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思惑  作者: 山本正純
第三章 愛情
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黒雲

 小泉記念病院を後にした二人は八雲にこの事件の真相を伝えるために携帯電話を取り出した。その時電話が鳴った。

『大野です。チャット参加者の名前が分かりました』

「それは知っています。六人目の男の所在は分かりましたか」

『名前は三池佐清さん。五十歳男性。今年の八月一日に交通事故に遭い死亡しました。遺品となったパソコンは生き別れの息子の名乗る男が引き取ったそうです。それと三時間前に流星会の団員の男が窃盗の容疑で逮捕されました。その男の自宅から相生すみれの鞄が発見されたそうです。空き巣事件は解決しました。その相生すみれさんの鞄からあるパンフレットが発見されました』

「もしかしてそのパンフレットは・・」

『そうです。望月警部に感謝してください』

「そうします」


 木原は大野にある捜査を依頼する。

「ではあの三人の被害者が発見された現場。被害者の暮らした自宅。遠藤アリスが撃たれた東都美術館前。以上七か所にこれから言う人物が現れていないか調べてください」

木原が言ったことに大野は戸惑う。

『どういうことですか』

「詳しい話は後です。それとその現場周辺の公共交通機関も調べてください」

 

 木原は電話を切る。


 真相を掴んだ木原の元に八雲が駆け寄ってきた。

「先ほど鑑識の結果が出た。現場に残された毛髪は坂井好美の物と一致したそうだ。坂井に詳しい話を聞きに行こうとしたら失踪していた。まだ遠くには行っていないはず。坂井の追跡を手伝ってくれ」

「その前に一つ確認してください。これから言うものが盗まれていたとしたら事件は最悪な結末を迎えることになる・・」 

依頼されるまま二人は坂井の行方を追う。車内で神津は木原に質問する。

「なぜ坂井さんは失踪したのだ」

「多分真犯人を庇うためでしょう。だから分かりやすく自分の毛髪を現場に残した。そしてあの推理が正しければ坂井さんは真犯人と共に日御碕にいる」

 

 すると八雲か連絡が入った。

『要件だけ伝える。所轄署に保管してあるやつが盗まれたそうだ』

「ありがとうございます」

 

 木原と神津はこの知らせを聞き悔しんだ。

「どうやら事件は最悪な方向に向かっているらしい」

「急いだ方がいいでしょう。まだ最悪なケースを最高のケースに変えるチャンスはあります」


 確証はなかったが二人は日御碕に向かう。そこに真犯人が現れると信じて。

(これで全てのピースは揃った)


 

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