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第74話 京都紅葉旅行編 第三話


「京都の食べ歩き」


① 錦市場へ!


「次は食べ歩きタイムだー!」


結花が意気揚々と先頭を歩く。


5人がやってきたのは、京都随一の食べ歩きスポット、錦市場。


「わぁ、すごい賑わい……!」


美紅が周りを見渡すと、色とりどりの京漬物、串に刺さった湯葉、出来たてのだし巻き卵などが並んでいた。


「よし! 何から食べる?」


「まずは、だし巻き卵!」


「異議なし。」


幸次が即答し、5人は老舗の卵焼き屋へ。


「おお、ふわふわだ……」


「うん、出汁がすごく効いてる!」


美紅が一口食べて目を輝かせる。


「お兄ちゃん、早く食べなよ!」


結花にせかされ、朔も一口食べる。


「……これ、普通にめちゃくちゃ美味いな。」


「でしょー!」


こうして食べ歩きは始まった。


② みんなで楽しむ食べ歩き


次に訪れたのは、湯葉コロッケの店。


「湯葉をコロッケにするって、斬新だな。」


「でも、めっちゃ美味しそう!」


「5つください!」


出来たての湯葉コロッケを受け取り、それぞれ一口かじる。


「うわ、クリーミー……!」


「湯葉の優しい味がする……!」


「なんか上品なコロッケって感じだな。」


「隼人さん、口の端にパン粉ついてますよ。」


「え、どこ?」


「ここ!」


美紅が指で示すと、隼人はちょっと照れたように拭った。


「……ありがとう。」


「ふふ。」


そんなやり取りを見ながら、朔は何気なく美紅の横顔をちらりと見た。


(こうやって、何気なく人に優しいよな……。)


③ みたらし団子と、何気ない気遣い


さらに市場を進みながら、みたらし団子の香ばしい匂いが漂ってくる。


「うわ、これは食べるしかないでしょ!」


結花が嬉しそうに買いに行く。


「1本ずつ……じゃなくて、まとめて5本買おう!」


「また大人買い……。」


「いいのいいの! みんなで食べるのが楽しいんだから!」


結花がみたらし団子を配る。


「ほい、朔!」


「おう。」


「美紅!」


「ありがとう!」


みんなで一斉に頬張る。


「んー! 甘じょっぱくて美味しい!」


「タレの焦げた香ばしさがいいな。」


隼人と幸次も満足そうに頷く。


そして、朔はふと美紅の分の団子のタレが手に垂れているのを見つけた。


「ほれ。」


そう言って、ポケットからティッシュを出して渡す。


「え? ありがとう!」


美紅は何気なく受け取り、さっと手を拭いた。


「気づかなかった……。」


「まぁ、食べてりゃそうなるよな。」


「うん。でも助かった!」


美紅は満面の笑顔でそう言った。


(……あー、やばいな。)


朔は、心の中でそっと息をつく。


こんな些細なことで、嬉しくなってる自分がいる。


(やっぱ、俺……好きなんだろうな。)


でも、それを美紅はもちろん、誰にも気づかれないように、朔は軽く肩をすくめた。


「お前、ほんとよくこぼすよな。」


「えー、そんなことないよ!」


「いや、あるだろ。」


いつもと変わらないやり取り。


それが、朔にとっては一番心地よかった。


④ 旅はまだ続く


「よーし、次は抹茶ソフトクリーム!」


結花が張り切ると、幸次が「どんだけ食べるんだ……」と苦笑する。


「え? せっかくの旅行なんだから、食べなきゃ損でしょ?」


「まぁ、それはそうか。」


「美紅も食べる?」


「うん、食べたい!」


「じゃあ、行こう!」


結花と美紅が楽しそうに並ぶのを見ながら、朔はそっとポケットに手を入れた。


(……まぁ、こうしてればいいんだよ。)


自分の気持ちは、自分の中だけにしまっておく。

それが、この関係を続ける一番の方法だから。


「おい、俺も抹茶ソフト食うからな。」


「えー、意外!」


「うるせぇ。」


わいわいと賑やかな雰囲気のまま、5人は次の目的地へと向かった——。




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