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依頼
「所在が不明か。喜田。この事件からは保険金連続殺人の匂いがするな」
千間のこの言葉から喜田はあることを連想した。
「千間刑事部長。この女性を指名手配しろということですか」
「いけないか」
「まだ彼女が犯人と決まった訳ではありません。第四の殺人事件が発生する可能性もあります。その事件を未然に防ぐためには有効かもしれません。ですが保険金連続殺人犯が、態々自分と被害者には共通点がありますよとアピールしますか。このあたりが理解できません」
その時刑事部長室の内線電話が鳴った。喜田は受話器を持った。
「はい。刑事部長室です」
喜田は驚いた。
「それはどういうことでしょう」
この質問に答えると内線電話は切れた。そして喜田は千間に報告をする。
「浅野公安調査庁長官が木原と神津に特命捜査を依頼したいそうです」
千間は首を傾げる。
「特命捜査だと。どういうことだ」
「はい。詳しい話は本人に話すそうです」