前と顔が一致しているのか?と疑問になったりもするが、まぁ、カバンに書いてある名前でも見たのだろうと自己解釈する。

そんな入学式からかれこれ1週間がたち今日は高校生活2週間目の記念すべき1日目だ。中学の時もそうだったが、入学してばかりのころはこの美貌のおかげで女子のほかの男子と僕の接し方の差がかなりある。ただ、2,3日たつとライバルが多いことと僕の気のない返事でほとんどの女子がターゲットを他の男子に変えていく。

4,5日粘る女子も少しいるがやはり2週間目に入ると全員が諦める。はずなのだが、なぜこの春名葵はいまだにこんなに絡んでくるのだろう・・・

「おーい遥斗ーなにぼーっとしてんのー?」

「だから、名前で呼ぶなって!

 ちょっと考え事!」

「へぇ、遥斗も考え事するんだー

 何考えてたの?」

「ひみつーおまえにおしえるかよ」

そろそろ、名前で呼ぶなというのがしんどくなってきて、諦めた。

この僕が根負けするなんて・・

ま、1週間たっても諦めないようなやつだから仕方ないか。

「えー

 てゆーか、お前ってやめてくれない?葵には葵っていう立派な名前があるんで すけど!」

「へいへい立派ですねーお前さん」

「だからいい加減お前って呼ぶのやめてよ。

 葵だって!」

「わかったわかった葵呼ぶよ」

本当に切れられそうになったので、仕方なく妥協した・・・

なんか、おこるとこわそうだなあ。


今週からついに授業が始まる。

今、朝のHRが終わったから1時間目の数学があと数分で始まる。

高校の授業というものがどんなものなのかという好奇心が教室に漂っている。

僕も、その好奇心の持ち主の一人だ。

教室に漂う新しい教科書の香り、全員が1ページ目を開けている光景、黒板でハンクホワイトボード。そのどれもがぼくの好奇心を掻き立てる要素の1つだ。

そうやってあれこれ考えていると、数学の先生が入ってきた。

委員長の起立、気をつけ、礼という号令とともに授業が始まった。

最初は定番の先生の自己紹介だ。

数学の先生は大野翔悟という若い男の先生で自己紹介を聞く限りではとてもフレンドリーな先生で生徒からも「しょーごちゃん」と呼ばれていて、そこそこ人気があるようだ。強豪のサッカー部の顧問をしていて、部活になると人が変わりとても厳しくその様から部活の時は先生の前以外では「鬼しょー兄」と呼ばれているそうだ。5分ほどの自己紹介が終わって授業が始まった。

申し訳ないがここから45分間のことはあまり書けない。県トップの進学校ということだけあって授業のスピードが中学とは比べ物にならない程速い。

なので、自分の集中力を研ぎ澄まして授業を受けていなければ直ぐにわからなくなりそうなので50分間集中力を研ぎ澄まし頭フル回転で授業を受けた。

授業が終わり10分間の休憩時間になるとそれが自分だけでないことがよくわかった。クラスの全員がヘトヘトの表情をしているのだ。やや安心し、ヘトヘトと椅子に座り込んだ。

が、どうやらクラス全員ではないことがわかった

「遥斗ー。高校最初の授業たのしかったねー♪」

葵の声だ。

一瞬耳を疑った。今の授業はお世辞にも楽しいと思えるものではなかったからだ。僕も勉強をたのしいと思うことはあるが、今の授業では正直そんな余裕がなかった

「え、おまえヘトヘトならないの?」

「ヘトヘト?なんで?」

「いや、だって授業のスピードめっちゃ速かったし・・・」

「そーかなー?」

「・・・」

こいつは怪物か?

いや、でもいかにも馬鹿そうな顔してるし・・・

あ、きっと数学がずば抜けて得意なんだ!

きっとそうだ!

どーせ次の物理が終わったあとにはヘトヘトであんな明るさは消え失せていることだろう。

と、勝手な自己解釈をしていると、物理の先生が入ってきた。

あれこれ集中していると、またあっという間に授業が終わった。

50分の授業がまるで10分いや。5分に感じられた。

挨拶をしてまたヘトヘトになって椅子に座り込んだ。

こんなのがあと4時間も続くのか?いや無理だ絶対頭がパンクする。あー保健室にいって昼休みまで寝てようかな?いや、だめだそんなことをしたら頭の中の父の理想の遥斗が出てきてしまう。学校でもうひとりの自分を見られるのはまずい。くそ、授業受けるしかないのか・・・

あ、そうだ!葵は!?

そういえば喋りかけてこないきっとヘトヘトになって机に突っ伏しているのだろう。やはりいくら根性があっても限界はあるものだ。そう思って葵の席を向いた

「うわあああああああああああああ」

振り向くと目の前にあったのは葵の顔だった」

「ねーねー物理の授業どうだった?

