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思惑  作者: 山本正純
第三章 愛情
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疑惑

 午前十一時島根県警で警視庁の刑事との合同捜査会議が行われた。


まずは合同捜査本部を設立した経緯を八雲が説明する。その後青い水筒殺人事件の被害者と島根県で発生した事件関係者との接点について月影が説明する。その後島根県警の刑事が報告を始めた。

「甲斐遼太郎は平山小五郎を恨んでいることが分かりました。平山は甲斐遼太郎の彼女を奪ったそうです。その彼女に横領をさせて良心のある彼女を追い詰めました。そして彼女は日御碕で投身自殺をしたそうです」

 

木原は手を挙げる。

「それはいつですか」

「今年の七月十九日です」


木原は時計を見る。時計には今日の日付が表示されている。まさかと木原は思った。

「それと一つだけ調べてほしいことがあります。あの三人の被害者が高見家を訪れた日付です。その日が七月十九日だとしたらこの日に役者が島根県に集まっていた可能性があります。その日に何かがあったとしたら」

「接点のなかった人物を殺す動機が生まれた可能性が高いのか。七月十九日に何があったのかを調べろ」


甲斐遼太郎犯人説が有力になった。その時鑑識がある報告をする。

「被害者の平山小五郎の自宅から四人の髪の毛が検出されました。平山小五郎。高見七海と高見明日奈。最後の一本はあの四人の容疑者の髪の毛と照合してみます」


ということは平山小五郎を殺した犯人は一人。だがそれだけでは複数犯ではないということを否定することができない。


 捜査会議が終了したので木原と神津は捜査を開始する。まず向かったのは新庄治の勤務する交番だ。二人が到着した時パトロールから新庄は帰ってきた。

「あれ。また警視庁の刑事さんが何か用ですか」


 殺害現場に落ちていた着せ替え人形から指紋が検出されたということにして二人は窯を掛けることにする。

「実は平山小五郎の家に落ちていた人形からあなたの指紋が検出されました」

「そんなはずがないでしょう。着せ替え人形を落とすはずがありません」

「なぜ人形が着せ替え人形だと分かった」

「心臓病の同い年くらいの娘がいたからね。七歳くらいの女の子が持っている人形といえば着せ替え人形だと思っただけですよ。娘も大切に遊んでいたので」


 木原はさらに質問をする。

「今年の七月十九日に何かありませんでしたか。その日三人の被害者がこの島根県に来たそうです」

「そういえばスサノオホテルの前で別れた妻が見覚えのない男とキスをしていました」

神津は確認する。

「その別れた妻というのは相生すみれ」

「はい」

 

 木原はあることを思い出した。

「そういえばあなたに最初に会った時三人の被害者の写真を見せましたね。ではなぜ三枚の写真の中に別れた妻の写真があったのに証言しなかったのでしょう」

「証言したら疑われるでしょう。別れた妻の保険金の受取人は僕だから。保険金殺人という動機が出来てしまう。だから犯人が逮捕されるまで黙ることにしました」


 証拠もないので二人は交番を後にした。


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