第4話 五歳の属性確認
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第4話 五歳の属性確認
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僕たちが入った建物は、貴族用の役所だった。前世の町役場みたいな建物は、本当に役所だった。
父が手続きをする間に、役所内の人たちを鑑定していく。二〇人くらいみたけど、能力は高くても三〇くらいだ。二人だけ五〇近い数値もいたけど、転生者はいなさそう。まあ、転生者なんて滅多にいないと思うから、出遭わなくて普通だよね。
女性職員についていくと、小部屋に入った。職員とうちの家族が入ると、狭く感じる小さめの部屋だ。
そこには色とりどりの石? が並んで置いてあった。形と色は違うけど、だいたい僕の顔くらいの大きさばかりだ。
「ではデルク様、左から順番にこれらの属性石に触ってください」
「触ればいいの?」
「はい。触った際に光りますと、その属性の才能があるということです」
ああ、なるほど。この石が属性を調べるためのアイテムか。へー、こうやって属性を調べるんだ。
僕は左の赤い石に触った。光らない。
「次へどうぞ」
緑色の石に触るが、これも光らない。
「風属性の適性もないようですね、次へどうぞ」
青色の石に触ると、今度は光った。結構眩しく光っている。
「水属性の適性が高いようです。次へどうぞ」
次からはどの石に触っても光らなかった。
「デルク様は水属性に比較的高い適性を持っておられます」
僕のステータスにあるように、僕には水属性への適性があると結論づけられた。光が結構強かったことから、水属性への高い適性があるらしい。
ま、ステータスでも(高)となっているから、適性は高いと思ってましたよ。
「ふむ。金属性も回復や聖属性もなかったか」
父は少しがっかりしている。
「まあ、水属性があるのだ、クライスのように宮廷魔法使いになればいい」
金属性、回復属性、聖属性は錬金術に必要な属性だから、錬金術師の父としては、これらの属性がほしかったようだ。
金属性は金属を錬成したり加工したりするのに必要な属性で、回復属性と聖属性はポーションなどの薬品を作るために必要な属性になる。
父と長兄のパテリアスは回復属性を持っているため、ポーション作りができるのだ。
次兄のトレイウスは無属性なので、身体強化ができることで衛士(騎士)になっている。
三兄のクライスは火属性と土属性を持っており、今は皇国の宮廷魔法使いとして城で働いている。
四兄のトラバースは回復属性を持っているが、錬金術師ではなく医師の道を選んで進んだ。
僕は五男なので、絶対に宮廷魔法使いにならないといけないわけではない。でも、無難に過ごしたいので、宮廷魔法使いになって安定を望むのもいいかもしれない。給料も悪くないようだしね。ただ、宮廷魔法使いは戦いに駆り出されるらしいから、それはちょっと怖い。
さて、属性を調べるのも終わったので帰ろうとホールに出ると、入口から貴族の一行が入ってきた。二〇代の金髪イケメン男性と金髪美女カップルに、これまた親のいいところを引き継いだ可愛らしい金髪の美少女の三人家族だ。
父はイケメンと知り合いのようで、にこやかに近づいていく。
「これはゲルミナス卿。お久しぶりですね」
「ナグラー卿か、久しぶりだ」
「今日はお嬢さんの属性の確認ですかな?」
「ええ、フィーデリアが五歳になったのでね。貴殿もかね?」
「はい。五男のデルクが五歳になりました。デルク、ゲルミナス卿にご挨拶をしなさい」
「はい。僕はナグラー男爵家のデルクと申します。以後、お見知りおきくださいませ」
「おお、お利巧な子だ。私はアレイウス・ゲルミナスという。爵位は子爵だ。よろしくね。こちらは長女のフィーデリアだ、同じ年だから仲良くしてやってほしい」
「フィーデリアと申しますわ。よろしくお願いいたします」
スカートを摘まんで、可愛らしくカーテシーをする美少女というのは絵になるね。
母同士とスピカ姉様も挨拶をしている間に、この人たちのステータスを確認してみる。一応、ステータス確認は、誰にも知られずに確認ができると神様が仰っていたので、大丈夫だろう。
おおお、このゲルミナス卿は統率が七六、魔力が八三もあるよ! 初めて見たハイスペックな人だ!
イケメンはステータスまでイケメン仕様なのか!?
ゲルミナス夫人は普通のステータスで、よい冷却時間がとれた。
さて、美少女のフィーデリアちゃんのステータスはどうかな……。
「っ!?」
なんですと!?
―――――――――
フィーデリア・ゲルミナス 女
身分 ゲルミナス子爵家長女
情報 転生者
統率 五
武力 四
魔力 五〇
知略 五
政務 四
生産 五
魅力 一〇
属性 全属性(極)
恩恵 魔法の天才・魔力上昇・詠唱破棄
技能 魔力操作
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この子、転生者だ!
何、あの魔力値? この年齢ではあり得ない魔力値だ!? ヤベーよ、この子!
そして恩恵は全て魔法特化!? この子は可愛い容姿に誤魔化されてはいけない。ヤバい魔法人間だ。
「何?」
「あ、いえ……なんでもありません」
僕が瞠目し、彼女をガン見していたから訝しがられてしまった。
僕は平穏な異世界生活を送るために、転生者には近づかないと決めている。転生者って絶対にトラブルメーカーだと思うんだ。だから、平穏無事を目指す僕とは相容れない存在である。
せっかく知り合えた美少女が、まさかの転生者だとは……。僕って女運が悪かったかな?
「それでは私たちはこれにて、よい結果になることを祈っております」
父が当たり障りない言葉を紡いで、役所を出た。
今後は彼女とニアミスをしないように、気をつけよう。
そんなことを思っていた僕だったけど、これから僕と彼女の運命は絡み合っていくのだった……。




