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無双なんて望んでないのに、なぜか怖がられている!? 【いつの間にか魔王よりもヤバい旦那と言われていた件について】  作者: 大野半兵衛


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第9話 九歳の一月

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 第9話 九歳の一月

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 新年を迎え、僕はゲルミナス子爵邸へと、挨拶に伺った。数年後にはこの屋敷に婿として入るので、節目の挨拶は欠かせない。

 ゲルミナス子爵とその第一夫人(フィーデリア嬢の母)、そしてフィーデリア嬢以外の家族一同が迎えてくれた。

 ゲルミナス子爵家の家族構成は、前子爵夫妻(妻三人と共に領地のほうに在住)、現子爵夫妻(妻二人)、子供が三人(全員女の子)になる。

 あとは使用人がたくさんいる。さすがは領地持ちプラス国の役職持ちの子爵家だ、王都屋敷の使用人だけでも二〇人くらいいるんじゃないかな。うちなんか一〇人もいないよ?


「ゲルミナス子爵様、ご挨拶申し上げます」

「よくきてくれたね、デルク君」


 ゲルミナス子爵から始まり、皆さんと挨拶をする。

 フィーデリア嬢の妹は三歳と二歳で、お人形さんのように可愛い。ゲルミナス子爵家は美形の家系のようだ、羨ましい。

 僕だってもう少し容姿がよかったら、口下手を顔で補えるのに、と思わないではない。ないものねだりなのは、理解しているよ。


 皆さんの挨拶が終わったのを見計らったように、階段の上にフィーデリア嬢が現れた。今日はまた一段と美しく、キラキラしているよ。

 彼女は主役とばかりに、ゆっくりと階段を下りてくる。

 こういう時の対応を、レベナック男爵夫人が教えてくれたような気がする。なんだったか……あっ、そうだ! 階段下までいき、彼女の手を取って手の甲にキスするんだった。

 ぎこちなく階段下まで移動し、彼女に声をかける。


「フィーデリア嬢、いつぞやはいいものをありがとうございました」


 跪き、彼女の手を取ってキス。やってみたら滅茶苦茶恥ずかしい。


「こちらこそ……」


 彼女が引いてなければいいのだけど、と上目遣いでフィーデリア嬢の顔色を窺う。

 うわ、すっごい嫌そうな表情!? マジで、どうやってリカバリーしたらいいんだ!?

 結局、僕にリカバリーなんてできるわけもなく、彼女の頬がヒクヒクしているところに、ゲルミナス子爵が声をかけてくれて、なんとかなった。なんとかなったのか、これ?


 その日は豪華な食事をいただき、最後にフィーデリア嬢と二人で(侍女はいたけど)親睦を深める。深められた気はしないんだけど……。

 しかし、こんな僕でいいのだろうか? フィーデリア嬢ならもっといい男と縁談があってもおかしくないよね。魔法の天才だし、美少女だし。

 なのに僕なんかと婚約して、彼女は不満なんだと思う。もっとイケメンこい! 金持ちこい! 高位貴族こい! と思っているんじゃないかな。

 ポジティブな考えなど一つも浮かんでこない。そんな時、僕が贈ったブローチを彼女の胸にみつけた。


「そのブローチをつけてくださったのですね」

「ええ」


 今日一番の嬉しいことだった。





 ゲルミナス子爵家へ挨拶に伺った二日後、僕は体力作りのクエストを午前中で終わらせた。

 四セットならそれほど時間をかけずに終わらせられるようになった。神様の嫌がらせを、華麗にスルーしてやるぞ!

 開いた時間は、勉強に当てる。

 家庭教師のレベナック男爵夫人は、昨年末で契約が終わっているので、入学するまで自分で復習をする時間だ。座学はなんとかなるので、一番不安な魔法について復習するつもりでいる。

 ちなみに僕たちが入学する学園は、一月一五日から始まるので、あと一〇日もない。


 魔法を復習する前に、僕は以前のガチャで出たSレアのカードを具現化する。

 テーブルの上に現れたのは、一冊の書物だ。重厚な革装かくそうが施されていて、実際に持つとずっしり重い。

 これは『古代魔法大全集(日本語翻訳版)』というもので、Sレアで出た以上、かなり貴重なものだと思われる。

 僕は魔法無双に興味はないのだけど、カードに書かれていた説明に『魔法の神髄を学べる』とあったので、ちょっと興味を持ってしまったのだ。


 古代魔法大全集を開けると、確かに日本語で書かれていた。しかも精巧な挿絵もある。

 久しぶりの日本語に触れて、少し懐かしい気持ちだ。

 気づけば、夕方になっており、僕は時間を忘れて読んでいた。まだ五〇ページも読んでないけど、内容は分かりやすく、僕でも理解ができるものだった。


「へー、魔法というのは、魔法陣を形成するもので、詠唱は言葉で魔法陣を形成する技術なんだー」


 でも、レベナック男爵夫人は詠唱を覚えるだけでいいと言っていたよ? 魔法陣は、高学年で教えてもらえるのかもしれないね。


 僕が使える水属性の魔法陣の記載もある。古代では、この魔法陣を魔力で構築して魔法を発動させていたのだとか。

 つまり魔力を動かす必要があるのである。


「これは難しいな……」


 魔力を動かすなんて、これまで考えたこともなかった。当然ながら魔力を動かせる気配はない。

 古代魔法大全集には、日々努力とあるので、努力しようと思う。




 翌日、クエストに新しいものが増えた。『魔法陣を形成しよう!』というものだ。つまり、今日から体力作りのクエストの他に、この魔法陣形成の訓練をすることになるわけだ。

 それに、このクエストの達成報酬がなんと三〇ガチャポイントなのだ! これはやらないといけないね!


「いつか魔法陣を形成してみせるぞ!」


 毎月ガチャポイントが入るのは、一五歳の誕生日までなので、それ以降はこういったクエストをクリアしないとガチャポイントが溜まらない。

 今の体力作りのクエストがいつまで続くのかも分からないので、クエストはできるだけクリアしていきたいんだよね。



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