第72話 京都紅葉旅行編 第一話
「京都旅行の始まり」
「紅葉、見たい!」
結花の突然の発言に、リビングにいた4人は一斉に彼女の方を向いた。
「……は?」
最初に反応したのは朔だった。
「紅葉? まぁ、そろそろ見頃だけど……急にどうした?」
「だって! 秋といえば紅葉でしょ? それなら京都とか最高じゃない?」
「いや、それは分かるけど……」
「行こ! 5人で京都!」
「ちょっと待て、話が飛びすぎてねぇか?」
朔が呆れたように言うと、結花はじっと美紅を見つめる。
「美紅! 行きたくない?」
「え、うん、行きたいかも。」
美紅が頷いた瞬間、結花は嬉しそうに手を叩いた。
「ほらね! じゃあ決まり!」
「いやいやいや、決まりって……」
「朔、お前運転な。」
幸次があっさりと言い、朔は「おい」と抗議するが、すでに旅の流れは決まっていた。
「隼人さんも、行けますよね?」
「もちろん。紅葉は好きだし、京都もいいね。」
「ほら、隼人さんも賛成!」
「幸次さんは?」
「断る理由がないな。」
「よし、じゃあ週末に決定!」
こうして、結花の突然の提案から京都旅行が決まった。
出発当日
朝早く、5人は集合し、朔の運転で京都へ向かうことになった。
「俺の車、完全に旅行用にされてるよな……」
「お兄ちゃん、運転頼んだよー!」
「お前が言い出したんだから、お前が運転しろ。」
「えー、無理無理!」
結花が助手席に乗り込み、後部座席には幸次・隼人・美紅が座る。
「よし、出発!」
高速道路を走りながら、車内はわいわいと賑やかだった。
「京都といえば、どこ行くの?」
「まずは嵐山でしょ! 紅葉見て、竹林歩いて……。」
「錦市場で食べ歩きもしたい。」
「あと、夜の清水寺のライトアップ!」
「ホテルも予約したし、楽しみですね。」
結花が勢いよく旅の計画を語る中、朔は小さく笑った。
(ほんと、こいつはいつも元気だな……。)
美紅も楽しそうに結花と話している。
(まぁ……こいつらが楽しそうなら、それでいいか。)
こんな賑やかな旅になるのも悪くない。
そう思いながら、朔はハンドルを握り、京都へ向かう車を走らせた。




