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無双なんて望んでないのに、なぜか怖がられている!? 【いつの間にか魔王よりもヤバい旦那と言われていた件について】  作者: 大野半兵衛


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第11話 九歳後半から十歳のデルク

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 第11話 九歳後半から十歳のデルク

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 早いもので入学してから三カ月が経過した。

 この三カ月でフィーデリア嬢の天才さは、学園中に響き渡っている。並み居る先生も相手にならないという、教師たちには信じがたい現実があったのである。

 フィーデリア嬢が魔法の天才なのは五歳の時から知っていたけど、まだ一〇歳にもなっていない少女が教師を圧倒するのだから、現実とは酷なものだというのがよく分かったよ。

 そんなフィーデリア嬢のステータスは、こうなっている。


 ―――――――――

 フィーデリア・ゲルミナス 女

 身分 ゲルミナス子爵家長女

 情報 転生者

 統率 二五

 武力 四〇

 魔力 九〇

 知略 四五

 政務 三〇

 生産 五〇

 魅力 五〇

 属性 全属性(極)

 恩恵 魔法の天才・魔力上昇・詠唱破棄

 技能 魔力操作・魔力消費量低減

 ―――――――――


 魔力がカンスト間近の九〇もある。

 僕はこれまでに九〇以上の能力値を持つ人を見たことがない。現在、賢者に最も近いと言われているゲルミナス子爵でも、魔力は八三だ。

 しかも、何気に武力が四〇もあるのだ。まだ一〇歳にもなっていない少女が、である。


 僕はというと、無難に学生をしている。

 授業の成績は上の下くらいを維持し、上の者にはへいこらし、下の者にも腰を低くして対応している。誰かに恨まれることを避け、誰かに嫉まれることも避けたい……のだが、問題がある。


「おやおや、ナグラー男爵家の末弟君じゃないか」

「あ、これはエセヒロー様。おはようございます」


 この厭味ったらしい口調の少年は、僕と同じ一年生のエセヒロー公爵家の七男であるダドリー君だ。容姿だけは金髪の公子なんだけど、性格がね……。


「僕はね、君のような末端の者が口を利いていい者じゃないんだよ。身分を弁えたまえ」

「失礼しました」


 僕は頭を下げて、スススッと廊下の端に寄る。

 てかさ、話しかけてきたのは、彼なんだけどね。言っていることと、やっていることがチグハグだと思わないのかな?

 ダドリー君のエセヒロー家は、初代皇帝様の偉業を助けたことで、公爵に叙された。名門中の名門で由緒ある家柄だ。ナグラー男爵家が開国以来の家でも、公爵家とは比べるべくもない。

 そんな彼が僕に絡んでくるのは、フィーデリア嬢が原因だ。フィーデリア嬢のような魔法の天才で、容姿も学園一の美少女とくれば、誰でも興味を持つ。そんな彼女に僕のような男爵家の、しかも五男が婚約者というのが許せない人は多い。ダドリー君はその最たる人物だ。おかげで、いつもああやって厭味を言われるし、たまに嫌がらせもされる。

 彼は貴族科なので、授業中に顔を合わせないのがせめてもの救いだね。




 順風満帆とは言えない学園生活だけど、僕は一〇歳になった。

 Uレアはまだ二回のままだ。SSレアも少なめなので、なかなか渋い一年だった。

 クエストのほうは、今日から体力作り(腕立て伏せ、腹筋、スクワット、懸垂)がなくなり、ランニング一〇キロメートルが出た。

 一時間以内に、一〇キロメートルを走り切るのが新しいクエストだ。

 あと、魔法陣の形成は、まだ成功していない。こちらができていない状況なので、ランニングをがんばらないとね。


 起きてすぐにクエストを確認してよかった。知らずに筋トレしていたら、ガチャポイントがもらえなかったよ。

 とりあえず、今日から毎朝一〇キロメートルを走ることにした。屋敷の塀沿いを走ると、およそ四〇〇メートルだった。つまり二五周すれば、一〇キロメートルになる。


 ランニングは意外とキツい。今まで筋トレはしていたけど、ランニングはしてなかったからか。

 でも、なんとか走り切った。昔の筋トレを始めた頃とは違い、倒れて動けなくなるということはない。

 ランニングは雨でも雪でも走らないといけないのが、少しキツそうだ。

 ランニングをし、汗を拭いて少しの休憩をとっていると、朝食の時間になった。

 ちなみに、一〇キロメートル走っても、もらえるガチャポイントは一である。渋ちんの神様だ。


 魔動車で通学し、教室に向かっていると、呼び止められた。


「デルク・ナグラー」


 この声はダドリー・エセヒロー君だ。ただ、今まで一度もフルネームを呼ばれたことないのだけど、今日はどうしたのかな。

 ただ、今日はどんな厭味を言われるのかと、最近は少し楽しみになっている。底意地が悪いと、自分でも思うよ。そんなことを思っていたんだけど……え?


「おはよ……どうしたのですか、その恰好は?」

「くっ……」


 ダドリー・エセヒロー君はあっちこっちに包帯を巻き、顔には絆創膏、右腕は首から吊っていた。

 昨日は元気に厭味を言っていたので、昨日の放課後に交通事故にでも遭ったのかな?


「い、今まで……」

「ん?」

「すま……」

「なんですか?」

「すまなかった!」

「はい?」


 なんで謝っているの? 何か悪いものでも拾い食いした? あ、分かった! 謝っておいての、ドッカーンッと何かあるのですね! 何があるのですか? 水をかけようとしている人がいるんですか? それとも魔法で本当にドッカーンッ!?

 僕は周囲をキョロキョロ見回したけど、誰もいない。うーん、なんで誰もいないの? 普通は何人も生徒がいるのに?


「わ、私は謝ったぞ!」

「え? そ、そうですか……?」


 なんで謝るのかな? その理由が分からない。本当にどうしたの?

 ダドリー・エセヒロー君はタタタッと駆け足で去っていった。彼が角を曲がると、すぐに他の生徒がゾロゾロと歩いてきた。なんだったのかな、今のは?



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