 ていうか今のひとりごとなに?もうひとりの自分がどうたらこうたらゆってた

 けど」

「あー気にすんな。独り言」

「そーわかったー」

意外と単純だな扱いやすい

「てか、いま物理楽しかったってゆった?」

「ゆったけどー?」

「え」

まてまて自分整理しろ。

いま俺は授業のスピードについていくにが大変でへとへとだ。

それに比べこのいかにも馬鹿そうな葵が楽しかったと余裕のコメントだ

どういうことだ?


・・・・・



そうか!きっと強がってるんだな!

なるほどじゃあきっと昼休みの頃にはクタクタで僕に喋りかける元気なんてないはずだ!きっとそうだ!





     4時間目終了~

だめだ、頭ぶっ飛びそう。

こんなのが毎日続くのか?宿題がないだけましではるが、きっとみんな復習するんだろうな・・・ていうか家で復習しなかったら明日の授業ついていけねーじゃん。あーあなんでこんな学校入ったんだよ

(父さんのメンツを潰さないためだよ

 地方議会議員の子供が県トップの学校に入ることなんてあたりまえだよ?)

もうひとりの自分の声だ。

ゆっていなかったが彼の名前は春人という。

(へいへい。わかってるよ)

春人にはなるべく反論しないほうがいい。

なのでいつも流している。

あっ!葵は?

こんどは探す手間がいらなかった

「遥斗ー!

 昼ごはん食べに行こう!」

「葵さ、なんでそんなに元気あんの?」

「え?私とたべるのいや?」

「いや、そうじゃなくて、

 クラスのみんなも俺も授業のスピード速すぎてくたくただよ?

 なのに、なんでこんなに元気あるのかなあーっておもってさ」

「え、みんなクタクタなの!?」

ひょっとしてこの子鈍感か?てか、前から思ってたけど鈍感だな。

「うん」

「そうだったんだーぜんぜん気づかんかなかったー

 うーん、なんか不思議と疲れないんだよね~」

「え、葵こないだの実力テスト何位?」

「1位だよ~♪」

「えっ!?まじで?」

「うんー♪」

やっと理解したこれまでは葵が馬鹿だと思い込んでいたが、どうやら見かけによらずとんでもなく賢いらしい・・・

「はやく昼ご飯いこー!」

「あ、うん」



6時間目終了


ε=(・д・`*)ハァ…。おわった。

なんとか、頭が破裂せずにすんだよ・・・

すると帰りのHRが始めるために担任の白井優奈先生がはいってきた。

脳が完全にシャットダウンしてしまい。白井先生の話を全く覚えておらず。

気づいたらHRが終わっていた。

「おーいおーーーい」

「あっ!」

「何ぼーっとしてんの?

 部活動見学はやくいこーよ」

こいつやっぱ怪物だわ・・

「部活動見学?なにそれ?」

「え?先生の話聞いてなかったの?」

「あ、そーだったね!」

てきとうにごまかした。

今の会話からしてどうやら放課後は自由に部活動見学ができるそうだ。

しかし、僕は父の方針で部活には入らないので帰ろうと思った。

「いや、俺部活はいらないからー

 もう帰ろうかな?」

「えー部活はいらないの?

 遥斗の部活のマネージャーになろうと思ってたのに・・・」

「ちょちょ、なんで俺の部活のマネージャーなの?」

「え、まーまーいいじゃん気にしない」

こいつ俺のこと好きなのか?

「遥斗が部活はいらないんだったらいいやー」

「じゃ、いっしょに駅まで行くか?」

「え、遥斗からの初めてのお誘い!?

 もしかして私に気があるんでしょー?」

「ねーよ。早く帰るぞ」


駅までの道のり。

学校から駅までは徒歩15分ほどだ登校中は一人なので長く感じるが、下校は入学してから毎日葵と一緒なのでなぜか会話に没頭してしまいあっという間だった。


「じゃーね。またあしたーまたlineするねー!」

「いや、lineできねーって!」

「あっそっか。わかったじゃーね。」

といい葵は電車に乗り込んでいった。

lineできないというのは家では遥斗ではなく春人だからだ。

あいつと僕は別人なので当然返信も変わってしまう。

記憶は共有しているものの、あいつの存在を誰かに気づかれるのはまずい。

そうやって色々なことを考えていると自分の降りる駅に着いた。

駅から家までは徒歩で20分ほどだ。

家まで淡々と歩きついに家の前についた。

玄関に入った瞬間入れ替わるとなると毎日のこととはいえやはり緊張する。


よしっ!入るぞ


グラっという衝撃と明るい閃光が走る。

目を開けるとなんだかふわっとした感覚がした。

春人との付き合いはもうすぐ3ヶ月になるがやはりなれない。


「ただいま」

「学校はどうだったんだ?」

父恭一郎の声だ。

体がビクリとし、鳥肌が立つ・・・

そして意識が薄れていく・・・・


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