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浅野は島根県警にボイスレコーダーを送った。それから毎日のように島根県警から捜査報告の電話が届くようになった。
高見明日奈の自殺から三日後の九月二十七日浅野の自宅に高見明日奈が生前書いた手紙が届いた。その手紙には三人の男女の写真が同封されている。
『浅野房栄さんへ。この手紙を読んでいるということは私が自殺に成功したということでしょう。あなたの性格なら確実に自殺を思いとどまらせるように説得をするはずです。残念です。さて三人の男女の写真を同封しましたが、彼らは私の意志を継いだ者たちです。彼らと私は同じ悩みを抱いている同志です。私が自殺をした時彼らは行動を起こすでしょう。どうか彼らが暴走しないように見守ってください。それではさようなら』
公安調査庁に出勤した彼女は公安調査庁長官室でこの手紙と三枚の写真と睨めっこをしている。腑に落ちないことがあるからだ。
その時秘書の遠藤アリスがスケジュールの確認に来た。
「浅野長官。本日は午後二時より警察庁の榊原栄治官房長と面談です。それまでにこの書類に署名捺印をしてください」
アリスは書類の山を浅野に渡す。するとアリスの目に並べられた写真が止まった。
「この写真は何でしょう。テロ組織の幹部でしょうか」
「そうかもしれないのよ。この三人が近いうちに何かしらの行動を起こすかもしれないの。そうなれば警視庁が黙っていないでしょう」
アリスはあることに気がついた。
「茶髪の女性に会ったことがあります。隣人で名前は相生すみれさん。でも残った男女は会ったことがありません」
それを聞き浅野はある決断をする。
「残りの男女は探偵さんにでも探してもらいましょうか」