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無双なんて望んでないのに、なぜか怖がられている!? 【いつの間にか魔王よりもヤバい旦那と言われていた件について】  作者: 大野半兵衛


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第25話 院の懺悔

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 第25話 院の懺悔

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 四二歳の働き盛りである皇帝ルオーリックが退位し、皇太子だったアストリックが新皇帝に即位した。

 その翌日、玉座に座る新皇帝アストリックは、重臣たちを前に鷹揚に頷いた。


「皆も知っての通り、前皇帝であり、余の父であるルオーリックは皇帝の威信を大きく失墜させた」


 いきなり前皇帝の批判をするアストリックに、重臣たちはざわめいた。


「静まれ!」


 アストリックの一喝で静寂が訪れる。


「その原因はフィーデリア・ゲルミナス! その婚約者のデルク・ナグラー! である!」

「へ、陛下、まさか……」

「何を恐れるか!? 余は皇帝なるぞ!」


 その皇帝だったルオーリックはフィーデリアにぶっ飛ばされた。そのことを棚に上げ、アストリックは皇帝だから害されることはないと思っている。それが幻想だとも知らずに。


「暗部を動かせ! まずはデルク・ナグラーだ! こやつを拉致せよ!」

「よ、よろしいのですか、本当に……?」

「皇帝の威信は余が回復する! 仮にフィーデリアが魔王と言われるほどの化け物であっても、デルクはそうではない! デルクを人質にし、フィーデリアを無力化するのだ!」

「しょ、承知いたしました」


 重臣の一人が、暗部を動かすため下がっていく。


「ぐははははははっ! 見ておれ、魔王フィーデリア!」


 その直後だった。アストリックは体に違和感を感じた。徐々に体が熱くなり、顔が焼けるような熱を持った。


「うがぁぁぁぁぁっ!?」


 顔を押え、倒れるアストリック。

 重臣たちが駆け寄ると、アストリックのその顔は真っ黒に変色していたのだった。


「の、呪いだ。魔王の呪いだ!」


 重臣の一人が叫んだ。


「ば、莫迦な……本当に呪いなど……」

「今はそんなことを言っている場合か! 皇帝陛下を寝所に運ぶのだ!」


 騎士たちが皇帝を寝所に運び込み、すぐに医師が呼ばれた。

 回復魔法も聖魔法もアストリックには効果はなかった。

 そこで神官を呼んで解呪を施すことにした。すると、解呪を行っていた神官がいきなり苦しみ出し、アストリックと同じように顔が真っ黒になってしまった。


「やっぱり魔王の呪いだ。前陛下が仰っていたように、魔王に干渉しようとしたから呪いが発動したのだ」

「おい、マズくないか……」

「ああ、マズいな。暗部がデルクを拉致したら、再び魔王が動き出す。今度は実害があるのだ、国が亡びることになりかねん!」

「誰かある! 暗部をすぐに止めるのだ!」

「し、しかし、皇帝陛下の勅命で動いている暗部は、勅令以外で止めることはできぬぞ!」

「「「ぐぬぬぬ」」」


 この話はすぐに前皇帝ルオーリックの耳に入った。


「あれほど言って聞かせたというのに……」


 顔が真っ黒に染まり、荒い息をして意識がないアストリックを見下ろすルオーリックの顔は苦悶に歪んでいた。


「魔王に手を出すとは、なんと愚かな……呪われると言ったであろうが……」

「院(皇帝を退いたものの尊称で、正式には上皇)におかれましては―――」

「挨拶などいい。解呪しようとした神官も呪いにかかったのだな?」

「はい。高位の神官でしたが、まったく役に立ちませんでした」

「アストリックは何をしようとしたのだ? 詳しく話せ」

「はい、陛下は―――」


 重臣たちはルオーリックに包み隠さずに話をした。


「其方らにも魔王には触れるなと、言い聞かせたはずぞ! なのに誰もアストリックを止めなかったのか!?」

「も、申しわけ次第もございません。陛下の強いお言葉に、誰も異論を挟むことができず……」

「くっ……余が魔王さえ起こさなければ……アストリックの傲慢さを見極める目があれば……全ては余の不徳の致すところ、か……暗部をすぐに止めよ」

「し、しかし、勅令によって動いておりますれば」

「愚か者! 余が帝位にあった時に、魔王とデルク、その周辺の者に干渉するなと命を発しておろう! それは勅命ぞ! それをなんと心得るか!?」

「「「あっ!?」」」


 前皇帝であろうとも、勅命はずっと生き続ける。現皇帝がそれを解除しない限り、その勅命は有効なのだ。

 ただし、これまでそういった前例はない。何十年たとうが皇帝の勅令を否定すれば、皇帝の権威が傷つくからだ。それは現皇帝としても、よくはないことであった。


「今回の結果次第では、其方らも魔王に目をつけられるかもしれぬぞ」

「「「っ!?」」」

「気張れ」

「「「はっ!」」」


 重臣らが退室していく。残ったルオーリックはアストリックの手を握る。


「すまぬ。そなたに重荷を背負わせてしまったな……」


 手を置くと、ルオーリックは顔を上げた。


「トリアリックを呼ぶように」


 控えていた侍従が恭しく頭を下げると、ルオーリックの次男でアストリックのすぐ下の弟であるトリアリックを呼びに向かった。

 しばらくしてトリアリックが部屋にやってきた。


「アストリックはもう駄目だ」

「なっ!? へい……院、それはいかなることにございますか?」

「魔王の呪いは一〇〇日間苦しんでから死に至るものだ。アストリックは一〇〇日後に死に至るだろう」

「そんなこと……」

「魔王を甘く見るな。アストリックの二の舞いになるぞ」

「………」

「アストリックが死んだら、次は其方だ。いや、この状態では、すぐに即位してもらうかもしれぬ。皇帝になる心づもりをしておくように」

「そ、某に皇帝が務まるでしょうか?」


 トリアリックは不安だった。魔王の相手などしたくないと言うのが本音だ。


「さてな……。それは余にも分からぬ。アストリックの本性を見抜けなかったこの目ではな」

「院……」

「もっとも、一〇〇日後までこの国があればのことよ。ははは……」

「院、それは笑えない冗談です」

「……すまぬ。はぁー……。トリアリックよ、魔王のことに関しては全て其方が指揮を執れ。よいな」

「……承知しました」



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せ、セカンド・インパクト(百日呪死)が発動した……!!
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