第41話 抑えきれない想い
(隼人は、自分の感情を否定しようとするが——)
① 無理にでも抑え込もうとする
「……このままじゃ、ダメだ」
隼人は、一人教会の書庫にいた。
手に取った本を開くものの、内容がまったく頭に入ってこない。
(今まで通りに過ごせばいい)
(変に意識するから、おかしくなるんだ)
だから、いつも通り——
「隼人さん!」
その瞬間、結花の明るい声が響いた。
隼人の心臓が、不自然なほど強く跳ねる。
「お疲れさまです! 何してるんですか?」
結花が笑顔で近づいてくる。
「……少し、本を読んでいただけだよ」
「あ、邪魔しちゃいました?」
「いや、気にしなくていい」
隼人は、冷静さを保つように努めた。
(何も変わっていない……はずだ)
そう思いたかった。
② 気づかないふりをする
「そういえば、隼人さん!」
「ん?」
「今度、みんなで出かけません?」
「……出かける?」
「はい! ちょっと遠出して、気分転換に!」
結花は楽しそうに言う。
「隼人さんも、たまには息抜きしないと!」
「……俺は別に」
「ダメですよ! たまには楽しまないと!」
結花はまっすぐな笑顔で言う。
その表情を見た瞬間——
(やめろ)
隼人は、心の中で自分に言い聞かせた。
(これ以上、気にするな)
(今まで通り、ただの仲間として接すればいい)
(俺は、何も変わっていない)
でも——
「隼人さんも、もっと笑ってください!」
その言葉に、不意に胸が締めつけられる。
結花は、何の気なしに言ったのだろう。
それなのに、隼人の中で何かが崩れそうになる。
(俺は……どうしてこんなに、結花の言葉に振り回されるんだ)
③ もう誤魔化せない
その夜、隼人は自分の部屋で考え込んでいた。
「……どうするべきなんだ」
冷静になろうとするほど、結花のことが頭から離れない。
彼女の笑顔。
彼女の言葉。
何気ない仕草。
どれもが、今までと違うものに感じられる。
「俺は……」
自分の胸に手を当てる。
鼓動が、やけに早い。
もう、わかっていた。
(これは、ただの仲間に向ける感情じゃない)
隼人は、とうとう——
「結花のことが、好きなんだ」
そう認めざるを得なくなった。




