25/60
躊躇
遠藤アリスが撃たれたと聞き合田と大野は警察病院に向かった。手術室の前には浅野房栄がいる。合田は謝罪した。
「ごめんなさい。遠藤アリスが狙われていると気がつくのが遅かった」
「謝る必要はないのよ。不謹慎な話だけれどね・・」
彼女が言いかけた時執刀医が手術室から出て来た。
「手術は成功しました。二週間は入院していただきます」
浅野は執刀医の手を握り感謝した。
「ありがとうございます。これで・・」
大野は気になることを聞いてみた。
「何ですか。先ほどから何かを躊躇っていますが」
「不謹慎な話だけれど、悲劇のヒロインになるかもしれないのよ、と言おうとしたのね。これで悲劇のヒロインにはならなくてよかったわ」
大野は目を点にする。
「それはよかった」




