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美少女吸血鬼隊 妹ルート ~最後の夜、無人島で妹と。  作者: 風親


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8/9

第8話 「兄妹でも……、お尻ならいいんじゃないかな」 「いいわけあるか」

 次の日は、かなり遅めの朝食だった。


 振り返ってみれば、朝の目覚まし時計や緊急出動の警告に急かされることのない日々は久しぶりな気がした。空腹にだけ急かされて、ゆっくりと外にでて準備を進めると、僕らはもうかなり高くなった太陽の光の下で、昨日、妹が獲ってくれたマグロをのんびりと焼いて食べる開放感あふれるひと時を満喫していた。


「小学生の時、キャンプでバーベキューしたのを思い出すね」


 妹は葉っぱで包んだマグロの肉を頬張りながら、陽気にそんなことを言った。


「無人島で、こんな豪華な朝食が食べられるなんてなあ」


 僕はしみじみとそう思いながら、鉄の串にぶすりとマグロの肉を刺して、焚き火の上でくるくると回していた。油断すると鉄の串が熱くなって口に入れる時にも一苦労だけど、それさえも楽しかった。


「ふふん、私のおかげだね」


「そうだね。美咲が炎や氷の能力を覚えていてよかった。あと空も飛べて」


「ふふん、この天才の妹にもっと感謝してもいいんだよ」


 完璧に調子にのってウィンクまでしてくる妹だったけれど、その後、しばらく食べ続けていると妹らしくない真剣な表情になって言った。


「アニキ……ありがとうね」


「ん? 今朝は血もあげてないし、そんな感謝されることはしてないよ。強いて言えば……」


「違う」


 妹はちょっと強い口調で僕の言葉を遮った。


「……今まで、ありがとう」


「……どうしたの? そんな素直なんて美咲らしくないね。ラスボスとの戦いにでも挑むの?」


「そんなんじゃないよ!」


「まあ、ラスボスとの戦いなら僕もついていかないといけないもんな」


 妹と深刻な雰囲気になるのも嫌というか、想像できなかったので軽いノリで笑いながら僕はうけ流そうとしていた。


「いや、あのバカ親から救い出してくれてありがとう……って」


「え、ああ、そこまで遡るの?」


 予想外の答えに、僕は本気で驚いていた。


 無人島に来てからは、久しぶりに普通に会話できている気がしている。でも、親の家から逃げ出して、二人で暮らしてからは今までろくに会話を交わした記憶もなかった。そして、ここ一年くらいは、二人ともほとんど怪物退治のための基地暮らしだった。騒がしい中で、二人きりになってじっくり話すこともなかった。


 もしかして、無理やり連れてきてしまったことを恨まれているのかもしれないと僕は内心では怯えていた。今、妹から感謝の言葉を聞けてここ数年の重くのしかかった何かが晴れた気がしていた。


 でも、そうか我が家の幸せな記憶は小学生の時の夏休みに、川で遊んでバーベキューをしたのが最後なんだなと思い出してしんみりとした気持ちにもなっていた。


「継父の家から連れ出してくれなかったら、私、死んでいたかもしれない」


「危なそうだと思ったから……。僕は美咲のただ一人の兄なんだから当然だろう」


 美咲は、その答えに優しく微笑んでこちらを見ていた。なんかいつもと違う素直な調子に僕はただひたすら戸惑うだけだった。


「ま、まあ、『能力』があって、兄妹とも組織に雇ってもらえてよかったよな。自分たちで生活費を稼げたんだし」


「うん、そうだね。でも、あの後、素直になれずに捻くれた態度ばかりしてごめん」


「え、ああ、兄妹なんてそんなものなんじゃないかな……よそ様の家庭を見ても……」


(こ、これは興奮状態の反動とかそういうことなのかな)


 もちろん妹の素直な言葉は嬉しかったのだけれど、僕は妹の真っ直ぐすぎて怖い瞳に耐えきれそうもなくて、及び腰のままなんとか茶化して和やかな普通の兄妹の会話にしたいと頑張っていた。


 でも、その小賢しい作戦は、高速で距離を詰めてくる妹の前には何の意味もなかった。


「アニキ。大好きだ」


 鼻と鼻が触れている距離で、格好良く男前に言い切った妹の告白を聞いた。あまりにもいい眼差しとボイスで、僕が女の子なら間違いなくそのまま身を任せているに違いない。美咲はわずかに顔を傾けるとそのまま僕と唇を重ねてきた。『マナ』のために唾液を吸うとかいう言い訳は今日はするつもりはないようだった。唇を深く重ねるとそのままそっと舌を入れてじっくりと僕の舌と絡ませてきた。


「えへ」


 普段からは想像もできない可愛らしくも欲情した妹の笑顔に僕は戸惑っていた。


 こんな『女』の顔をした妹なんて見たくもなかった。そう思いもするけれど、唇やら胸やらが好意を持って押し付けられていると男としてはつい嬉しい反応をしてしまう。


(このまま、劣情に身を任せても……)


