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宇宙の絆  作者: 秋華(秋山 華道)
4/22

ボロ負け

3日後、俺の艦隊は、旗艦が1、戦艦が4、補給艦が12、制作中戦艦が1となっていた。

しかも全てにNPCを配置し、参謀や個々の機体にまで配置できる有様だ。

あの海賊はかなりの使い手で、NPCのレベルもかなり高かった。

てか、名のある最強の海賊だったようだ。

俺が勝ったのは、完全に相手の油断、おそらく友達に強さの自慢でもしようと、初心者にでも指揮させてたんじゃね?

普通補給部隊にやられる訳ないしな。

ただ、一撃必殺の攻撃を持っていて、それがたまたま当たっただけなのだ。

俺は笑いが止まらなかった。

でも流石に艦船が10を越えてくると、指揮系統がきついな。

今日もグリード軍の助っ人だが、まあ今までどおりの数でいいか。

俺は新しい面子全員と、一部の古面子で足りないところを埋めて、戦場に赴いた。

グリード軍は敵を圧倒していた。

敵はジーク軍だが、本拠地から離れすぎてる辺境の地だし、戦力が少なかった。

今日も楽勝だなぁ~

俺は椅子の背もたれにもたれ、腕を頭の後ろに組んでただディスプレイをみていた。

しかし、なかなか敵軍を壊滅させられない。

少しずつ削ってはいるが、ジーク軍はしぶとかった。

ここまでこの戦力で頑張る必要があるのだろうか。

疑問がわいた。

この空域に、援軍はまずこれないだろう。

時間稼ぎは無意味だ。

何故?

ふと、俺はこの戦場のマップが、かつて自分が攻略したマップである事を思い出した。

ジークの元にいた時の事だ。

あの時はプレイヤがココを守っていて、戦力は負けてたんだ。

でも、俺がふと思い立った作戦。

マップ上部にある隕石群。

ココって突破できないだろうか?

そう思って試したんだ。

航行レベルが後少し低かったら、運が後少しなかったら、俺は突破できなかっただろう。

しかし俺は突破したんだ。

敵の背後を突いた。

敵軍は混乱し、その混乱の中ジークが突撃。

終わってみれば圧勝だった。

やばい!

俺は思った。

 サイファ「撤退準備を」

俺がそう通信した直後、背後に機影が見えた。

やっぱり。

 グリード「どした?援軍か?」

返事が面倒だったが、俺は撤退準備をしながら返事を返す。

 サイファ「大援軍」

そうこうしてる間に、その数はどんどん増えた。

多すぎだよ。

まだ間に合う。

俺は射程距離に入る前に艦隊全てを反転させ、I字陣形、しかも旗艦は二列目に。

コレはもう、旗艦だけでも逃げるぜ陣形だ。

正面の機影は、1000隻ほど。

後ろにグリードの艦隊が戻ってきた。

その時、通信が入る。

俺は回線を開いた。

 ジーク「おひさ!(笑)」

ジークの艦隊は、射程ギリギリで止まっていた。

 サイファ「裏切りものぉ~(泣)」

俺はとりあえず泣きついてみた。

 グリード「どうする?」

ジークとの通信のあいまに、グリードからも通信が入る。

 サイファ「ちょっと待って」

俺はジークとの通信を優先した。

 ジーク「裏切ったのはそっちじゃん?こっちについときゃ良かったのに。」

 サイファ「俺に、あんた以外全てを敵にまわせと?」

 ジーク「宇宙統一には、いずれそうなるんだから。」

ああ、確かにと思った。

でも今更言っても遅い。

 サイファ「逃がしてはくれんかね?」

最後の望みを託してみた。

 ジーク「却下!」

ガックシだった。

 ジーク「サイファが今俺の最大の敵なんだよね。悪いけど味方にならないなら死んでもらうよ♪」

その言葉が最後だった。

ジーク艦隊が動き出した。

俺は通信を切り替え、グリードに最後のメッセージ。

 サイファ「突破口を開く。進路は下。」

 グリード「ええ?下?」

俺はもう返事をする余裕は無かった。

たかだか11隻の艦隊なのに、命令が間に合わない。

これほど追いつめられるのは初めてだ。

ちなみに、グリードが動揺した、下への進路。

実はこのゲームは基本は2Dである。

しかし、宇宙なら上下2艦隊分のスペースがもうけられていて、地上だと上3、下1くらいのスペースがあるのだ。

陣形は全て2Dのみなので、上下を使う場合は、プレイヤがその分必要となる。

もしジークの艦隊が単独なら、上下は開いているはずだ。

俺はその望みに賭けた。

ジークとの通信はつないだままだったようで、ジークの言葉が聞こえる。

正確には表示される。

 ジーク「下か。運が良かったな。そこは開いてるからな。」

俺は心の中でガッツポーズした。

だからといって、戦力は圧倒的に負けてるし、やられる可能性が90%から50%くらいになった程度だ。

上からの攻撃が、俺の艦隊を襲う。

もうなにがなんだかわからない状態だった。

とにかく搭載機を全て出撃、使える弾幕は全て使った。

旗艦にも被弾する。

俺は装甲を極力削り、スピード重視だ。

被弾した時の被害は大きい。

左エンジンが即停止した。

俺はサブエンジンに切り替える。

進路が少し左にずれる。

必死に進路を修正する。

近づく敵艦隊の鼻先にチャーリーの威嚇射撃。

思った所に撃てない。

くそっ!

