表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/167

第34話 隼人の過去(第一章)

(何気ない会話から、過去の記憶へ)


① 何気ない会話の中で


「ねえ、隼人さんってさ、恋愛とかしたことあるの?」


結花が何気なく聞いた。


夏の夕暮れ、2人は教会の片付けを終えた後、並んで歩いていた。


「……急にどうした?」


「いやー、気になっただけ!」


隼人は少し考え込んだ後、静かに微笑んだ。


「あるにはあるよ」


「えっ、本当に!? どんな人?」


「……普通に、いい人だったよ」


「ふーん……じゃあ、なんで別れたの?」


隼人は立ち止まった。


「……家族のことを考えると、あまり恋愛とかに時間を使えなかったんだ」


「家族……?」


結花は不思議そうに首をかしげる。


(そういえば……隼人さんの家族の話、あまり聞いたことがないかも)


「……話したこと、なかったか?」


「うん、ない」


「そうか……」


隼人は、少し遠くを見つめるような目をした。


「俺は、母さんが早くに亡くなって、兄貴も家を出て行ったから……家族を守ることが、俺の一番の優先事項だったんだよ」


「……」


結花は静かに彼の言葉を待った。


「結花、少し時間あるか?」


「うん、もちろん」


隼人は、ふと懐かしそうな顔をして、ゆっくりと語り始めた——。


② 母・涼子との記憶


隼人の母、永瀬涼子は、とても優しい人だった。


「隼人、おかえりなさい」


学校から帰ると、母はいつも笑顔で迎えてくれた。


病弱だったけれど、家族のために一生懸命動いていた。


「お母さん、無理しないでね」


幼い隼人がそう言うと、涼子は優しく微笑んだ。


「大丈夫よ。あなたたちが幸せなら、それが一番だから」


母はいつも家族のことばかり考えていた。


父・光一のことも、兄・隆一のことも、そして自分のことも——。


だけど、隼人が14歳の春、母は亡くなった。


「……お母さん……?」


母が静かに目を閉じている姿を見たとき、隼人は何も言えなかった。


あまりにも突然で、あまりにも静かだった。


(母さんは、最後まで俺たちのことばかり考えていた……)


そのとき、隼人は強く思った。


(俺がこの家族を守らなきゃいけない——)


その想いが、彼の心に深く刻まれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