 そんな悪魔の囁きが一瞬だけ本当に一瞬だけ頭に浮かんだけれど、『いいわけないだろ!』と即座に否定した。


「み、美咲ちゃん」


「ん? なあに?」


 すごく甘ったるい声でささやき、純粋な瞳が至近距離で僕を見ていた。能力の反動なのか、なんなのかわからないけれど、少し幼くなっているような印象だった。


「もちろん、お兄ちゃんもお前のことが好きだ」


「ほんと⁉ う、嬉しいな!」


 瞳を輝かせるとは、こういう時のことを言うのだなと、妹の眩しくて、ちょっと嬉し涙が弾け飛んだ笑顔を見ながらそう思った。


「まあ、でも、落ち着いて。僕たちは兄妹だからね」


「うん……」


 軽く頭を触って優しい声でささやいた。今度の作戦は成功した様だった。妹は取り乱したりせずに僕の話を聞いてくれている。


「僕は、美咲ちゃんに幸せになって欲しいんだよね」


「アニキの側にいるのが、私の幸せだって、最近気がついたんだ」


 怖い勢いであっさりと言い切られて、僕は戸惑いまくっていたけれど、表情には出さずに冷静に冷静に妹を誘導しようと頑張っていた。


「僕は美咲ちゃんには、世間に後ろ指を指されるようになって欲しくない。今の怪物たちがいなくなったら、将来は結婚して子どもとかも二人くらいいてね穏やかな生活を送ってくれたらいいなと思うんだよね」


「アニキは、子ども欲しいの?」


「えーと、僕が言いたいのは将来、平和な世界になって、美咲が甥っ子とか姪っ子とかと遊びにきて正月だったらお年玉をあげたりしたいなとかそういうこと」


「ふーん」


 慎重に言葉を選んだ僕に対して、あからさまに、つまらなそうな顔をする妹だった。


「なんで兄妹だと駄目なんだろう……」


 美咲は、拗ねるようにつぶやいていた。雰囲気は悪かったけれど、僕は美咲が、まだその辺の常識を忘れてはいないことに安心していた。それはずっと美咲の心の奥底で気になっていて、僕に襲いかかりたいけれど、どうしてもできない歯止めになっているようだった。


「近い遺伝子だと、同じような弱点が補強されずに病気の子どもが生まれる可能性が高くなっちゃうとかだったかな」


「へー。さっぱり分からないけれど、人間って不思議だね」


 本当に理解していなさそうだったけれど、少し頭を使った結果、ちょっと落ち着いてくれたようだった。


「病気の子どもが多く生まれたから、世間ではタブーになったのかな。昔の人は、なんかずるい」


「そんなこと言われても……」


 僕は返答に困っていたけれど、美咲はすっかり落ち着いたようで、襲いかかってくるようなことはなさそうで少し安心していた。


「だって、最初の人類の子どもたちは、兄妹で子ども作らないと増えなかったわけでしょ。あとから禁止するなんてずるくない?」


「え?」


「アダムさんとイブさんの子どもたちは兄妹でするしかなかったと思うんだよね」


 アダムとイブの子どもの話を捕捉するとさらに面倒になりそうだったので、触れないことにして何とかなだめようとした。


「ずるくはないんじゃないかな。危険だから、近親者には欲情しないようになっているって聞いたし。遺伝子レベルで」


「私は普通に欲情するけどね。アニキに」


 妹の顔を見ると、怪しい目をしていたりはしなかった。普通に言われただけに昨晩よりも更に怖い気がした。


「あはは、それは冗談だよ。冗談」


 さすがに恥ずかしいと思ったのか、ごまかすように美咲は僕の肩を何度も叩きながら笑い飛ばしていた。


「アニキこそ、妹に触られて欲情してたじゃない」


「触られるとか舐められたら、大きくなるって言ったでしょ」


 僕の反論に、美咲はただいたずらっぽく笑っていた。焼いたマグロの肉を突き刺した串をまた口に運んでは頬張っていた。


 それからの会話の中身は、危うい内容が時々混じるけれどこの島についての雑談ばかりで、見た感じは妹はいつもの状態に戻っている気がして安心していた。ほっとしながら、僕らは遅めの朝食を終えて片付けると洞窟へと戻っていった。


「アニキ、考えてたんだけど……」


「うん?」


「兄妹でも……、お尻ならいいんじゃないかな」


 完全に油断して、洞窟の中のベッドに腰かけたら、すぐに隣に座ってきてこの発言だった。


「え?」


「マナは体内に直接出してもらった方が効果的だって言うし。私なら能力で多少傷ついても『能力』で修復できるし……。いいと思わない? アナルでセックス」


 実の妹から、ベッドに腰かけながらこっちを向いてこんな言葉をささやかれて固まらない兄貴がこの世にいるだろうか。


 少なくとも僕はもう何もごまかす作戦も考えられなくなって、表情も固まったまま美咲の方を向いた方がいいという思いと向かない方がいいという思いが戦って、小刻みに動く壊れた人形みたいになっていたと思う。


