第3話 二歳から五歳のデルク
+・+・+・+・+・+
第3話 二歳から五歳のデルク
+・+・+・+・+・+
二歳になったんだけど、僕は今、ムスッとしている。
今日で累計で七二〇回(三〇連ガチャ二四回)のガチャを回したのだけど、おかしいな、SSレアが初回の一枚しか出てないんだよ。
七二〇回もプレイしたら、二枚か三枚は出てもいいんじゃないですかね、SSレアさん?
確立が〇・五パーセントなので、二〇〇回に一回と考えれば、確実に少ないと思えますよ? まあ確率なので、確定なわけではないですけど……。
心情としたら二年も経過してSSレアが一枚なのはね、皆もそう思うでしょ?
家族と日常は変化がないかな。父や兄たちは仕事を頑張っているようで、我がナグラー家は安泰だ。
あと、ナグラー家は男爵だけど、領地は持ってないようだ。所謂宮廷貴族というものらしい。
宮廷貴族とは国や貴族に仕える貴族で、領地は持たない。爵位としては男爵、騎士、官士がある。
男爵は世襲できるけど、騎士と官士は一代限りの貴族になる。主に平民が国や貴族に仕えて功績を立てると、騎士や官士になれるらしい。
この国で領地を持っているのは、子爵以上になる。うちも陞爵すると領地をもらえるようだが、それだけの功績を立てるのは大変だ。
国としてもポンポン領地を与えることはできない。何せ土地は有限なのだから。
そんなわけで、我がナグラー家はこのグライデン皇国が興って以来、三百年以上領地なしの男爵家である。
開国以来の家なので、名門と言えば名門だけど、うだつが上がらないとも言う?
さて、転生して三年が経過した。一〇八〇回のガチャをプレイして、なんとSSレアがトータルで二枚になった! いや、もっと出てもいいんだよ?
先年はSSレアが出ないと嘆いていた気もするが、今はニコニコ顔だ。ただし今後また出ない時期が予想されるので、気を引き締めないとガックリきちゃうと思う。
あと、早くUレアが出てほしいと思っていたりする。確率的には二〇〇〇回に一回なので、先は長いかとも思うのだけど、もうすぐUレアの顔が拝めるはずだ! そう前向きに考えて過ごしていこう。
それから、クエストをクリアしようと、チャレンジしてみた。
「はぁはぁ……無理」
腕立て伏せ、腹筋、スクワットをそれぞれ三〇回、それを一日に三セット行う。これがクエスト内容だ。
三歳児にこれは無理だった。まだ早かった。足腰がガクブルで動けない。
四歳になったけど、まだクエストはクリアできていない。一セット目をクリアすると、疲れ切ってしまうのだ。それでも二セット目をなんとか熟すのだが、もはや体が動かない。
二セット行った翌日は筋肉痛が酷いんだけど、疲労回復薬があるので、筋肉痛はすぐに収まる。
この疲労回復薬は五本セットで結構な頻度で出てくるので、重宝している。
四歳も半年が過ぎると、なんとかクエストをクリアすることができるようになった。
これで毎日二ガチャポイントが貯まる。
それからまだUレアは出ていない。早く見てみたいものだ。
五歳になった。最近はクエストをこなしても、筋肉痛にならないようになってきた。なっても以前ほど辛くない。
この半年は、毎日二ガチャポイントが貯まっていくので、年間七二〇ガチャポイントで三〇連ガチャが二四回プレイできる。
そして、待望のUレアが出た!
もうね、嬉しすぎて鼻血が出るかと思ったよ。
UR:技能の宝珠(無限アイテムボックス)×一
この技能の宝珠(無限アイテムボックス)を使えば、無限アイテムボックスを覚えることができるというものだ。
さすがはUレアだ! とんでもないものが出てきたよ!
―――――――――
デルク・ナグラー 男
身分 ナグラー男爵家五男
情報 転生者
統率 六
武力 八
魔力 一一
知略 六
政務 六
生産 六
魅力 六
属性 水(高)
恩恵 ステータス確認・健康体・ガチャ
技能 無限アイテムボックス
―――――――――
その翌日のことだ。
体力作りのクエストを終え、本を読みながら休息をとっていたら、あまり顔を見せない父が母と共にやってきた。
「今日はデルクの属性を確認するために出かけるぞ」
「属性、確認?」
いや、すでに水だと分かっているんですけど? あ、そうか! この世界では自分でステータスを見ることができないんだったね。
それならどうやって属性を調べるのかな? ちょっと興味が湧いてきましたよ!
父と母、そして姉のスピカと共に馬車……自動車に乗った。自動車なんてあるんだね。
この自動車、エンジン音がほとんどしないよ。モーターなのかな?
エンジン音は静かなんだけど、タイヤの音は結構する。ガガガッと地面の上をしっかり転がっていますよ、という感じだ。
「魔動車が珍しいか?」
僕がキョロキョロしていたら、父からそんな言葉がかけられた。
「はい。初めて乗りましたので」
「そうか、初めてだったか」
魔動車に乗るのもそうだけど、外出が初めてだからね。屋敷から出たことないんだよね、僕。
男爵家の屋敷って、結構大きいんだ。敷地も広いものだから、そこで散歩や運動ができるし、ほしいものがあったら使用人が買ってきてくれるから、外に出なくても事足りてしまうんだよ。
「たまには外に出ることを許す。ウィスナーラと共にだぞ」
「はい。ありがとうございます」
僕の横で座っているスピカが、よかったねと頭を撫でてくれた。
母とスピカ以外は、たまにしか会わないけど、家族仲は悪くないと思う。
窓に流れる街並みは、中世ヨーロッパのような石造りの建物が多い。
見るもの全てが僕にとって新鮮だ!
家族でお喋りをしつつ進んでいると、役所みたいなところに到着した。




