新人
午前十時公安調査庁長官室で木原と神津は浅野公安調査庁長官と会った。彼女の隣にはポニーテールの女性がいる。
「浅野さん。そちらの女性は誰でしょう」
「遠藤アリスさん。私の新しい秘書よ」
アリスは二人の刑事に自己紹介する。
「はじめまして。この前はお兄様がお世話になりまして」
二人は首を傾げる。浅野は補足をした。
「遠藤アリスは遠藤昴の妹よ」
遠藤昴は政界を揺るがしたあの事件で二人が逮捕した男だ。アリスは木原と握手する。
「あなたたちを恨んではいませんよ。お兄様は優しい人ですから。その優しさが原因で逮捕されるとは思いませんでしたが」
アリスはその後神津とも握手した。そして浅野は一枚の写真を二人に見せる。
「この女性に見覚えありますか」
その写真を見て二人は驚く。写真に写っていた女性は青い水筒連続殺人事件の被害者が持っていた写真に写っている女性と同じだったのだ。
「今捜査している事件の重要参考人であり容疑者である女性です。では逆に質問します。あなたとその女性との関係は」
「幼馴染の妹さんなのよ」
やっと重要参考人の知り合いに会えたと木原たちは喜んだ。
「その女性に会わせていただけますか」
神津の質問に対して浅野は首を横に振る。
「その女性。高見明日奈は一週間前に亡くなっているのよ」