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思惑  作者: 山本正純
第三章 愛情
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雷雨 1

午後四時日御碕。真犯人は新庄と共に高見明日奈が自殺した現場にいた。新庄は真犯人に向かい説得する。

「もう止めませんか。こんなことしてもあの娘は喜びません」

「黙れ。これしか方法はなかった」

真犯人は怒りナイフを取り出した。その時怯える新庄の後ろから刑事が声をかけた。

「そこまでです。やはり犯人はあなたたちでしたか。新庄さんと坂井さん」


新庄は自分の名前を呼ばれ驚く。

「私が犯人な訳ないでしょう。真犯人とは何ですか。あの三人の被害者の内知り合いなのは妻のすみれだけ。そんな私が何で顔も知らない人を何人も殺さないといけないのですか」

「一番の謎はそこでした。この一連の事件。東京都で起きた青い水筒毒殺事件。島根県で起きた高見七海誘拐事件。平山小五郎殺人事件。この三件の事件の犯人が同一犯だとするとあなたの言うようにあなたは真犯人ではありません。何しろ残りの二人。甲斐大輝さんと日野夏美さんとあなたには接点がないのだから」


隣にいた神津が付けくわえるように話す。

「しかし東京都の事件と島根県の事件が同一犯による犯行ではないとしたらどうだ」

 空には黒雲が迫っている。この天気は悲しい真実を暗示しているようだった。


「とりあえず島根県の事件だけの真相を話しましょう。まずあなたと新庄治さん。そして平山小五郎の三人はある理由で高見七海さんを誘拐することになった。これは憶測ですが新庄さんが車で高見七海さんを新庄さんの自宅に連れて行く。そして平山小五郎は高見家に娘を誘拐したという趣旨の電話をかけた。その後あなたは平山小五郎の家に行き要求を伝えた第二の電話が終わった後彼を殺した」


「でたらめですよ。証拠がありません」

「だから憶測だと言ったのです。当然証拠はありません。しかしこれだけは分かります。証拠があるとしたら現場に残ったナイフくらいでしょうか」


 波の音が激しく鳴る。雲も暗くなってきてもう少ししたら雨でも降りそうな感じだ。

「凶器として果物ナイフを選んだということは計画的な犯行ではない。だから指紋が検出されるはずだということでしょうが、あのナイフの指紋は拭き取りました」

 神津は驚く。

「なぜ凶器が果物ナイフだと分かった」

「それはあなたが彼を殺したという決定的な証拠です」


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