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素直な心で  作者: 櫻塚森
24/30

現在「12」

「根本的なことを言うわね。」

ジュリアはテーブルに腕を、手を組んで顎を置きジッとエヴァを見た。

「貴方にとってアスランは何?」

「・・・た、只の幼馴染。昔は・・・そりゃ憧れて好きだったけれど・・・、今は違うわ。」

ふむと考えるジュリア。

彼女は、法律事務所内では離婚弁護士として知られている。

「アスランのことを、どの程度知ってる?貴方が知ってる情報を全て教えて。」

有無を言わせないジュリアの言葉にエヴァはどもりながらも答えた。

「ア、アスランは、伯爵家の後継者で・・・幼馴染。両親と双子の弟さん達、そして妹さんがいるわ。」

「それから?」

「勉強が出来て、いつも女の子の憧れで・・・彼の家に居候してたから、女の子達からの攻撃が酷かったのを覚えているわ、ああ、その頃、学園の階段から突き落とされて腕の骨を折ったかな。両親には、足を滑らせて落ちたって誤魔化した。気付かれてたみたいで、アスランと距離をとるように再三言われて・・・。アスランは変わらなかったけど・・・彼女が出来て、それから私に対する攻撃は減ったの。ビクビクしていた生活から脱出出来て、勉強が出来るのが嬉しくて・・・アスランのリサには感謝しても仕切れない。」

脳裏にリサのことが浮かんでいるのだろうエヴァに向かってジュリアは叫んだ。

「はい、ちょっと待ったっ!!」

キョトンとするエヴァ。

「アスランと誰が付き合ってるって?」

「えっ?リサよ、リサ。リサ・ホーク私の恩人。骨が折れた時に居合わせて病院に連れて行ってくれたの。その時から彼女は私に親身になってくれて・・・社交的な彼女と私じゃ性格も合わないから、最初はどうしてって思っていたけど・・・アスランの大切な幼馴染だからって・・・。」

顔を見合わせるニコラスとジュリア夫妻は顔を見合わせると盛大なため息を吐いた。

「な、何?」

「えーと、ねえ、エヴァ、子供達のことをアスランに知らせたんですって?」

力強く頷く彼女に首をかしげるニコラス。

「ええ、でも取り次いでも貰えなかった。貴方とは連絡を取るなと言われてるってオペレーターの人に言われたわ。何度か伯爵家に電話しようと思ったけど・・・アスランとリサの仲を壊したくなかったの。だって、二人は婚約しようとしてたんでしょ?彼の気の迷いで出来た子供なんて、欲しがるわけないもの・・・。」

視線を子供たちのいるテレビの方に向ける。

4人も子供がいる割には静かな空間だった。

ニコラスとジュリアの子供達は、二人でままごとをしているし、ルークとアーサーは親たちの会話に聞き耳を立てていた。

「リサが教えてくれたアスランの気持ちを信じることが最初は出来なかった。けど・・・リサが余りにも真剣な顔で言ってくるし、手渡された手切れ金の額が尋常じゃなかったから・・・ああ、本気で私のことは過去でもないことにしたい、存在すらさせたくないんだなって。でも、わざとじゃないの。ロンドンに来ることになったのも、彼が理事をしている学園に勤めることになってしまったことも。だから、誤解しないで・・・リサは心配してたから、大丈夫だって伝えて欲しいの。そのうち、アスランとリサが結婚でもして、子供でも出来たら・・・いいと思う。」

矢継ぎ早になってしまうのは、自分の本心を見抜かれたくないから。

ジュリアは注意深く彼女を見つめていた。

「ほとんど話をしたこともない私の言うことを貴方がどれだけ信じてくれるか分からないけど、アスランはそんなに不誠実な男かしら?・・・情けない男ではあるけど。それに、リサって本当に貴方が思ってるほどの信頼を寄せられる人?」

「えっ?」

エヴァの頭の中で警鐘が鳴っていた。


「ねえ、君達一緒に2階で遊ばない?」

ルークは双子の女の子達に声をかけた。

ままごとをしていた女の子達はルークを見上げた。

「おい、ルーク・・・母さん達の話聞かないのかよ。」

視線を大人達の方へと向けるルーク。

「ん・・・いいんじゃない?リサの正体を告げる役目をニコラス夫妻がかってでてくれるっていうんだ。ボク達は本命に逢いにいく機会じゃない?」

大人達に2階の子供部屋で遊んでると伝えた。

2階には、非常階段に出られる窓があり、子供でも何とか足が届くのだ。

「だから、君達は内緒にしててね、これはゲームだよ。いつまで黙って居られるかって言うね。」

双子の姉妹にそう告げると二人はアスランの暮す自宅までの交通費とプラスαを持って窓から外に出て行った。

「いってらっしゃい。」

何も分かっていない姉妹に手を振る。

「いい?黙っててね。」

頷く双子。

ルークとアーサーは非常階段を折りきると一目散にバス停へと向かって走っていた。



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