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思惑  作者: 山本正純
第三章 愛情
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搬送

 二人は小泉記念病院に駆けつける。病室の前には高見四郎。八雲警部と月影がいた。

 

 木原は月影に状況を聞く。

「どういうことですか。誘拐された高見七海さんがなぜ病院に搬送されたのでしょう」

「今から一時間前高見家に一本の電話がかかりました。そうでしたね。高見四郎さん」

 

 四郎は答える。

「はい。その電話で誘拐犯が突然『人質を解放する。今すぐ小泉記念病院に来い』と言い出した。それでこの病院に来たら高見七海がこの病院に搬送されたことを知った」


 高見四郎の話を聞き木原と神津は考え込む。

「誘拐犯はなぜこのタイミングで人質を解放したのでしょうか」

「丁寧に病院に搬送したことも気になる。心臓病を患った少女を誘拐した犯人は医学知識のある人。そんな犯人が病院に搬送すると思うか」

「このように考えられませんか。高見七海は人質としての役目を失った。しかし誘拐犯は彼女を殺すことが出来なかった。だから誘拐犯は高見七海を病院に預けるために搬送してもらった。医学知識があるとしても医療器材があるとは限りませんから延命処置が出来るとは限りませんから」


 八雲はこの推理の疑問点を指摘する。

「その推理だと一つだけ謎が残る。この誘拐事件の目的だ。高見四郎は要求を叶えるようなことを一切しなかった。それなのに誘拐犯は人質を解放した」

「高見七海に聞けば誘拐事件の真相は分かるでしょう」



 月影が言った時病室から鄭勘介が出て来た。

「高見七海さんのご家族の方。それと警察の方。ついてきてください」


 鄭勘介は会議室に高見四郎と警察を呼んだ。

「高見七海さんは昏睡状態となっています。しかし命に別状はありません。二三日すれば目覚めるでしょう。それと警察の方に忠告します。彼女が目覚めてから一週間は聴取をしないでください。これ以上負担を掛けたくありませんから」


 唯一の手掛かりは十日間お預けとなった。時間が経てば経つほど誘拐犯が逃亡するリスクが高くなる。他の手掛かりがあればいいがまだ容疑者しか掴めていない島根県警に手掛かりはない。

この状況を打破するために木原は鄭勘介に質問する。

「すみません。高見七海さんが搬送された時の状況は分かりますか」

「それくらいしか手掛かりはないでしょう。分かりました。情報を提供します。通報は女の声でした。通報内容は『女の子が倒れた。今すぐ浜山公園に来てください』だったかな。それで救急車が駆けつけた時には通報者は姿を消していたそうです。詳しい話が聞きたければ救急隊員の高野君を紹介します」

「よろしくお願いします」



誘拐犯の心意はわからない。

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