ありがとな
的井さんが行って、萩原さんがきた。
萩原「私は、いや、もう俺でいいよな。アハハ。駄目か、店長?」
洋「いいと思いますよ。」
そう言って笑うと、
萩原「俺は、店長の下。だから、敬語はいらねーよ」
洋「すぐは、難しいです。」
萩原「まぁ、そっか。ありがとな、鮫島の事。」
洋「助けたのは、俺じゃないですよ。」
萩原「店長だよ。あの日、ディスク必死で持ってきたから助けれた。」
この人は、男らしさが溢れてる。拜島さんが、楽しそうに話してる意味がわかる。
洋「あの日、ホッとしたんですよ。何も話さなくてもわかってくれて、汚いって思われなくて」
萩原「誰か守って必死なやつを汚いって思うわけないだろ。」そう言われて頭を撫でられた。
涙が、こぼれてくる。
萩原「おいおい、そんなひ弱じゃ。あの子守れないぞ、店長」
どうしたかな?何かわかんないけど、涙がとまらない。
洋「ですよね。」
笑おうとしても、難しい。
萩原「店長、まだ汚いって思ってんのか?あの時の」
洋「はい。」
萩原「すぐに何か消せないよな。でもな、囚われるなよ。店長には、皆がついてんだからよ。」
そう言ってビール渡された。
萩原「乾杯」
洋「萩原さんは、優しいんですね。」
萩原「優しいのか?ただ、俺は俺に関わった人間には生きて幸せになってほしいだけだ。」
萩原さんは、ビールを飲む。
洋「萩原さんも、幸せにならないと駄目です。」
萩原「ハハハ、店長。俺な、あいつらと居るだけで幸せなんだよ。男女の関係みたいなのいるだろって思ってたんだけどさ。どうも、俺には必要ないみたいなんだよな。それより、あいつらと笑って飯食ってる方が楽しいんだわ。」
萩原さんは、またビールを飲む。
洋「皆さん、家族以上なんですよね。」
萩原「そうだな。でも、あいつらだけじゃないぞ。店長も、俺の家族になってるぞ。」
洋「そうなんですか」
ハハハって笑う。
萩原「店長、一緒にやったじゃねーか。三岡のとこ」
洋「あれは、皆さんがやったわけで」
萩原「バカだな。店長の持ってきた証拠なかったら、今頃新しい奴が犠牲になってたぞ。」
洋「ありがとうございます。何かそう言ってもらえてよかったです。」
萩原「店長、的井と仲良くしてやってくれよな。あいつ淳一いなくなってから、大変だったんだよ。それに、気づいちゃったんだよ、俺」
洋「何をですか?」
萩原「店長と出会って、あいつのここがちゃんとくっついた。」
そう言って胸を叩いた。
洋「そんなことないですよ。」
萩原「店長は、過去の的井をしらねーだろ?俺は、ずっと見てきたからわかる。的井の心がちゃんと繋がった。拜島もわかってて、出会わせてくれたのかな?」
そう言って萩原さんは、ビールを飲んだ。
萩原「ほら、あいつ今ガキだろ?宮守君いなきゃ何も出来ない奴だろ。店長がいるから、くそガキなんだよ。」
洋「どういう意味ですか?」
萩原「宮守君を支える人間が店長だって事だよ。だから、拜島はガキのまんまでいれるんだ。拜島が店長に向ける笑顔ですぐわかったよ。店長の事、信頼して好きなんだなって。」
俺は、ずっと店長って呼ばれてる。拜島さん、そうなのかな?
萩原「ガキの頃からいるからわかるんだ。宮守君と店長は、拜島にとって特別だ。そして、店長は的井にとっても特別だ。」
ハハって笑って、俺の頭を撫でてくれる。
萩原「店長は?」
洋「えっ?」
萩原「俺等といるの幸せか?」
洋「はい、とても。」
萩原「なら、よかったよ。店長が幸せじゃなかったら、駄目だからな。」
そう言って笑ってくれる。
萩原「俺の昔話も聞いてくれるか?」
洋「はい。」
萩原「何か、店長は話しやすいな」
そう言って、笑いかける。
萩原さんは、昔の話を始めた。