表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙の絆  作者: 秋華(秋山 華道)
10/22

NPCの軍が無くなって直ぐは、弱小軍が大勢力にドンドン滅ぼされていった。

しかしここに来て、それはすっかり止まり、ジーク軍を皆で打倒する機運がたかまっていた。

だれだかわからないが、情報操作の戦略を行っているようだ。

ネットのあらゆる「宇宙の絆」サイトの掲示板には、

「ジーク軍を、今みんなで倒さないと、ジーク軍に勝たれてしまう。」

とか

「力を合わせてジーク軍をうち破ろう!」

とか、まあ、弱小軍が自分の軍の勢力拡大の時間を稼ぐためにやった事だろうが、効果はあった。

弱小軍のほとんどと、一部の大勢力が、妥当ジーク軍のもとに集まっていた。

でもまあ俺達の領域は、ジーク軍の領域から離れているし、目の前の敵、紫苑軍とも一進一退だ。

そんなものに参加している場合ではなかった。

 サイファ「真、左よろしく。右から薔薇さんと今日子さんは大気圏突入しちゃって」

 真でれら「きついんっすけど」

 薔薇の貴公子「ホント大丈夫か?」

 サイファ「諜報活動に1週間かかったらなぁ。これで失敗したらお手上げ」

 真でれら「カニさんちょっとチェンジ」

 キャンサー「うむ」

今侵攻しているのは、クマクマ軍の本拠地、有人惑星パープルだ。

この領域では戦略の重要ポイントで、しかも生産性が高い。

ココをとれるかどうかは、我が軍の今後を左右すると言ってもいい。

 LOVEキラ「又、紫苑軍きたよ。守りきれないかも」

別のマップで駐留していたLOVEキラからの通信によると、我が領域の最前線に紫苑軍が侵攻してきたようだ。

 サイファ「このくそ忙しい時に。マップの3時に星さんよろしく」

星さんは、正式な名前はスピードスターで、キャンサーさんとかの後に我が軍に入った仲間だ。

 スピードスター「了解♪」

援軍と言えば星さんで、とにかく航行速度には定評がある。

 サイファ「ココがある程度片づいたら俺も向かうけど、その領域はある程度頑張っても無理なら放棄していいよ。」

最前線でLOVEキラが守ってはいるが、紫苑軍の行軍を止める事はたぶん不可能だ。

だったら最初から放棄する事を頭に入れていれば、被害は最小、効果は最大にする事もできる。

まあもちろん、その領域は失う事になるけどね。

 今日子「ホントだ。中はガラガラだよん」

事前の諜報活動により、パープル惑星内の防衛が甘々なのは調べがついている。

もちろんそれは100%ではないが、1週間の活動で限りなく100%にしていた。

金も結構かけたしな。

 サイファ「オケ!じゃあ俺は一旦ココを離脱する。真、後は任した」

 真でれら「ああ、もう楽勝でしょ」

全ての敵を把握して戦況を見れば、後はもう時間の問題だとわかった。

俺は一旦最前線に近い要塞まで引き返した。

補給を早急に済ませると、LOVEキラの援護に向かう。

 LOVEキラ「もうやばいから引くぞ」

 サイファ「後少し我慢して。俺が行けば被害を最小限に押さえて逃がせるし」

最近は、少しでも被害を出さない戦いを心がけている。

いや、まあそれはいつもそうだったのだが、今はそれがとても重要な事になっていた。

生産性のある拠点が増えるより、仲間や艦船数の増える率のが高く、金がとにかく足りない。

多くの仲間のプレイヤを、高い階級に任命したいのだが、最近はそれもできない。

今では皆ひとり1艦隊が当たり前。

大将である俺だけが2艦隊を動かしていた。

俺がマップに到着した時には、LOVEキラ艦隊とスピードスター艦隊の物資は、底をつきかけていた。

 サイファ「よし何とか間に合った」

俺は紫苑軍の艦隊背後をとった。

 LOVEキラ「俺達は良いところで引くからな」

 サイファ「ごくろうさん」

敵は4艦隊で数も多かったが、後ろをとった我が艦隊は敵を次々と破壊していった。

 スピードスター「では♪」

味方はうまく戦域を離脱できたようだ。

後は適当に敵の被害を大きくして、ココを立ち去るだけ。

俺は撤退と攻撃のタイミングをはかった。

とその時、左に新たな艦隊の機影が見えた。

 達也「紫苑軍の伏兵?」

マップの隅に身を潜め、チャンスをまっていたのか?