「やだなあ。あくまでもマナの効率的な補充のためだよ」


 僕の予想外のおかしな反応に、さすがに美咲も少しフォローした方がいいと思ったらしく明るい調子でそんなことを言った。でも、その言葉は、アナルでセックスをすることを取り下げるつもりは全くなさそうだった。


「美咲ちゃん。僕たちは兄妹だからね……」


 昨日からこの言葉を何回言っただろうかと思いながらも、やっと気合いを入れて妹の方を向いて、目を合わせることができた。


「子ども作らないなら、兄妹で何がいけないの?」


「え? いや、だ、駄目じゃない?」


 常識的に考えて駄目だろうと言いたかった。でも、改めて何が駄目なのかと聞かれると、明確な返事ができずにうろたえていた。遺伝子が近親との性行為を嫌悪するようにできているんだよと考えたけれど、それは、僕の方が遺伝子に踊らされているんじゃないかと余計なことまで頭に浮かんで混乱してしまっていた。


 (そういえば、真帆さんからの手紙に意味深な続きがあったような……)


 枕の方をちらりと眺めながら、なんとなく今、美咲の前で真帆さんからの手紙を広げるのは怖い気がして枕から遠ざかるように美咲の方を向いた。


 向いた次の瞬間には、抱きつかれて……というか見事にお腹にタックルをされて僕はベッドに押し倒されていた。


 明らかに目が怪しい。このままでは、襲われてしまう。妹に過ちをさせるわけにはいかない。何とか僕は完全に身動きに取れない状態で身を投げ出したままだけど、冷静に対処しようとした。


「美咲ちゃん」


「うん、どうしたの? アニキ?」


 もう、美咲は僕のベルトに手を伸ばしてズボンを脱がそうとしているところだった。冷静に呼びかけられて、興奮した目は少し落ち着きを取り戻して僕のズボンに上にまたがって大人しく話を聞いてくれていた。


「ひょっとしたら、僕が倒れたのはマナを供給しすぎたからかもしれないから」


 適当に今、思いついた言い訳だったけれど、その可能性はあるなと自分自身でも納得していた。


「え、あ、ああ、そうだね……」


 妹もはっとした表情で、僕の言葉に頷いていた。ちょっと申し訳なさそうに視線をそらしたまま、しばらくじっとベッドを見つめていた。


「だからね。美咲ちゃんのお尻の中に『マナ』を出すのは最後の切り札かなと思うんだ」


「最後の……切り札?」


「そう。そう。最近、聞いたんだけど海には大きな鯨よりもさらに大きい島みたいな怪物がいるんだって」


「へー。聞いたことないけど……」


 美咲も気が抜けたのか、僕の体も自由に動かせるようになっていた。僕は上に乗られたままだったけれど、何とか身振り手振りを交えながら美咲に興味を持たせ続けようと頑張っていた。


「本当に最近、僕らだけに聞かされた話だからね。海の話だから関係ないかな……って思って特にみんなには話していなかった」


「『僕ら』……って誰? アニキと真帆さんとか?」


「え、い、いや。あの『ドナー』だけの集まりがあってね。そこで聞いたんだ」


 何となく真帆さんと秘密を共有していたという話になると、美咲に後ろめたい気がしてしまうので、適当な設定だけど誤魔化しておいた。


「と、とにかく。今は、ちょっと『マナ』は温存しておいて、切り札はそんな巨大な怪物がでてきた時だけにしよう。美咲ちゃんのお尻に『マナ』を出すとかいうことになったら、興奮してものすごい『マナ』を放出しちゃうかもしれないしね」


「うーん。……確かにそうだね」


 僕の熱弁に、美咲は、すごい残念そうな表情をしながらも僕の上から退いてくれた。僕は冷や汗をぬぐいながら、うまくいったことを喜んでいた。


「今日のところは口だけで、満足してあげる」


「え、ちょ、ちょっと美咲ちゃん!」


 横に座りなおした美咲は、体を傾けると頭を僕の股間に密着させてきた。もう慣れた手つきで僕のズボンのチェックを下げると僕のものを引っ張り出して、舌先で舐めあげてきた。


 妹だろうとこうなると敏感に反応してしまう男の性が悲しかった。僕のモノは大きく反り返ると、ビクンビクンと何回も上下に暴れていた。美咲はそれを親指と人差し指で輪っかを作って捕まえると、先っぽの部分を舌でつついていた。


「美咲ちゃん。だ、駄目だって」


 そんな言葉と手のひらをちょっと美咲の頭を押して離そうとするだけの抵抗も、美咲が僕のものを口に含んだ瞬間には全くなくなっていた。

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