第5話 七歳のデルク
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第5話 七歳のデルク
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僕は七歳になった。SSレアやUレアはなかなか出ない。
てか、Uレアはあの一回きりだ。
レアリティが高いものが出にくいのは承知しているけど、もう少し出てもいいんじゃないかな……。
そんな不満を覚えつつ、僕は懸垂をしている。
この懸垂は、六歳になった時にクエスト内容に追加されたもので、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、そして懸垂を三〇回一セットで、一日三セット行うと一ガチャポイントがもらえる。
懸垂が増えた分、せめて二ガチャポイントにしてほしいと思うのだけど、それはなかった。
多分、余裕で三セットできるようになったから、懸垂が増えたのだろう。神様もいけずやなぁ。
しかも懸垂三〇回って結構キツいんですけど。おかげで溜まりに溜まった疲労回復薬を一日三本も飲んでいますよ。そうじゃないと、腕が上がらず、食事もままならないんだ。
で、今は二セット目が終わり、疲労回復薬を飲んで休憩中。疲労回復薬を飲んだばかりなので、まだ腕が上がりません。
「デルク、何をしているの?」
庭の東屋で休憩していると、声がしたので振り向くと、三姉のスピカとフィーデリア嬢が立っていた。
フィーデリア嬢は五歳の属性確認の時に出遭った子で、ゲルミナス子爵の長女だ。つまり、あの転生者の子である。
「フィーデリア嬢、機嫌よう。運動後の休憩をしているんだ、スピカ姉様」
「ご機嫌よう」
フィーデリア嬢は僕と同じ年だからということで、両親の勧めで親交を持つことになり、月に四、五回くらいの頻度で僕が彼女の屋敷へ伺ったり、彼女がこの屋敷にやってきたりしている。
僕は関わり合いになりたくなかったけど、両親が勧めるものだから、嫌とは言えなかったのだ。
彼女は彼女で、僕のことにあまり興味がないようだ。この屋敷にきた時は、姉のスピカとばかり話をしているし、僕がお伺いした時は軽くお茶を飲んでお開きだもん。間違いないよね。
「それじゃあ、私たちと一緒にお茶しましょうか」
「うん」
二人の後ろに控えていた侍女がお茶の用意をしてくれる。その間に僕の腕も上がるようになった。
スピカ姉様のほうは、女の子ということで侍女がちゃんとついているけど、僕には侍女はいない。もうね、五男ともなると、どうでもいいらしいんだ。
長兄のパテリアス兄様が三七歳といういい年になったことから、家督を譲る話が出ている。だから、五男の僕は本当にどうでもいいわけ。
ちなみに、父の名はアトロス、長兄がパテリアス、次兄がトレイウス、三兄がクライス、四兄がトラバースなんだけど、全員最後に『ス』がつくけど、僕はつかない。
一応、『ス』をつけるのはナグラー男爵家の慣例なんだけど、僕はそれに入っていないんだよ。五男の扱いがいい加減なのが分かるエピソードだね。
スピカ姉様とフィーデリア嬢は、お茶を飲みながら楽し気に話をしている。僕はその二人の話を聞きつつ、たまに話が振られると、「うん」とか「はい」と答えるのがお仕事です。
元々(前世から)女の子とお喋りするのは、得意じゃないからね。僕からしたら、これでも上出来さ。
「デルクもそう思うわよね?」
「うん、そうだね、姉様」
基本的に話を振ってくるのは、スピカ姉様だけ。フィーデリア嬢から話を振られたことはない。
彼女の屋敷で二人でお茶をしても、彼女から話を振ってくることはない。僕って嫌われているのかな……?
スピカ姉様には笑みを見せるのに、僕には見せないのもねぇ。はぁー。
あ、そうそう。今年からスピカ姉様は学園に通い出した。貴族なら誰でも通う学園だ。
皇立パテルナード学園という学校だけど、一〇歳から一五歳までの六年制で色々な科がある。
魔法が使える人は、魔法科や錬金科などがあり、そうじゃなくても貴族科や政務科など色々な科に通える。
僕も一〇歳になったら学園に通うことになると思う。
七歳も半年が過ぎ、疲労回復薬に頼らずに体力作りをクリアできるようになってきた今日この頃。こういう成長を感じるのって、嬉しいことだと思う。
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デルク・ナグラー 男
身分 ナグラー男爵家五男
情報 転生者
統率 一〇
武力 二〇
魔力 一五
知略 一三
政務 一三
生産 一〇
魅力 一〇
属性 水(高)
恩恵 ステータス確認・健康体・ガチャ
技能 無限アイテムボックス
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毎日体力作りをしているおかげで、武力が伸びている。
外出ができるようになって、町の人々のステータスを確認して分かったことがある。一〇歳くらいまでの能力は毎年一から二程度上昇していき、それ以降は個人差が出やすく、上昇幅も大きくなる。
僕は多少能力が高いようだけど、武力と魔力以外は誤差範囲だと思う。
もっとも魔力は父親がそこそこ高いので、僕もそれを受け継いで高くなっているだけにすぎないと思われる。
自力で能力を大きく上げているのは、武力だけかな。
あと、知略と政務は毎日本を読んでいるから少し上がっているのだと思う。
そんな僕に家庭教師がつくことになった。これは学園に入った際に、恥ずかしくない学力をつけるためだ。貴族学校なので、他の子供たちもそれなりの学力をつけて入学するからね。
問題なのは、フィーデリア嬢も同じ学園に入学することだろうか。数百人のうちの一人なので、僕なんか相手にしないと思うけど、気が重い。
なんかさ、ジーッと見られるんだよね、いつも。前世で見たことあるヤンキーなら「何ガンつけてんだ、てめぇ!」という感じだよ。




