表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/167

第54話 理央の告白と、結花の決意

(“隼人を諦めるため” の選択——理央との恋が始まる)


① 理央の告白


高校1年の冬。


放課後の帰り道、結花は理央と二人で並んで歩いていた。

いつも通りの何気ない帰り道だったが、その日はどこか違った。


「……なあ、結花。」


不意に、理央が足を止めた。


「ん?」


「俺と、付き合わねえか?」


(……え?)


結花は、一瞬言葉を失った。


「えっと……どういうこと?」


「そのまんまの意味だよ。」


理央は少しだけ照れくさそうに目をそらしながら、低い声で続けた。


「お前といると、なんか……楽なんだ。」


「……楽?」


「俺、今まで誰かと一緒にいるのがめんどくせぇって思ってた。でも、お前といると、そう思わねえんだよ。」


真剣な目を向けられ、結花は胸の奥がざわつくのを感じた。


(理央が……わたしのことを……?)


② 隼人への想いと、理央との間で揺れる心


家に帰った後も、心は落ち着かなかった。


(理央と付き合う……?)


今までそんなこと考えたことがなかった。

でも、頭に浮かぶのは、隼人の顔——。


(……わたし、本当は隼人さんのことが好きなんじゃないの?)


だけど、隼人はもう大学生で、大人っぽくなっていて——

“もう手の届かない存在” に思えてしまう。


(きっと、隼人さんはわたしのこと、そんな風に見てない。)


そして、理央の言葉が思い出される。


「お前といると、楽なんだよ。」


(わたしも、理央と一緒にいるのは楽しい……。)


それは、今まで隼人には感じなかった感覚だった。


(もしかしたら、理央と付き合えば、隼人さんのことを諦められるかもしれない——。)


③ 結花の決意


翌日、結花は理央を呼び出した。


校舎裏の静かな場所で、二人は向かい合う。


「昨日のことだけど……。」


結花は、一度深く息を吸い込んでから、ゆっくりと言葉を紡いだ。


「……わたしも、理央と一緒にいるの、楽しいよ。」


「……じゃあ。」


「だから……付き合ってみようかなって思う。」


理央の目が、一瞬だけ大きく見開かれた。


「……マジで?」


「うん。でも、そんなにちゃんと ‘好き’ ってわけじゃないかもしれないから……。」


「……。」


「でも、これから好きになれるかもしれないって思うから。」


結花がそう言うと、理央は少し困ったような顔をしながら、それでも嬉しそうに笑った。


「……まあ、お前らしいっちゃ、お前らしいな。」


「えへへ、ごめんね。」


「……まあ、いいよ。これから、ちゃんと好きにさせる。」


そう言って、理央は照れくさそうに視線をそらした。


その横顔を見て、結花は少しだけ胸が温かくなるのを感じた。


(……これで、隼人さんのことを忘れられるかな。)


④ 付き合い始めた二人


こうして、結花と理央の”恋人としての時間”が始まった。


最初は特に何も変わらなかった。

学校ではいつも通り、理央は無愛想で、結花はそれを茶化しながら笑う。


だけど、時々ふとした瞬間に、理央が結花の手を引いたり、

「寒いなら手、貸せよ」と言ったりするのが、なんだか少しだけ特別に感じた。


(理央って、意外と優しいんだよな……。)


結花は少しずつ、“恋人としての理央”を知っていくことになる——。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