特命
この依頼は合田に伝えられた。二人の上司である合田にも心当たりはない。
「まったく心当たりがない。なぜ浅野公安調査庁長官が特命捜査を依頼したのか」
喜田参事官と共に推理をしている時指名された本人たちが出勤してきた。
「おはようございます。合田警部」
本人たちなら何か知っていると思い合田は聞いてみた。
「おはよう。単刀直入で聞くが浅野公安調査庁長官がお前と神津に特命捜査を依頼した。それに心当たりはないか。たしかお前らは九月五日に浅野公安調査庁長官に話を聞きに行ったな」
「たしかにそれは事実ですがそれと特命捜査の因果関係はないでしょう」
隣にいた神津も同じ意見だ。本人たちにも心当たりはない。合田は喜田に相談した。
「それでどうする。喜田参事官。我々捜査一課三係は現在青い水筒殺人事件の捜査をしている。この事件は所轄署との合同捜査でいまだに容疑者の特定に至っていない。この状態で浅野公安調査庁長官の特命捜査を承諾するわけにはいかない。人出が足りないからな」
合田が悩んでいた時神津が話に割り込んできた。
「話だけでも聞いてみたらいいのでは。判断は上層部に任せるとして」
神津の意見に喜田と神津は納得した。合田は指示を出す。
「浅野公安調査庁長官に会って来い」