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思惑  作者: 山本正純
第三章 愛情
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雷雨 3

 新庄の供述に続くように坂井も自白する。

「民生委員として何も出来なかった私は誘拐事件に協力しましたの。それが彼女への追悼となると信じて。それまで七海ちゃんを新庄さんの家に保護してもらい様子を見ることにしました」

「薬は坂井さんからもらい退屈しないようにおもちゃも用意する配慮もした」


 木原はさらに推理を付け加える。

「警察の内部情報を知った新庄さんは想定していた時期より早く容疑者が特定されたということを知りました。それと同時に七海ちゃんが心臓病の発作を起こしました。そこであなたたちは誘拐計画を中止して、病院に搬送することで人質を解放しました」

「しかし分からない。なぜ平山小五郎を殺したのかが」


 神津の疑問に坂井は答える。

「彼がアドリブをしたから。心臓病を患った少女を誘拐した時点で犯人は医療関係者だということは分かったでしょう。しかし医療関係者はごまんといる。そこで小五郎君がそんなことは分かっていると言ったら誘拐犯がかなり限定される。そんなことで容疑者が限定されることが許せなかった。彼がそんなことを言わなければ容疑者に浮上しなかったはずだったのに」


 二人は意外な動機を聞き目を点にした。

「そんなことで人を殺すな」雨は強く降りだした。まるで空が感動して大粒の涙を零したかのように。雨音に交じりパトカーが近づく音が聞こえた。どうやら警察が到着したらしい。

 日御碕に到着した八雲は新庄に逮捕状を見せる。

「新庄治。坂井好美。殺人罪で逮捕する」


 神津は八雲の持っている逮捕状を否定する。

「残念ながらその逮捕状は間違っている。殺人犯は新庄治だから」


 八雲は怒る。

「そう言う事は報告してくれ。これだから警視庁の刑事は信用できない。」


 八雲と木原たちの信頼関係は泡のように消えた。

「この事件は島根県警の事件です。これ以上は口出ししません。最後に・・」

 何かを言おうとした時突然携帯が鳴った。

「木原です」

『北条です。大野警部補に代わり例の報告をします。あの七か所及び近隣の駅の防犯カメラに写っていました』

「ありがとうございます」

 

 電話を切り木原は確信した。

(これで全てが繋がった)

 そして木原は最後の指示を八雲に伝える。

「まだ書類送検をしないでください。彼らには東京で起きた青い水筒毒殺事件の真相を知る権利があります」


 その時神津の携帯が鳴った。

「では島根県警に持ってきてくれ」

 木原と神津は顔を見合わせる。

「一度この二人と甲斐遼太郎さんを島根県警に集めます。場所を貸してください」

「真相を暴いてくれた恩はある。叶えてやろう」


この殺人の動機はひどすぎる。ただの口封じじゃないか。

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