349列車 「かがやき」に乗ろうよ
シフト表を見ているといろいろと休みの過ごし方っていうのを考えるのだ。その中でも一番困るのが連休である。仕事に就いてからというもの連休は何度かあったが、やはり過ごすのには困る。嬉しい悲鳴ってやつだろう。
「久しぶりに連休が重なるわね。」
萌がそう言った。
「重ねたんでしょ。」
僕はすかさずそう言った。10月のシフトをくみ上げるときの休み希望で重ねていたからなぁ・・・。
「エヘヘ。でもいいじゃない。時にはこういうのがあってもさぁ。」
「まぁ、そうだけどねぇ・・・。」
「先月連休の希望出してたんだし、どこか行く予定でも立ててるんでしょ。」
萌はそう言ったけど、そんな計画があるわけでもない。だから、
「別に。」
と答えた。
「珍しい。大概どっか行きたいって思ってたから休み希望出したのかと思った。」
そんなに意外だって思わなくても・・・。
「でも、連休なんだし、どっか言ってもいいんじゃないの。広島とか、高知とか、神奈川とか。」
(なんでそこなのかなぁ・・・。まぁ、何時か行きたいけど・・・。)
「少なくとも高知は無いね。高知だったら3連休ぐらいあったほうが気が楽だし。広島も神奈川もいく計画すらないよ。」
「1時間あればできちゃうくせに。」
「・・・。」
それには何も答えなかった。確かに、どこかに行こうと思った瞬間に計画の骨組みを考えて後で肉付けするのに、そんなに時間はかかっていない。でも1時間はさすがに盛り過ぎだよ。
「ていうか、なんでそんなにどっかに行こうって話持ちだすの。」
そう聞いた。
「だってせっかく休みが合うんだし、どっか行きたいじゃない。映画とかさぁ。」
「・・・映画はパス。」
「興味あるのやってないって。ていうか、今上映している映画知らないでしょ。」
「そこはどうでもいいじゃん。」
うん、確かに知らないんだけどね。映画見るなら「○の覚醒」とかがいい。「ブリッジ・オブ・〇」とか。「○レンジ」は・・・多分、萌が行こうって誘ったりとかしたら見に行くっていうこと以外考えられない。とはいっても自分から映画館に行くことがないか・・・。
「・・・そう。あっ、じゃあ北陸新幹線に乗りたいんだけど。」
「えっ・・・。」
「ダメ。」
萌は僕に顔を近づけて、首をかしげる。すっごく可愛いんですけど・・・。
「ダメじゃないけど・・・。どう乗るかによって違うよ。先に北陸をまわるのか、東京に回るかで。」
そんなに大きな違いではないのだけどね。
「そんなの東海道から先に回るに決まってるじゃない。」
即決だった。
「3月に285キロにスピードアップしてから一度も乗ってないんだから、当然それに乗るに決まってるでしょ。」
そう言えば、僕もスピードアップしてからの東海道新幹線には乗ってないなぁ・・・。
となると回り方はこれで決定した。東海道新幹線で時速285キロを出すのは東京着毎時33分の「のぞみ」と早朝の「のぞみ200号」、「のぞみ202号」と東京行き最終となる「のぞみ64号」だけである。これの中で最速の2時間22分で走破するのは「のぞみ64号」だけだが、これに乗るとそこで1日が終了するため、2時間23分で走破する「のぞみ200号」か「のぞみ202号」のどちらかに乗ればよい。
「じゃあ、東京に着いて北陸新幹線は何に乗るの。」
「「かがやき」一択でしょ。」
「・・・。」
時刻表を見ると東京に8時23分に到着して、接続する「かがやき」は8時36分発の「かがやき505号」だ。そのあとは9時32分発の「かがやき507号」、10時32分発の「かがやき509号」となり、そのあとに東京を出発する「かがやき」は16時24分発の「かがやき511号」までない。
「かがやき」は北陸新幹線を最速2時間28分で走破する。それに該当するのは「かがやき509号」である。だが、それに拘らなければ「かがやき505号」でも「かがやき507号」でもよい(どちらも所要時間は2時間34分)。
「どれに乗る。」
「これでしょ。」
萌はそう言って「かがやき507号」を指した。
「すぐには東京でないの。」
「どうせ、ナガシィE6系とかあの「つばさ」とかみたいでしょ。」
「「とれいゆ」は東京来ないけどね。」
でも、これで大体の骨組みは出来上がった。
京都から新幹線には乗る。京都6時14分発「のぞみ200号」または6時17分発「のぞみ202号」東京行きに乗車、東京8時23分または8時26分着。北陸新幹線の東京9時32分発「かがやき507号」金沢行き、金沢着12時06分。金沢で少し時間を潰すと考えて、北陸本線の特急「サンダーバード」は早くて13時56分発の「サンダーバード26号」大阪行き。京都着は16時09分だ。
「早く切符買いに行こう。」
萌に促されるように部屋を出た。
E1系
E2系
E3系
E4系
E5系
E6系
E7系
5、6は日本語の方がしっくりくる。




