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はじめてのキル

初心者だけどがんばります。

昼夜が逆転した生活を送っているので、事態に気づくのは2chの掲示板を見てだった。


モンスターが溢れてコンプ厨の時代がキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!


こんな名前のスレ群を見ていわく付き予備知識をたくさん蓄えたおれは、外に出ることにした。


とりあえず刃物を持ちだすのはやめておこう。2chを完全に信じられるかといえば信じられないし、もしも刃物を持って家から出るところをご近所さんに見られたら大変だ。


そういう訳で誤魔化しが効きそうな金属バットを持つ事にする。


ドアを開けると日差しが強い。そういえばもう昼だった。帰ったらもう一度寝ることにしよう。


アパートのドアの前に延びる渡り廊下にそいつはいた。


小柄で引き締まった緑色の身体、棍棒を持っているのでそいつはゴブリンで間違いない。


嬉しいことにゴブリンはまだおれに気づいていないようだ。


おれは気づかれないうちにゴブリンのうしろまで近づき、バットをおおきく振りかぶった。


そのとき、ゴブリンが振り返り、


ニヤッ


っと笑った。


まずい。しかしおれが反射的に振り下ろしたバットは既にスイングの軌道上にある。


ゴブリンはゴルフクラブのように棍棒を下から振り上げてきた。


まずい。まずい。まだ死ぬわけには行かないんだ。


そう思う反面、内心死を覚悟したが、おれの振り下ろしたバットは棍棒がおれに届く前にゴブリンの頭を叩いた。


ぐちゃっ、と頭蓋骨が陥没するような音が聞こえたあとに、ゴブリンは顔を歪め、黒い霧になって消えた。


……なんというか思わせぶりなやつだった。


だがとりあえずこの新しい世界におけるおれのファーストキルは達成された。


経験値が入りましたという音声が聞こえたあと、俺はさっそく試したいことをすることにする。


「ステータスオープン」


すると目の前にウィンドウが現れる。


なんでもモンスターを一体以上討伐するとレベルが1以上になり、ステータス画面を呼び出せるようになるらしい。


小倉 健二


Lv1


スキル

アイテムボックス



そして思った通りアイテムボックスを使えるようになっていた。


「収納」


そう言うと棍棒がフッと消えた。収納されたのだろう。


ゴブリンの棍棒×1


と表示される。


どんなファンタジーでもはじめにあっていちばん嬉しいのはアイテムボックスと相場が決まっている。


かなり嬉しい。


念の為棍棒を取りだしてみるが、問題なく取り出せた。


それと棍棒は重さがちょうど振りやすそうで、長さもいい感じ。そして何よりグリップが最高だった。


手汗気味の俺でもこれは使えそうだ。


そう思った。


とりあえずアパートの敷地の前にある自動販売機を二つ収納したあと、一旦家に帰って寝ることにした。


建物には基本モンスターが入って来れないらしい。


本当かどうか確かめていないが、そういえばゴブリンはアパートの渡り廊下にいたものの家の中には入って来なかったなと無理やり納得して、寝ることにした。


久しぶりに動いたのでとても眠いのだ。寝たい。


そういえば電力やガスを供給しているおおもとの場所には即死級のモンスターがうろついているようで、生活インフラはもうすぐ止まるだろうということだ。


それから人が死んでも黒い霧になって消えるらしい。


生きているといいけど、多分死んでいるだろう。


ゴブリン黒い霧になって消えたあと経験値が落ちたのだ。


それは黒い霧になる=死亡判定ということで間違いなさそうだ。


2chは思ったよりも貴重な情報源のようだ。


インフラが止まる前にできるだけ情報を集めておきたい。


インフラが止まったらご近所さんに挨拶にいこう。


生きているかわからないけど。

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