感謝してる
的井さんが、俺の所にビールを持ってきた。
的井「サンドウィッチ食べて、空きっ腹でしょ?それと餃子持ってきたから」って笑って置いていった。
東村さんが、俺の前にサンドウィッチと餃子置いてくれた。
洋「ありがとうございます。」
東村「いや、食べて。」
洋「はい。」俺は、サンドウィッチを食べる。
東村「私も店長って呼んでいいかな?」
洋「どうぞ。」
東村「店長に、お礼を言おうと思って。」
洋「俺にですか?」
東村「そうだ。拜島さんの人生に居てくれて感謝してる。」そう言って頭を下げられた。
洋「俺は、何もしてませんよ。」
東村「してるよ。店長と宮守君がいなかったら、拜島さんは今あんな風に笑っていない。」そう言って拜島さんを見ている。俺の前にビールを置いてくれた。東村さんは、ビールを飲みだした。
東村「拜島さんの目が覚めたのを聞いてから、会いに行ったらあの感じだった。」そう言って笑ってる。
東村「店長と彼には、吉峯の病室で会ってたからすぐに気づいたよ。心が二人を求めた結果なんだなって」そう言って笑ってる。
東村「どちらかがいなかったら、あの拜島さんはいなかったと思うのがわかる。」
そう言って、俺を見て笑った。
そして、東村「坊っちゃんの事、すまなかった。」と言った。
洋「東村さんが謝る事ではないですよ。」
東村「灰谷から聞いたよ。店長が、坊っちゃんにレイプ犯にされそうになってた事も、嫌がらせされてた事も…。」そう言って俺を見てる。
東村「私のせいだと思った。だから、店長に謝りたかった。」そう言うと東村さんの目から涙が流れた。
洋「もう、大丈夫ですよ。全て終わりましたから」俺は、笑っていった。
東村「そんな事ないよ。店長の傷は、全て終わったって消えないよ。人の目が怖かったのは、私もよくわかる。」
洋「向島のかわりにはいっていたんですよね?」俺の言葉に東村さんは、頷いた。ビールを飲んで話してくれる。
東村「坊っちゃんが、大学に入学してすぐの頃です。坊っちゃんが同級生を殴ったと連絡を受けて駆けつけました。病院につくと相手の意識は、ありませんでした。それを見た社長が、東村どうかかわりに自首してくれないだろうか?と言ったんです。」そう言ってビールを飲み干して、新しいのを開けた。
東村「子供が産まれたばかりだった。お金が必要だった。断れば、向島の人間ではなくなる。そう思うと頷くしか出来なかった。」そう言ってビールの缶を握りしめる。
東村「社長は、私の妻子を守ってくれる事、お金を払う事を約束してくれた。私にも社長の気持ちは、よくわかるから。子を持つ親ならば、子供の人生に傷などつけたくないのだよ。」そう言ってビールを飲む。
東村「でも、坊っちゃんの人生には傷をつけておくべきでした。」
東村さんは、涙を流す。
東村「152人者、人を襲った事を聞いた時、私は私のした事を後悔した。あの時、出来ませんと一言、言えばよかった。拜島さんが、面会に来た時に言ったんですよ。東村さん、罪を被るべきではなかったのではないですか?って…。私は、何も答えられなかった。」そう言いながら、またビールを飲む。
東村「そんな私に拜島さんは、坊っちゃんを思うのならこんな事をしてはいけなかった。と言った。そう言われて私は泣いたよ。妻子の事しか考えていなかった愚かな自分を呪ったよ。向島に仕えるなら、結婚はするべきじゃなかったと思ったよ。」
洋「そんな事ないですよ。向島に人生を捧げる必要はないじゃないですか。皆さん、東村さんが結婚した事を嬉しく思ってるはずですよ。」
俺の言葉に泣いていた。
東村「結局二度と妻子には会えなかった。今頃、どこで何しているのかさえわからない。あの日、手放すべきではなかったんだよ。」そう言ってポケットから写真を取り出して握りしめている。
東村「私がなぜ向島に仕えていたか聞きますか?」
洋「はい。」
そう言うと東村さんは、ポツポツと話始めた。