しかも艦隊は「麒麟艦隊」だった。

俺はこれ以上は無理と、攻撃は諦め即時撤退へと移る。

進路は右から。

少し撤退には遠回りになるが、開いている道はそこしかなさそうだ。

 サイファ「伏兵してやがった。一応だれか近くまでお願い」

 スーパーモモ「私いくよ」

スーパーモモは、最前線の拠点に駐留している守りの得意な味方プレイヤだ。

 サイファ「おけ」

俺は、現在の戦況からつながる今後をシミュレートして、許可を出した。

マップを大回りする形で、俺は撤退する為に必要な場所に近づいてきた。

後ろから来る麒麟艦隊は、こちらのスピードにはついてこれないようで、少し引き離していた。

俺は安心して、椅子の背もたれに体をあずけた。

いや、正確にはあずけようと半分体を倒した時、正面に敵機影を見つけた。

それも尋常じゃない艦艇数だ。

 達也「勘弁してよ」

俺は既に遅いと思ったが、一応連絡を入れる。

 サイファ「手の空いてる者、スクランブルで4Dマップ3時に集合」

 真でれら「大丈夫か?」

 LOVEキラ「なんかあったんだろ」

 今日子「逃げるの得意でしょ。何とかして」

 スーパーモモ「私でなんとかなるのかな」

みんなの通信が入ってきていたが、俺はもう通信の余裕は無かった。

麒麟艦隊を少し引き離していたのがせめてもの救いだ。

俺には若干の対応時間があった。

速度を落とし、更には逆進して右に旋回。

そしてすかさず全速前進。

麒麟艦隊の射程にはギリギリ入らなかった。

しかし前方の艦艇数の多さに、俺の対応も無意味に近かった。

 達也「くそ。こんなところで死ねるかよ。」

俺は陣形をI字陣形に変更。

もう突破しかない。

 スーパーモモ「きたよ。どうすればいい?」

 サイファ「10時向きで待機」

俺はなんとかそれだけ伝えた。

 達也「うわ。紫苑の本艦隊かよ」

今向かい合ってる敵は、大将本人の艦隊だった。

俺はありったけの火力で突破をはかった。

先ほどの右に旋回した対応で、若干薄い場所への突入が出来そうだ。

俺はタイミングをはかりながら、弾幕を張った。

戦場を映し出すモニタは、炎と光に包まれていた。

今回のは完全に罠だな。

俺は苦笑いした。

最後逃げる時は、だいたい俺が後方を担当してきた。

今回も同じようにした。

毎回うまくいっていたので、油断していた。

しかし今更悔やんでもしかたがない。

俺は被害はかえりみず、生還する事だけを考えた。

なんとか紫苑艦隊の突破に成功した。

かなりの被害だが、まあこれくらいで済んで良かった。

俺はホッと胸をなで下ろした。

しかし、更に前方に敵機影。

紅蓮艦隊と、同じく四天王の1人の疾風艦隊だ。

流石に先ほどと同じ手では、もう突破は不可能そうだ。

スーパーモモに背後を突かせる手もあるが、もう間に合わない。

 達也「あの手しかないか」

俺は陣形を、俺専用の特殊陣形に変えた。

あの手とは、ゲームバグを利用した俺の必殺技。

しかしこれを使う事は、それがばれるリスクがある。

ジークをしとめる時まであまり使いたく無かったが、流石に使うしかなかった。

紅蓮艦隊より、疾風艦隊のが防御が低かったと思われる。

俺は突破場所を疾風艦隊中心部へと定めた。

タイミングをはかる。

射各が10.2度になるよう調整。

俺は攻撃した。

一撃必殺の攻撃は、見事に疾風艦隊の旗艦に命中したようだ。

敵艦隊が混乱する。

俺は真ん中を突き進んだ。

 サイファ「モモさん、もうすぐそっちに行く。俺が通り過ぎて10秒後に退却で」

 スーパーモモ「おけおけw」

計算通り突破に成功して、俺はモモ艦隊とすれ違った。

何とか退却には成功した。

しかし、これで必殺技がばれるかも。

惑星オパールはものにしたが、それ以上を失ったかもしれない日となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