第67話 現代での再会
(“それぞれの道” を歩む中で——思いがけない再会)
① 教会イベントの準備
桜山教会でのイベントの日。
結花は、隼人や奏介たちと一緒に準備を進めていた。
今日のイベントは、地域の子どもたちやお年寄りが楽しめる音楽会。
「結花、リハの時間そろそろだぞー。」
朔が軽い調子で声をかけてくる。
「うん、わかってる!」
「ちゃんと水分補給しとけよ。」
「お兄ちゃん、いちいちうるさい!」
朔に言われなくてもわかってる。
でも、こうして心配してくれるのが、なんだか嬉しくもあった。
「奏介さんも準備、ありがとうございます!」
「いや、結花ちゃんの歌がメインだからな。俺はギターで支えるだけさ。」
奏介はいつもの爽やかな笑顔で答える。
(こうやって、いろんな人と一緒に音楽を届けるのって、本当に楽しい。)
結花の活動は、確実に広がっていた。
しかし——この日、結花にとって予想外の出来事が起こることになる。
② “あの人” が教会に現れる
イベントの直前、結花はリハーサルのために会場の控え室に向かっていた。
そして、廊下を歩いていると——。
「……久しぶり。」
ふいに、後ろから声をかけられた。
結花は驚いて振り返る。
そこに立っていたのは——
樫村理央。
(……え?)
一瞬、時間が止まったように感じた。
「……理央?」
驚きのあまり、結花は彼の名前を呟くことしかできなかった。
理央は、少しぎこちない表情を浮かべながら、結花をじっと見つめていた。
「こんなところで会うなんてな。」
「……どうして、ここに?」
「テレビの仕事で近くまで来てて……。」
理央はポケットに手を入れ、少し視線をそらした。
「たまたま、教会の前を通りかかってさ。」
(……たまたま?)
そんな偶然、あるんだろうか。
それとも——
(……理央は、わたしのことを見に来た?)
結花の胸がざわついた。
③ それぞれの”今”
気まずい沈黙のあと、理央が口を開いた。
「……お前、歌を続けてたんだな。」
「うん。」
「……前より、すごく楽しそうに見える。」
結花は少し驚いた。
(理央が、そんな風に言うなんて。)
「理央は……忙しい?」
「まあな。やっと主演の仕事が増えてきた。」
理央の言葉を聞いて、夢奈は少し微笑んだ。
「すごいね。」
「……お前もな。」
「え?」
「歌ってるお前……前よりずっと、自信に満ちてる。」
理央の言葉に、結花の胸がじんわりと温かくなる。
二人は、それぞれの道を進んでいる。
それを、ようやく実感できた気がした。
④ 再会がもたらすもの
「……そろそろ、戻らなきゃ。」
結花がそう言うと、理央は少し躊躇いながらも頷いた。
「……またな。」
「うん。」
そう言って、理央は教会を後にする。
結花は、その背中を見送りながら、ふと考えた。
(“またな” か……。)
(理央とはもう、関わることはないと思ってた。)
でも——
(この再会が、何かの始まりになるのかな。)
そんな予感が、結花の胸にふっとよぎった。




