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素直な心で  作者: 櫻塚森
17/30

現在「5」

「母さん、次の日曜日、ジャクソンの家に行っていい?」

双子に尋ねられた平日の夜。

双子はそろいのパジャマを着て寝る用意は整っていた。

「ジャクソン?ええ、いいわよ。」

彼等が新しい学校に通うようになって出来た初めての友達である。クリクリの目と利発そうな顔付きの彼は双子同様知能指数が高かったことから、スカウトされた。

母1人子1人の家庭で育ったジャクソンの母とは、直ぐに友達になった。

公私混同はしない主義だが、彼の母親もまた教師をしており共通の話題が合ったのだ。

「ジェニファーに迷惑かけちゃだめよ?」

「「分かってるよ、じゃあおやすみなさい。」」

ジャクソンの父親と母親は死別であり、双子とは少々環境が違うが、それでも3人は仲が良かった。そして、普段なら余り喋らないプライベートのことも彼になら話した。

「ひでぇ、親父だな、制裁。制裁加えようぜ!」

すっかりやる気のジャクソン。

リサとの対面を終えた次の日に双子はジャクソンにその旨を伝えた。

「親父の会社には一切連絡するな、親父から連絡があっても取り合うなって、その女用意周到だな。信じきってるお袋さんもお袋さんだけど。」

双子達も、エヴァがリサを前面的に信頼していることには少々呆れを感じていた。

「俺達は、ジャクソンがいてくれてよかったよ。」

ルークの言葉にとうの本人は顔を真っ赤にして照れていた。

神童だ、何だと持ち上げられて、同じ年頃の友達は、こっちに来てから出来なかった。

田舎で暮していた時の方が多くの友達に囲まれた楽しかった双子は、風邪で長らく休んでいたジャクソンが気軽に声をかけて来た時は怪訝な顔を見せたが、彼が頭がいいくせに裏表がなく気持ちのいい子供だったため、直ぐに仲良くなったのだ。

天才と言われる子供たちが集められた教室内でもジャクソンは臆することなく双子を皆に溶け込ませてくれた。

「ガキの頃はいいかもしんないけどさ、やっぱ同じ年頃の同性の友達ってのがいないのは、しんどいよ。しかもお袋さんは、苛められてたんだろ?リサってのがどんな悪女でも天使に見えたんじゃねーの?」

リサと会った日に彼等が寝ていると思っていた大人達の会話は全て聞いていた。

「で、親父さんの弁護士の会社って何処にあるのか分かったのか?」

ルークがニッコリと笑った。

「覚えたよ。数字を覚えるのはアーサーの方が得意だけど、電話番号くらいなら全然余裕!」

住所はよく見えなかったが、電話番号から3人はアスランの会社を突き止めた。

「次の日曜日に正確な位置を掴むために行ってみようかと思う。で、平日の親父がいる時に殴りこもうかと。」

アーサーの計画に3人は額を付き合わせて頷いた。


そして、日曜日、調べた住所を乗り合い馬車に揺られ訪れた3人。

「できたら、タクシーに乗たかったな。」

「金かかる、無理。馬車の方がいい、ただだし。」

「にしても、ここか、でかいな。」

ビルの案内にしっかりと書かれたアイザック法律事務所の名前。

日曜日のビルはガランとしていたが、一階にある画廊に訪れる者もいて3人は難なく侵入できた。

「10階。」

エレベーターに乗って上がっていく。

止まったエレベーターの扉が開き、ちょこんと顔を出して周囲を見る。

「あっちだ。」

少し右に行くと法律事務所の名前が書かれた入り口があった。

受付嬢は居らず、鍵もかかっているらしい。

「ここだな。」

3人は集まって決行日を何時にするか決めかねていた。

そんな中声がかかり、3人は飛び上がるほど驚いた。

「何をしている、」

振り向くと大柄な男がいた。

着崩したスーツに無精ひげを生やした男は、ニコラスと名乗った。

「お、俺はジャクソン、こっちは親友のアーサーとルーク。休日のビルってのを調べてるんだ。」

誰かに会って問いただされた時の言葉も考えていた。

「ほう・・・、そりゃ関心。・・・って、お前ら、どっかで見たような・・・?」

ニコラスがニヤリと笑った。

身構える3人の子供。

「ま、入れよ。」

鍵を開けて扉を押して子供たちを誘導する。

子供達は息を飲む。

躊躇する子供達にニコラスは言った。

「不法侵入で親呼ぶぞ?」

その一言で子供達は中へと入って行った。


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