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第48話 結花の迷いと、隼人の決意

(「過去」と「今」、揺れる気持ち——それぞれの選択)


① 結花、理央の訪問を知る


翌日、教会のホール。

結花は紅茶を淹れながら、美紅と談笑していた。


「そういえば、昨日って教会に誰か来てた?」


何気なく尋ねると、美紅は少し考えてから答えた。


「えっと……あ、そういえば隼人さんが誰かと話してたみたいよ?」


「そっか……誰だったんだろう。」


結花は紅茶を混ぜながら、なんとなく気になった。


すると、ちょうど隼人がホールへ入ってきた。


「隼人さん!」


結花は声をかけ、彼のもとへ歩み寄る。


「昨日、誰か来てた?」


隼人は一瞬ためらったが、静かに答えた。


「……樫村理央さんだ。」


「……え?」


結花の手が止まった。


「理央が……ここに?」


(なんで……?)


② 結花の戸惑い


「昨日、結花に会いに来たと言っていた。」


隼人は静かに続けた。


「でも、結花がいなかったから俺が応対した。」


「そう……。」


結花は紅茶のカップを握りしめる。


(なんで今さら……?)


2年前、理央との関係を終わらせたとき、結花は彼の未来のために身を引いた。

もう会うことはないと思っていたのに。


「……何か、言ってた?」


結花が恐る恐る尋ねると、隼人は少し言葉を選んだ。


「……まだ、結花のことを大切に思っている、と。」


「……。」


結花はそっと息を吐いた。


「そう……。」


もう未練はない。

でも、理央のことを大切な人だったと思う気持ちは、今も変わらない。


(……理央。)


戸惑いと懐かしさが入り混じる感情に、結花は目を伏せた。


③ 隼人の決意


そんな結花の表情を、隼人はじっと見つめていた。


(……やっぱり、特別な人だったんだな。)


昨日からずっと胸の奥に残っていた違和感が、はっきりとした形になっていく。


——「お前は結花にとって、何なんだ?」


理央の問いが、今さらになって蘇る。


(……俺は。)


ずっと、「ただの友人」だと思っていた。

けれど、もし理央が今も夢奈のことを想っているのなら——

彼が本気で結花を取り戻そうとしたら?


(俺は……それを、見ていられるのか?)


「……結花。」


隼人は静かに口を開いた。


「もし、彼と話す機会があったら……どうする?」


結花は少し考えた後、ゆっくりと答えた。


「……もう、終わったことだから。」


静かな声だった。

でも、その目の奥には、一抹の迷いがあった。


(終わったこと……なのか?)


結花自身がそう言っても、完全に吹っ切れているわけではないのかもしれない。


隼人はそっと目を伏せる。


(俺は……どうすればいいんだ?)


朔の言葉が、頭をよぎる。


——「お前が ‘ただの友人’ でいるうちに、アイツに持っていかれないといいけどな。」


(……それは、嫌だ。)


そう思った瞬間、隼人の胸の奥に確かなものが生まれた。


「……ありがとう、隼人さん。」


結花はいつものように微笑んでいた。

その笑顔を見て、隼人は決意する。


(もう、“ただの友人” とは言えない。)


彼は、静かに覚悟を決めた。



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