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電話

渚「満里奈?」

満里奈「ん?」

ゼミを終えてみんなで授業を受けていたが、満里奈はなにやら考え込んでいる様子。

正直彼女はなにを考えているか分かりにくい。

渚「ぼーっとしてどうしたの?」

満里奈「別に?」

女性のこう言った言葉は、本当は何かある時の言葉らしい。大が言ってた。

渚「そういえば玲奈さんとは友達?」

満里奈「え?だったら何?玲奈の名前出さないで?関係ないよね?」

彼女の言葉に俺の心はギュッと締め付けられた気がした。

その上、彼女の鋭い目つきで体が震える。

渚「あ・・・ごめ」

満里奈「ごめん!違うの!本当にごめん!」

顔色を青くして、必死に謝る満里奈。俺は何か最低なことをしてしまった気分になる。


渚「お、落ち着いて、大丈夫だから」

莉愛「どうしたの?」

俺らの様子に違和感を持った莉愛が話しかけてくる。

渚「何でもないよ!ちょっとふざけてただけ!」

満里奈「・・・」

言い訳にしては適当すぎたかもしれない。

でも俺もパニックで頭が全く回っていなかったんだ。

莉愛「そう?」

・・・完全に調子に乗った。

俺はきっと少し優しくされただけで勘違いしてしまったんだ。

身の程を弁えるべきだった。俺はバカだ。


4限が終わり、今日の授業はこれで終わりだ。

あれから満里奈はずっと気まずそうな顔をしていた。

大「この後カラオケ行くけどくる?」

渚「今日は予定あるからいいかな。ごめんね」

誘いを断ってしまうとノリが悪いと思われる可能性はある。

だからもう誘ってもらえないことは覚悟している。

大「そっか。じゃあまた明日」

今日は別に予定があるわけじゃない。みんなと遊びたかった。

でも・・・あんな顔見たら怖いよ。

自分が悪いのはわかってるけど。




咲「渚」

みんなと別れて一人で駅へ向かっていると、後ろから咲の声がした。

渚「あ、咲!カラオケは?」

咲「んー、今日はいいかなって」

彼女は彼氏がいるし、あまり積極的にみんなと出かけることは多くはないらしい。

でも皆んな曰く、彼女といると落ち着くらしい。

渚「そっか・・・」

咲「・・・聞きたいことあるんじゃない?」

俺の目をまっすぐ見つめながら聞いてくる。

先ほども俺のことを見ていたし、何かトラブルがあったのはお見通しだったのかな?

渚「え?」

咲「気のせいだったらいいけど」

多分、彼女は気を遣ってくれているんだと思う。

そんな彼女の優しさを無駄にはしたくは無いな。


渚「あ・・・満里奈ってその・・・」

しかし言いにくくはある。それに結局俺が悪いんだし。

咲「満里奈はね、ちょっと変わったとこあるから」

変わったところか。でも女の子はやっぱ機嫌とか変わりやすい日もあるだろうし、俺が気を使わなくてはいけなかったよね。

渚「怒らせちゃったかな・・・」

咲「多分大丈夫だよ」

少し俺に微笑む。なんだか少し安心できた気がした。

彼らが言っていた落ち着くって感じが少し分かった気がした。

渚「そうかなあ」

咲「とりあえず渚からは満里奈の前で他の女の子の名前出すのやめてあげて」

渚「え?・・・わかった」


家に帰り、すぐにベッドに寝転がる。

大丈夫とは言われたけど、結構ショック。

女の子に・・・友達に俺はあんな顔をさせてしまった。

帰ったきたのは5時ぐらいだったけど、食欲が湧かない。少し寝ることにしようか。

寝ればリフレッシュできるだろう。頼むからそうであって欲しい。

このまま満里奈のことを考え続けたら頭がおかしくなってしまいそうだ。

ここにきて、女の子との経験のなさが露呈してしまっている。

いや、今はなにも考えないでおこう。

アラームで30分かけてから目を閉じた。




「ピピピピ」

渚「うーん・・・って暗っ」

外は真っ暗で、スマホを見ると時刻は20時だ。

なんだか少しリラックスできた気がする。お腹も空いたなあ。

渚「はあ・・・ご飯食べよ・・・ん?」

スマホの通知を見ると、満里奈からLINEがきている。

そういえば友達に追加してなかったけど、何か用だろうか?

心臓の鼓動が速くなり、額から汗が吹き出す。

満里奈「今日はごめんね」

ただその一言だけが、2時間ほど前にLINEに送られていた。

俺は少しホッとした。でもまだ油断はできないよな。


本当は謝りたいのはこちらの方だよね。

調子に乗って話しかけてしまった。高嶺の花である存在に、軽々しく。

それに加えて、謝らせてしまうなんて本当に申し訳ない。

しっかり気持ちを伝えなきゃ。

渚「えっ!?」

「ブー」

スマホが揺れ、電話の音が鳴る。

・・・電話の主は満里奈だった。

流石に電話は心の準備ができなくて、後で折り返すことにした。

寝室からキッチンへ移動し、冷凍食品と残り物を食べる。

頭では満里奈の顔が浮かび、離れない。明日もう一度ちゃんと謝ろう。

それにもう彼らとは関わらない方がいいかもしれない。

やっぱり俺なんかが一緒にいて良いような人たちじゃない。


渚「ん?」

30分後、寝室からまた電話が鳴る音が聞こえる。

渚「満里奈かな?心を決めなきゃ」

そんな事を呟きながら寝室へ行くとや、はりスマホに着信があった。

俺は深く深呼吸をして、プルプルした手でスマホを持ち上げる。

渚「あ・・・切れちゃったか」

電話が切れてしまい、俺は真っ暗な画面を見つめる。

かけ直すべきか?

渚「・・・え!?」


かけ直そうとスマホの画面を見ると、着信が20件。

全ては満里奈から。正直ゾッとした。

「ブー!」

渚「ひっ!」

再び着信があり、体がビクッと跳ねる。

心を決め、電話のボタンを押す。

渚「・・・もしもし」

満里奈「渚!渚なの!?大丈夫!?」

満里奈の声は震えているが、かなり大きい。

渚「お、落ち着いてよ」

満里奈「なんで電話出なかったの!?心配したじゃんっ!」

渚「あ・・・い、今まで寝ててさ」

満里奈「本当に心配したんだよ!?」

渚「ごめん・・・」

彼女の悲痛にも聞こえる声を聞いて、再び心臓が締め付けられた気がした。


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