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宇宙の絆  作者: 秋華(秋山 華道)
17/22

賽は投げられた

俺とキラと真は、なんとか逃げのびていた。

でも、薔薇さんは旗艦を落とされ死亡。

全てを失い、レベルも半分になることになった。

それでも戻ってくるなら、快く迎え入れる予定だったが、後日我が艦隊の前に現れた薔薇さんは、

「やめるは。悪いね。楽しかった。頑張れよ」と、一言残して去っていった。

大切な仲間をひとり失った。

実は少し涙がでていた。

それでも、その後すぐに、グリードさんが入隊を志願してきた事で、少し気分は浮上した。

なんでも前回負けた時、なんとか逃げ延びてはいたらしい。

しかし拠点を全て失い、軍を解体したんだそうだ。

もちろん将官として迎え入れた。

一時は第三勢力にまでなったプレイヤ軍の大将だ。

誰も反対はしなかった。

俺達は数日、無駄に過ごしていた。

その間、今度は紫苑軍がジーク軍にちょっかいをだしていたようだが、まともに戦う気は無いようで、その戦闘時間は短い。

これでは、時間の流れは、ただ勝てる可能性を下げるだけ。

そろそろ決断をしなければと俺は焦っていた。

そんな時、以前から研究していた、第二の秘密兵器の研究が成功した。

正直完成するわけがない、成功するはずはないと思っていたが、良い方に期待が裏切られた。

 達也「無理でもやってみるもんだな」

俺はそう思った。

もしかしたら、この前手に入れたエディソンくんが良かったのかも。

少なくとも今日完成したのは、エディソンのおかげであることは間違いない。

俺は第二の秘密兵器、いや、最終兵器の生産を始めた。

もう他に、逆転手になりそうな研究はしていなかったし、今更やっても間に合わない事は分かっていたから、あえて最終兵器と言わせてもらおう。


この日の夜、宇宙の絆の公式サイト、その中の掲示板は賑わっていた。

普段はあまり見ない掲示板だが、正春からの通信を受けて、俺は見に行く事にした。

見てみると書き込みが大量におこなわれていた。

俺はログをさかのぼる。

流し読みしながらさかのぼっていたから、内容は何となく見えてきていた。

そして、みんなが集まる理由となったであろう、問題の書き込みが見つかった。

内容は、ジークが書いたものだ。

 ジーク「今週末、金曜夜10時より最終決戦を行うつもりだ。そろそろ決着つけようぜ」

こんな事をわざわざ書く事に、メリットは感じられなかったが、ココは公式サイト、本人以外であるはずがなかった。

勝てる自信なのだろうか。

それとも・・・

いや、メリットはある。

真っ向勝負で一番勝つ可能性が高いのは、ジーク軍であるから、早々に決着をつけるなら良い方法だ。

これだと、相手もとにかく戦力を集めるだろう。

準備されるメリットとデメリット。

比べてメリットが上だと判断したんだ。

でもこれは、我が軍にも美味しい。

今後ジワジワやられる可能性が高かった。

それを、一気に決着がつけられるだけでなく、勝てるチャンスが大きくなったのだ。

最終兵器もおそらく間に合う。

テスト無しのぶっつけ本番になるが、これは一発逆転の切り札になりえる。

俺は掲示板を読み進めた。

紫苑さんの書き込みが見つかった。

紫苑さんの気持ちは微妙なところだろう。

書き込みには

 紫苑「むむ」

とだけ書いてある。

ジークとまともにやり合うか、悩んでいるようだ。

これで何となく、紫苑軍には現状決、め手は無いように感じる。

更に読み進めると、四天王達の書き込みが有った。

紫苑軍四天王は、紫苑さんとは全く関係がない人たちだが、4人はリアル友達だと聞いた事がある。

まあ、何となく聞いた事があるだけだから、本当かどうかは知らないけれど。

書き込みはどれも、最終決戦賛成の書き込みだった。

紫苑さんは悩んでいるようだが、主要な部下が賛成なのだから、最終決戦は現実になりそうだ。

それからしばらくの書き込みの後、紫苑さんの決断が書かれていた。

 紫苑「全面対決(-_-メ)」

四天王がやる気だから、まあこう決断するしかないのだろう。

でもやるからには、絶対勝ちにくるはずだ。

実は俺は、ジークよりも紫苑さんのが強いと思っている。

ただ、それは同じ条件でまともに戦った時という条件だ。

ジークは勝てる条件を、ゲームの中だけでなく、全てを考えて整えてくる。

 達也「どっちもいやな相手にかわりはないけどな」

俺は、4日後に迫った最終決戦の事を考えながら、再び宇宙の絆のゲーム画面を表示した。

すると通信が入っていた。

俺は直ぐに回線を開いた。

紫苑さんからだった。

 紫苑「みた?」

おそらく掲示板を見たかという事だろう。

 サイファ「掲示板は見たよ」

俺は聞かれた事に素直に返事した。

 紫苑「ジークの後はチミだ!」

紫苑さんにしては、よく喋っている。

俺は少し苦笑いした。

俺は紫苑さんの気持ちがなんとなく分かってしまった。

 サイファ「最後は俺と紫苑さんで対決しましょ!」

 紫苑「(^0^)」

どうやら思った通りだった。

同盟はしていなかったが、お互いの攻撃はジークを倒した後にしようという事だ。

そして俺はそれに了解し、向こうも納得したというわけ。

紫苑さんは何故か、信用できる気がするんだよな。

 紫苑「7S-12458.28543」

最後に紫苑さんは、これだけを残して、勝手に通信は切られていた。

マップ番号?

何を意味しているのかよくわからなかった。

とにかく俺は、最終決戦が楽しみになってきていた。

自分がドキドキしている事に気がついた。

興奮状態を抑えられないまま、俺は友軍の皆に、最終決戦に参加する事と、紫苑軍にはジークを倒すまで攻撃しない事を伝え、掲示板に

 サイファ「楽しみだ!」

と書き込んだ。

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