どうでも良い話(コロナ禍)
言いたいことを書きます。
・・・夏が来た。
目が覚め、煙草を吸いに玄関を出た瞬間、昨日よりも高くなった青空を見上げた。
乾ききっていない芝生が、雑草たちと暑さのうなり声をあげ、昨日まで全く鳴かなかったセミまで、この夏の遅れを取り戻そうと近くまでやってきている。
緊急事態宣言から、早数ヶ月。
コロナ禍は、色々なものを制限する一方、実に様々な課題をこの国に与えている。
医療に従事する人たちのこと、職や住居を失う人たちのこと、テレワークや働き方の考え方、ソーシャルディスタンス、消毒液やマスクの入手制限、PCR検査や抗体検査、休業要請などだ。
日々繰り返される首都圏の感染者数、知事たちの奮闘、政府の対応、番組毎に決まったご意見番の声。政府が推進するGO TO キャンペーンは、誰がみても失策と言う。アベノマスクも不評でしかない。既に首相の声には張りがなく、期待もない。まだ中学生の我が子でも、この国の行く末を心配している。
子供じみているが、いつから、この国はおかしくなったのか?
子供の頃、国会議員や政権にここまで落胆したことがなかった。無論、インターネットや情報媒体が少なく、国の声をあまり聞けなかった事も否めないが、私利私欲に囚われず、この国の行く末を憂う議員は果たして何人くらいいるのだろうか?
田中角栄のように、強固なリーダーシップを発揮する人間がいない政権。限りなくグレー路線で忖度し、税金を無駄使いしても、批判で止まり逮捕までもっていけない検察。揚げ足しか取れない野党。今の政権を打破出来ず、野党に期待を寄せられず、否応無しに今の政権を支持することしか出来ない我々。不甲斐ない今の政治に待ったをかけるべく、立ち上がろうとしても、現状況では抜本的な政策を立てられず、指を咥えているだけの人もさぞ多かろう。
負のスパイラルから抜け出せず、職と家と子供たちを「ただコロナ禍から守る」事しか出来ない。
ワクチン、治療薬をただ黙って待ちつつ、来年はおろか、今年の冬の展望さえままならない。
今、南海トラフ地震がきても、コロナ禍のせいで、全国規模の支援は出来ない。
震災や風水害を免れても、休業要請で生活費の困る人たち。熱中症とコロナ禍、どちらを優先すれば良いか答えが出ない未曾有の疫災が、これから益々ひどくなるだろう。
休業要請、補償をセットで完璧に行い、再び緊急事態宣言を発出し、国民全員で巣ごもりしても、今の法律では強制力がないため、根絶まで持って行けそうもない事はよく分かった。
専門家が意見を言っても、採用しない低レベル大臣が存在する今の政治では、機能しない事も分かった。
上手にコロナを抑え込んだ他国は、法の発動力、国民性、透明性が我が国と根本的に違う。模倣したくても、出来ない日本国憲法の構造上の問題が確かにある事も分かった。
アベノマスクの追加配布で、厚生労働省官僚が、GO TO トラベルで国土交通省が、世論から攻撃されている。政権運営がブレるせいで、野党がここぞとばかりにヒアリングし、官僚を上から目線で攻撃し、待ったをかける。
国民の目からすれば、誰もが分かりやすい絵図だ。
だが、官僚は決して馬鹿ではない。役人は大抵が、自己防衛力に優れており、批判をかわす事に長けている。
内部では、「こう回答すれば、こう反撃を食らう。こう進めれば、こう野党が噛みつく」などと、想定問題と解答を用意し、政治を裏から導く様に動いているようにも取れる。誰だって、現段階でマスクの需要と供給が追いつき、誰もアベノマスクをしていない事を知っている。それでも配ることは世論から反発される事も重々承知のうえだ。そのうえで、あの答弁である。
「初めから約束していたので・・・」
子供が至極ごもっともな言葉を発した。
「なんで、今の時期、コロナを広げるようなキャンペーンをするの?なんで、まだ誰も使ってないマスクを追加で配るの?なんで、いかにも怪しい団体が途中に入って、事態をややこしくするの?」
無垢な子供でも、国がおかしくなっている事を察している。
経済とはなんぞや?を分からない子供でも、休業要請だけでは経済が回らなくなる、失業者が増える、いずれは自分の生活に飛び火してくる事を感じている。
来年のオリンピック開催、年間スケジュールを鑑みて、現政権は解散時期を模索しているのであろう。
自分たちの利益しか考えない政権を選んだのは、確かに我々だ。力なき野党を生んだのも国民だ。責を問うのは簡単だが、この流れを作ったきっかけも国民なのだ。
治療薬を開発出来ない自分、政権を批判しても有効な代替え案を訴えられない自分、ネット記事欄を読んで他人の意見や思想を自分なりに評価する事しか出来ない自分。
自分は何とちっぽけな人間なのだろう。
だが、せめて人に迷惑をかけないように行動する、外出自粛をする、節制する。
これが、唯一、この国に貢献する事なのかもしれない。でも、子供にはこう囁いた。
父さんが、この国のトップなら、こう国民に訴えかけるよ。
『今回のコロナ禍は、間違いなく未曾有の国難。従って、与野党関係なく打破するために尽力を尽くす。与野党の垣根を無くし、予算編成も野党意見を積極的に採り入れ採択する。国難を乗り越えられるのであれば、私のプライドなど小事である。だからいがみ合わないで純粋議論だけをしましょう。どのような政策を進めるか常に国会中継でオープンにして国民意見も問いましょう。絶対に隠し事はしない。何ならDボタンを活用して、リアルタイムで国民意見を集約しても良い。私も含め、今ここにいる国会議員はこの日のために選ばれた人員である。だから、みんな力を貸して欲しい。そして、これを見る国民には強固な協力を要請するが我慢して欲しい。今述べたように、ここにいるメンバー総力で打開策を模索し、事にあたる。もしかしたら、予想以上にウイルスは強く、これまで以上に国は疲弊するかもしれない。対応策も万事休すかもしれない。それでも、国民総力を挙げて立ち向かわなければ、子供たちの未来がない。頭を下げろと言われればいくらでも頭を下げる。土下座でも構わない。なりふり構わず全身全霊で事にあたるが、失敗したらごめんなさい。・・・ただ最後に言いたいのは、みんなで納得して、対応策を検討し乗り越えましょう。そして、納得して我慢も苦労も分かち合いましょう。良い意見が出れば、躊躇なく方針も変更するし採用する。国民一人一人の知恵が我が国を救うかもしれない。忌憚なく意見が出せる環境を整えるので、準備が出来たら、国民の皆さんも参加出来る人はぜひ意見して欲しい』
子供は静かに微笑んだ。
「カメラ目線で、何の原稿も見ず、真っ直ぐに言われたら、少しは賭けてみたくなるね」
誰もが失敗を恐れるコロナ禍。
時間的猶予がなく、失策が致命的になるかもしれないコロナ禍。
だが、何とかしなければ未来がない。
情勢、政権、経済、学業、環境、人々の心全てに渡って『壁』を感じる暑い夏になりそうだ。
子供ですみません。
あースッキリした。