射線がずれてやがる。

グリードも後ろについてくる。

グリードの攻撃が、若干こちらへの攻撃を和らげる。

それでもジークは俺の旗艦狙いのようだ。

艦船いくつか捨てるか。

俺は自身の艦船を盾に、何とか突破した。

 達也「うしっ!」

ガッツポーズをした後、速やかに戦場を離脱した。

生きた心地がしなかった。

グリードもかなりの被害だったが、俺より全然マシで無事帰還を果たした。

ドックに戻った俺は、被害状況を確認していた。

失った艦船が戦艦2、補給艦3、NPCが6人。

何とか死なずにすんだが、被害は莫大だった。

しかしまもなく、NPCが4人帰ってきた。

捕らえられていたが、登用に失敗して逃がされたようだ。

後2人は登用されたのか、それとも捕らえられたままなのか、それとも処刑されたのか。

まあ、逃がしてくれたジークに、少し感謝した。

って、感謝できねぇ~


補給くん号の被害は大きく、元の能力に戻す事は不可能だった。

一応修理とか、パーツ交換とか、無いものは他のパーツで代用したりしたが、相性やらが合わないようだ。

まあ、旗艦が無いと出航できないので、とりえずこれで我慢だ。

といっても、コレで戦闘に出てやられるのもいやなので、しばらくは戦闘はしないことにした。

それよりも、作成中である旗艦候補の補給戦艦を完成させようと思った。

ジークにやられた事で、装甲を厚くしようかなやんだが、やはりそのままにする事にした。

エンジン系統と出力も良いだろう。

俺はスピード重視だからな。

問題は武装。

ココでひとつ、俺はある研究をしていた。

このゲームには、ドルをつぎ込んで、研究というコマンドを実行できる。

これは、希望する武装パーツを、詳しくどういったものか書いて、予算を決めて、それをこのゲームを運営している「宇宙ネット」に提案するのだ。

それをゲーム審査員が、予算や武装の内容を検討し、提案をそのまま、或いはそれに準じるパーツを、作成可能にしてくれると言うわけだ。

もちろん、ゲームバランスが崩れる提案は、予算だけ没収されて受け入れられる事はない。

だから実現可能で、無理の無いところをうまく狙わないといけないのだ。

後はアイデア。

ちなみに俺が今研究しているのは、全方位発射可能な弾幕用砲塔群。

各方向をカバーする為に、いちいち武装していては艦船が重くなる。

それを解消するためのもの。

コレさえ完成すれば、防御力大幅上昇、スピード上昇、積載量も増えるし武装も可能。

こうして待っている時間も、研究時間としてゲームマスターが調整しているから、早く返事をくれと催促もできないのがじれったかった。

後はコレ待ちだな。

俺はそう思い、人型や戦闘機、補給機を作成していった。

かなりやられたから、沢山必要だった。

金が半分くらい減った。

さて、一段落して、俺はネット回線を切った。

ジークとの敗戦で、俺のハードでの欠点を見つけてしまった。

やはりマウスで選んでクリックしていては、反応が遅いし、数がある場合は指揮しきれない。

俺は秋葉原へと出かけた。

目的の物は、宇宙の絆用のコントローラと、タッチパネルディスプレイ。

コントローラは言うまでもない。

キー設定を色々して、ダイレクト命令を多く登録できる。

そしてタッチパネルディスプレイも、サブモニタとして使用でき、命令をクリックではなくタッチでできるから時間短縮になる。

更には艦内からの視点映像も見れて、臨場感抜群だ。

俺は久しぶりに重たい荷物を抱え、フラフラになりながら家に戻った。

早速セッティング。

タッチパネルディスプレイは正面に、今まで使っていたものは、その右側に少し斜めにして置いた。

さて、改めてネットにつないで動作確認。

うむ。

問題ない。

俺はタッチパネルとコントローラのダイレクト命令の設定をした。

沢山の命令をダイレクトに登録できるようになったので、俺はある細工をしておいた。

それに関しては後に語るが、命令の暗号化だとだけ言っておこう。

登録と設定は夜までかかった。

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