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MAIN TRAFFIC3  作者: 浜北の「ひかり」
Office Episode
46/69

338列車 What's that?

 新千歳(しんちとせ)を10時過ぎに発って、すぐに道央道に入る。

「北海道の道走るのは久しぶりだけどやっぱり北海道の道は走りやすいなぁ・・・。」

今治(いまばり)はそう言いながら、アクセルを踏み込む。借りたレンタカーの助手席に僕が座り、後に(もえ)高槻(たかつき)百済(くだら)が座る。レンタカーのスピードメーターは早くも100キロに到達している。

 高速を走り出すとインターチェンジやサービスエリアを示す緑色の看板が目に入ってくる。

「あの輪に厚って書いてあるところで一旦止まって、ナガシィ君に運転変わるわ。」

今治(いまばり)は言った。

「あの輪に厚ねぇ・・・。」

「ここで、突然ですが問題。」

今治(いまばり)はそう言った。デデン。

「あのサービスエリアなんて読むでしょうか。」

そう言った。その時点で何かと察しがついた。「わあつ」とかそんな読みはしないんだな。

「そう出す時点で変な読みだろ。」

高槻(たかつき)がすぐにそう言った。

「そうだよ。なんて読むと思う。」

今治(いまばり)君、ヒントはないの。」

「ヒントだしたら面白くないでしょ。」

まぁ、確かにそうかな・・・。

 さてさて、北海道の地名はアイヌ語由来のものが多く、そのほとんどは当て字である。そのため、漢字からは想像もつかないような読みをするものが多々ある。「長万部」=「おしゃまんべ」、「足寄」=「あしょろ」、「興部」=「おこっぺ」とか訳が分からないもいいところである。

「じゃあ、今治(いまばり)。これって発寒(はっさむ)みたいに狙ってるけ。」

僕はそう聞いてみた。発寒(はっさむ)は読み仮名のとおりであるが、某アニメのモンスターと同じ名前ってなぁ・・・。とはいっても、あれを作った人がこれを知っているかどうかというよりもそんなこといちいち考えて命名してないか。偶然の一致だろうな。

「ああ、そう言う方面で。狙ってるっていえば狙ってるかなぁ・・・。調べてみて、面白そうだからだしてるけど、すごい読みだったよ。」

「うーん・・・。」

方向性は分かったものの、浮かんでこない。輪と厚だからなぁ・・・。普通だったら、「リンアツ」とか、「ワアツ」とか、「リンコウ」とか、「リンアツ」とかなりそうだが、それじゃあまんますぎる。

百済(くだら)どう。」

今治(いまばり)はまず百済(くだら)に振った。

「ちょっと分かんないよ。」

ですよねぇ・・・。北海道の難読を初見で読めたら、それこそ北海道に住んでいたとかそういう人だろうな。

「僕も浮かんでこないね。「ワアツ」ぐらいしか。」

僕は匙を投げた。全く浮かんでこないのだ。浮かんでこないなら仕方がない。

「ナガシィ君無理。」

「無理だな・・・。高速はよく知らないから。」

「そうかぁ、高槻(たかつき)はどう。」

「どうって言われてもなぁ・・・。出て来るかよ。アイヌ語の当て字なんて。」

「ですよねぇ・・・。(もえ)ちゃんはどう。」

「うーん、やっぱり「ワアツ」でしょ。それで発寒(はっさむ)みたいに狙ってるって言ったら、「ワッツ」とかあったら面白そうじゃない。ほら、「ワアツ」って言葉として言い辛くない。」

「せーかーい。」

今治(いまばり)の言葉に思わず、

What’s(ワッツ)。」

僕、高槻(たかつき)(もえ)の声が揃う。百済(くだら)の反応は前からはよく分からない。

「そうだよ。これ輪厚(わっつ)って読むんだよ。」

Pardon(パードゥン)?」

「もう一度お願いできます。」って中学校1年ぐらいの教科書に載ってるよね。

「これ、輪厚(わっつ)って読むんだよ。」

Pardon(パードゥン)?」

とかネイティブ相手にあんまり使うなとか言われてるけど、そんなことはお構いなし。

「だから、輪厚(わっつ)って読むの。輪厚(わっつ)って読む。大事なことなので2回言いました。」

輪厚(わっつ)なの。マジで。」

「マジです。」

「・・・まぁ、北海道らしいっていえばらしいか・・・。」

 さてさて、問題にもなった輪厚(わっつ)サービスエリアに止まり、そこで運転を変わる。それから道央道をひた走り続け、前回の旭山動物園の寄るために下りた旭川北インターチェンジを通り過ぎ、そのまま走る。比布ジャンクションから道央道を外れ、その先に延びる旭川紋別道に入る。

 後になって調べたが、旭川紋別道は並走する国道450号のバイパス路線であるらしい。制限速度はそれらしく70キロであるが、料金を取らないという以外、道央道の対面通行と何ら変化がない。そのため七日何なのかは知らないが、ほとんどの車は時速90キロぐらいで走っていく。こちらも車の流れを止めないように90キロ近いスピードで走っている。

 途中、「しらたき」によりそこで目的のカントリーサインを購入。運転を僕から高槻(たかつき)に渡し、旭川紋別道の今のところの終点である丸瀬布で降りる。そして、近くにある「まるせっぷ」に立ち寄る。

 そして、ここから先の運転は(もえ)に変わった。

「この先はバイパスみたいなのは無いの。」

「無いね。旭川紋別道はここまでだしね。」

「・・・そうか・・・。ナガシィみたいに130キロじゃあ走れないのかぁ・・・。」

「それ、一瞬しか出してないからね。」

本と一瞬だよ。前の車を抜かす1分ぐらいの間だよ。

「まっ、いいよ。見たところ法定速度は書いてないし、70キロで飛ばしても文句は言われないね。」

速度制限の標識がないからって勘違いはよくない、ちゃんと制限速度がある。免許を取った人ならちゃんと覚えているだろうが、看板の無い道路の法定速度は60キロである。まぁ、70キロも厳密に言えば制限速度超過にはなるが、そこまで警察はうるさくない。だいだい制限速度を守ってない車が多いのだからね。

 さてさて、「まるせっぷ」から「サロマ湖」まで道道を巡航70キロで飛ばしていく。たまに出てくる民家近辺の40キロとかの表示に邪魔くさいとか思いながら、車はオホーツク海に向け進んだ。


思わず聞き返したくなる地名勝手にナンバーワン。

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