第95話「クリスマスの計画」
① 結花の提案
「ねえ、みんなでクリスマスパーティーしない?」
結花がそう言い出したのは、12月に入ってすぐのことだった。
教会のボランティア活動のあと、5人は教会の一角でコーヒーを飲みながら雑談していた。
「クリスマスパーティー?」
美紅がカップを傾けながら、少し驚いた表情を見せる。
「うん! せっかくだし、ちょっと豪華にレストランを貸し切って、みんなでゆっくり楽しもうよ。」
「貸し切りって、そんなことできるの?」
「うん、知り合いの人にお願いしたら、個室を用意してくれるって!」
結花の目が輝いている。
「クリスマスって、恋人と過ごすものじゃないのか?」
朔が冗談めかして言うと、結花は即座にツッコんだ。
「なにそれ! そんなの関係ないでしょ!」
「はいはい、分かった分かった。」
朔が肩をすくめる。
② 美紅の静かな戸惑い
「……こういうクリスマス、初めてかも。」
美紅がぽつりと呟いた。
「え?」
「ううん、なんでもない。」
美紅はすぐに微笑んだが、その表情はどこか曖昧だった。
彼女にとって、クリスマスはいつも仕事か、母親との二人きりのものだった。
家族や友人と賑やかに過ごすクリスマスは、今まで考えたこともなかった。
(……でも、こういうのもいいかもしれない。)
③ プレゼント交換のルール
「せっかくなら、プレゼント交換もしない?」
結花の提案に、隼人が微笑む。
「いいね。でも、どうやって決める?」
「くじ引きでランダムにしようよ!」
「それは面白そうだな。」
幸次も静かに頷く。
「予算は?」
「うーん、五千円以内くらい?」
「了解。じゃあ、当日までにそれぞれプレゼントを用意しておこう。」
こうして、5人のクリスマスパーティーの計画が決まった。
④ 隼人の違和感
その夜、隼人は一人で教会の書斎にいた。
結花の楽しそうな笑顔を思い出しながら、ふと別の顔が脳裏をよぎる。
(……樫村理央。)
彼女の元恋人。
結花はもう彼を吹っ切っているのだろうか?
それとも、まだどこかで彼のことを想っているのか——。
クリスマスが近づく中、隼人は自分の中に生まれた微妙な違和感を、持て余すことになった。




