342列車 羽幌
稚内を出るとそろそろヤバくなって来たガソリンを入れた。41リットルガソリンを食べ、高槻の運転でここから先に歩みを進める。国道40号線に入り、豊富バイパス、幌富バイパスを90キロ以上のスピードで飛ばす。
バイパスはほとんど車がない。前にいる車も後ろから追いついてくる車も数が知れている。それだけ走る車も少ないということなのだろう。
幌富バイパスの終点はここから先に続くことが露骨に分かる構造だった。その先の木は切り倒され、2車線よりも少々広い道路が建設できるだけの幅ある。まぁ、ここから先に高規格バイパスが出来るのはこれから何年後の話なのだろうか・・・。それは気にしないでおこう。
そこを右に曲がり、国道40号線まで出る。国道40号に出ると天塩川を渡る端まで道なりに進み、最初に来る交差点で国道232号に入る。
ここから先も北海道では鉄道の無いところを通ることになる。と言ってもそれは今に限った話である。この先にも行こうやいかにも走っていたと思える設備は見えるはずである。沿道に見える土木構造物の遺構は全てその名残だ。
幌延から日本海側を通っていた鉄道線は羽幌線と呼ばれていた。羽幌線は留萌まで延び総延長141キロ、結構長いローカル線である。しかし、北海道で有名なローカル線である美幸線とか、広尾線とか、天北線とかインパクト有るのが多すぎて、羽幌線に何か特筆することがあるのかと言われるとそうでもない。日本一の赤字を逆手にとって客呼び込もうとするとか、「愛国駅」、「幸福駅」ってセールスにもってこいな駅名とか、日本最北端のブルトレが走るわけでもないからなぁ。
国道232号に入り、しばらく走ると道路が対面から片側2車線の道路になる。そこで天塩の町に入る。そのすぐ近くに目的地である道の駅「てしお」はあった。14時45分かそこらまで稚内駅周辺にはいたが、今の時間は15時40分。バイパスを結構な速度で飛ばしたために効果が出たのだろうか。カーナビに表示する時間を見ても次の道の駅富士見までの間は法定速度通りに行っても約25分。いや、絶対法定60キロよりは10キロ速い70キロぐらいで走るだろうから、実際の所要時間は25分よりは多少なりとも短くなるか。そして、その次の富士見から道の駅ロマン街道しょさんべつまでの所要時間は法定速度通りでも約20分。ここで買ってくる時間に5分たしてもロマン街道しょさんべつの通過は16時35分ごろ。ここ「てしお」と「富士見」の営業終了時間が17時でも十分すぎる。
だが、何があるか分からないので、富士見まではすぐに駒を進めた。富士見の到着は16時30分少し前に到着。これでようやっと落ち着いた。
のだが、ここでまた行き当たりばったりの法則ともいうべきことが発動した。なんと目的地のほっとはぼろの近くにはホテルがないというのである。そのために次の苫前に目的地変更である。
富士見で少しの間ゆっくりし、次のほっとはぼろに向かった。ほっとはぼろの到着は17時20分ごろになった。
「疲れた。」
今治がそう言った。
「お疲れ。」
「乙.」
「はい、お疲れさん。」
「お疲れ。」
そう声をかけた。
「ちょっとほっとはぼろ見て来るわ。時間もそろそろだしここら辺でご飯食べといたほうがいいでしょ。」
といい、ほっとはぼろの中に入った。7階とかにレストランがあるため、そこでご飯を食べて降りる。
エントランスホールにおかれているある券売機が目に入った。
「何。ナガシィ、お風呂でも入りたいの。」
萌が聞いてきた。
「えっ、だって、昨日あれじゃあねぇ・・・。ちょっとは体の芯から温まりたいなぁって思って。」
「おっ、いいじゃん。」
高槻は賛成した。
「温泉かぁ。まぁ、これから泊まるのが民宿じゃあなぁ・・・。ていうか、入っちゃおう。」」「えっ、でもでっかいタオルは持って来てないよ。」
「いや、券売機バスタオル売ってるから、あれかってカウンターとかに出せば貸してくれるんじゃない。」
「へぇ、じゃあ私もはいろ。今治君鍵貸して。着替えとか持ってきたいから。」
「あっ、俺もとり行くから一緒に行くよ。」
「で、百済はどうする。」
「僕は待ってるよ。」
「待ってると長いよ。」
「・・・じゃあ、入ろうかな・・・。」
というわけで決まりだ。タオルは持って来てもバスタオルはさすがに持って来ていないから、券売機でバスタオルと入浴券を買う。それをカウンターに見せるとタオルが手渡され、浴場に向かった。
30分後。
「はぁ、すっきりした。」
萌が出てきてこれで全員・・・そろってない。
「あれ、ナガシィとかまだ入ってるの。」
百済に聞いた。
「うん、入ってるみたいだよ。」
「それにしても百済君早く出たんだね。」
「僕はそんなに長く入るつもり無かったからね。ちょっと使ってすぐに出てきたよ。高槻も結構早く出てきたけど、今治君と永島君は結構長いこと入ってるね。」
「まぁ、流石にもうでて着替えてるんじゃない。」
と言っていたら、今治もナガシィも出てきた。
「こっちこっち。」
手を振るとそれに気づいて近づいてきた。
「お待たせ。」
「萌が早いって珍しいね。もうちょっとかかると思ってた。」
「早くないわよ。今出てきたところだから。」
「ふぅん。ところでさぁ萌、僕って太ったかなぁ。」
「へっ・・・。」
(そんなに変わってないと思うんだけどなぁ・・・。)
「ナガシィ、こっそりでいいから体重何キロだったのか教えて。」
ナガシィをつついてそう言うとナガシィは誰にも聞こえないように小さい声でさっきは勝ったと思われる体重を言った。
「痩せからちょっと健康的な身体になっただけじゃん。」
「でも・・・。」
「あのねぇ、それダイエットしてる人に言ったら嫌味にしか聞こえないから。」
(あれ・・・萌ちゃんってダイエットしてたっけ・・・。)
「でも、重くなるって気になるじゃん。」
「メタボじゃないし、気にしなくていいから。」
はてさて、体重計では駆られた永島の体重は何キロだったのやら・・・。
温泉やら何やらあるところはホテルも併設しているみたい。でも、彼らにとっては高いことに変わりない。




