みゆちゃんと柴犬ももの秋の冒険
むかしむかし、紅葉が山を彩る秋の里に、みゆちゃんという小さな女の子とおかあさんが暮らしていました。
ふたりのそばには、ふわふわの茶色い柴犬、モモがいつもちょこちょこ歩き回っていました。
モモは、くるんと巻いたしっぽとキラキラした目が自慢の、元気いっぱいな子でした。
ある秋の朝、みゆちゃんはおかあさんに言いました。
「おかあさん、モモと一緒に、おうちの裏の林にどんぐり拾いに行きたいな! おいしい秋のおやつを作りたいの!」
おかあさんは笑って、「いいわよ、モモと一緒に気をつけておいでね。どんぐりだけじゃなく、他のおいしいものも見つかるかもしれないね!」と答えました。
みゆちゃんは小さなカゴを手に、モモと一緒に林へ出かけました。
林は黄色や赤やオレンジの葉っぱでいっぱい。
風がふくと、カサカサと葉っぱが歌うようでした。
モモはしっぽを振って、くんくん鼻を鳴らしながら、みゆちゃんの前を走ります。
「モモ、待ってよ!」と、みゆちゃんが笑うと、モモは「ワン!」と元気に返事しました。
林の奥にたどり着くと、みゆちゃんはキラキラ光るどんぐりをたくさん見つけました。
「わあ、こんなにいっぱい! おかあさんとどんぐりクッキーを作ろう!」
カゴにどんぐりを集めながら、モモは何かを見つけたように、クンクンと地面を嗅ぎ始めました。
「モモ、なに? またキノコでも見つけたの?」
みゆちゃんが近づくと、モモが落ち葉の中から掘り出したのは、赤くてつやつやした柿の実でした。
「わあ、柿だ! こんな大きな柿、初めて見た!」みゆちゃんはびっくり。
見上げると、柿がたくさん実っています。
モモは得意げにしっぽを振って、もう一つ柿を見つけました。
みゆちゃんはカゴに柿をそっと入れ、「モモ、えらいね! おかあさんに持って帰ろう!」とほめました。
でも、モモはまだ何かを見つけたようで、くるくる走り出しました。
モモが止まったのは、大きな栗の木の下。
地面にはイガイガの栗がころころ転がっていました。
「栗だ! モモ、すごいよ!」みゆちゃんは目を輝かせ、モモと一緒に栗を拾いました。
イガイガを手に持つのは大変だったけど、モモがそばで「ワン!」と応援してくれるので、みゆちゃんはがんばりました。
カゴがいっぱいになったころ、夕焼けが森をオレンジ色に染めました。
「モモ、そろそろ帰ろう。おかあさんが待ってるよ」
みゆちゃんが言うと、モモはしっぽを振って、まるで「うん、わかった!」と言うように走り出しました。
家に帰ると、おかあさんはカゴを見てびっくり。
「まあ、どんぐりに柿に栗! モモとみゆちゃん、すてきな秋の宝物を見つけたのね!」
その夜、みゆちゃんとおかあさんは、どんぐりでクッキーを焼き、柿をスライスして干し柿に、栗はゆでてほくほくのおやつにしました。
モモはテーブルの下で、みゆちゃんが落としたクッキーの欠片をぱくっと食べて、しっぽをぱたぱた。
「モモ、今日は楽しかったね。秋の森は宝物でいっぱいだね!」
みゆちゃんが言うと、モモは「ワン!」と一声。
暖かい部屋に、秋の香りと笑い声が響きました。
そして、みゆちゃん、モモ、おかあさんの心は、秋の実みたいにほっこりと温かくなったのでした。
おしまい。




