歓迎 後編
木原は質問する。
「つまり薬は今小学校の先生が所持しているということですか」
「はい」
「それともう一つ。平山小五郎の職業は何でしょう」
「ただのサラリーマンですよ」
その言葉を聞き木原は納得する。彼は推理を話す。
「分かりました。誘拐犯は医療関係者です。誘拐犯が一番恐れているのは取引前に人質が死亡すること。そうなれば元も子もありません。そして七海さんの薬は今小学校の先生が所持している。つまり誘拐犯は嫌でも薬を用意しなければならなかった。医療関係者なら薬を用意することも容易でしょう」
「高見家の知り合いに医療関係者はいませんか」
忍は手を挙げる。
「最初に言ったように私は元看護士。あとはお母さんの主治医鄭勘介。坂井好美さんは昔船医をしていたと聞いたことがある」
さらに四郎は補足する。
「今朝訪問した甲斐遼太郎も医療関係者じゃなかったか。医者の息子で親に反発して指定市町村事務受託法人に勤務するようになった変わり種。おまけに医大を卒業している。彼は今朝始めて高見家を訪れたが、お袋と彼は教師と生徒の関係だった」
容疑者はこの四人。この中に誘拐犯はいるのか。木原と神津は真相を暴くことを誓い合う。
次回 島根県警八雲が高見家に臨場。




