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MAIN TRAFFIC3  作者: 浜北の「ひかり」
Office Episode
39/69

331列車 GG

「間もなく終点、金沢(かなざわ)金沢(かなざわ)です。」

このアナウンスが流れるころにはすでにデッキにいた。

「来ちゃった・・・。」

(もえ)はそう呟いた。

「来ちゃったな・・・。」

そう言いながら外を見る。外にはあの時とは様変わりした金沢(かなざわ)の姿がある。在来線の隣にあるのは開業を間近に控えた北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)の高架京都終点となる金沢(かなざわ)駅である。

「あれが北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)かぁ。ようやっとここまで開業するんだね。」

「そうだね。」

「長いよねぇ。長野新幹線(ながのしんかんせん)で開業したのは97年だから、ここまで15年以上かかってることになるわね。」

「まぁ、ほとんどの人は北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)が延びるなんて思ってないだろうね。新しく北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)が開業するっていう認識だと思うけどね・・・。」

「そこはいいんじゃない。北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)が延びても、新しく開業しても、金沢(かなざわ)まで新幹線がつながることには変わりないんだしさ。」

「・・・。」

その通りである。

 さて、北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)今年3月の開業によって高崎(たかさき)から長野(ながの)を経由して金沢(かなざわ)まで結ぶようになる。初開業は高崎(たかさき)長野(ながの)間の通称長野新幹線(ながのしんかんせん)が最初になる。その後建設を着々と進め、3月、長野(ながの)金沢(かなざわ)間の部分開業に至る予定だ。

 ややこしい話だが、今まで長野新幹線(ながのしんかんせん)として慣れ親しんできた新幹線は北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)が正式名称で、前述のとおり通称であって正式ではない。あの通称が使われてきたもっともな理由は北陸まで行かないからである。ただ、北陸新幹線(ほくりくしんかんせん)の案内に長野(ながの)経由が使われたりする今(2015年9月現在)を見ると長野新幹線(ながのしんかんせん)のもたらした影響は結構大きいらしい。そりゃ15年以上長野新幹線(ながのしんかんせん)で通してきたわけだから、当然か・・・。

 金沢(かなざわ)のホームに降り立つと、冬の空気が身を包んでくる。しかし、前に北海道とかに行っているためか、仕事で夜走っているためかそれほど体に負担となっているとは思えない。慣れってやつだろうか。

「ねぇ、ナガシィ。何が来ると思う。」

(もえ)は僕にそう問いかけた。

「何が来るって。3種類しかないでしょ。」

「そうだけどさ。何が来るか楽しみじゃない。」

「・・・でもさぁ・・・。」

「夢の無いこと言わないの。」

「いや・・・だって・・・。」

「予定が組まれてるは私も知ってるよ。でも、知らないで来たんだから、何が来るかぐらい予想したっていいじゃない。」

(もえ)はそう言った。

 何が来るかって、乗れたらいいじゃないで終わる人からしてみればかなりどうでもいいことなのであるが・・・。特に今回は160キロが体験できればいいわけで・・・。だが、乗るんだったらレアな方に当たりたいという思いはある。

 特急「はくたか」で運用されているのはJR西日本がもつ681系、北越急行(ほくえつきゅうこう)の681系2000番台と683系8000番台だ。JR西日本の681系には「WHITE(ホワイト) WING(ウィング)」のロゴが、北越急行(ほくえつきゅうこう)の681系・683系には「SNOW(スノー) RABBIT(ラビット) EXPRESS(エクスプレス)」のロゴが入っている。塗装もJR仕様は窓と同じ位置に灰色、窓下に青い帯が入り、北越急行(ほくえつきゅうこう)仕様は白ベースに赤のラインが目立つ。

 両社はそれぞれ完全に分けて運用されていない。そのため、基本編成6両+付属編成3両の併結パターンは数多く存在する。そして、多数派はJ西の681系。少数派は北越急行(ほくえつきゅうこう)の「スノラビ」である。

「681のJ西。」

「えー、そこは「スノラビ」じゃない。」

「でも、「スノラビ」は基本、付属合わせて6編成しかないよ。それに自由席のある基本編成だけに絞れば3本。先ず来ないって。」

僕はそう言った。

「それでも「スノラビ」来てほしいでしょ。どうせ乗るんだったらそっちの方がいいじゃん。」

「それはそうだけど・・・。」

「ならそれでいいじゃん。」

「・・・。」

 しかし、現実そんなに理想の通りにはいかないものである。入線してきたのはJR西日本仕様の681系だった。まぁ、そうなるよねぇ・・・。

 だが、これで目的は達成したと同じである。

 「はくたか」は順調に北陸本線(ほくりくほんせん)を走っていく。北陸本線(ほくりくほんせん)内は「サンダーバード」と歩調を合わせたようなスピードで走るが、直江津(なおえつ)に停車し、犀潟(さいがた)を通過するとその状況は一変する。「はくたか」はぐいぐいとスピードを上げる。ほくほく線内に入ると「はくたか」は高速進行現示を受け160キロまで加速する。高架橋の上を疾走するさまは新幹線さながらである。外から見てもどこか0系に似た丸みのある流線型のボディと白を基調にした配色がそれを引き立てているであろう。

「160キロって案外早いね。」

「在来線に乗ってるとこうも早く感じるんだな・・・。新幹線だったら早いとは思っても思ったより早いって思うことまずないしね・・・。」

「言える・・・。ていうかそれって、私たち新幹線の速さに慣れ過ぎてるってことかな・・・。普段仕事でもしたから270キロで通過する奴見てるし・・・。」

「・・・そうかもね。」

 この在来線の新幹線が走るのはあと2か月くらいしかない。そうなれば「はくたか」は廃止になり、ほくほく線内を走る特急は無くなるばかりか北陸本線(ほくりくほんせん)金沢(かなざわ)直江津(なおえつ)間はJRから切り離される。此処で使われている電車も動くことになるが、ことJR西日本に限って廃車は無いだろう。噂では「しらさぎ」、「くろしお」に回されるという情報が流れている。あれは公式なのか・・・(公式ですね)。

 外の田園は流れるように後ろに去っていく。

「乗れてよかった。」

「んっ。」

「ナガシィばっかりいいところ行っててずるいから。」

「あっ・・・。そう。」

「今度はまた北海道に連れてってね。」

「またっ・・・。」

「いいでしょ。」

「・・・。」

GGは進行(G)が二つ。これで許容速度が在来線において160キロになります。

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