異世界転移「GMコールは届きません!」 <短編> ~エルフの秘湯・後編~
私リルは、聖女イリーナ、洞窟エルフのソフィアと共に温泉旅館へと、疲れを癒やす為に来ていた。
三人で露天風呂に入っていると、
そこへソフィアのお母様、ユフィーちゃんが真っ裸でやって来たのだった。
異世界転移「GMコールは届きません!」 <短編> ~エルフの秘湯・後編~
作:すめらぎ
とりあえず、お湯からあがり、三人でユフィーちゃんを抑えつけて丸洗いした。
洗い終えた頃、金髪のエルフがやって来た。
「おおお」
(ナイスバディーだなぁ)
番台に居たスパスの部下のヴェレネッタさんだ。
タオルで髪の毛を纏めていた。
私たちはとりあえず、仕切り直しでユフィーちゃんと共に温泉に浸かる事にした。
「えーーい」
いきなり泳ごうとしたユフィーちゃん。
「ちょっ! ユフィーちゃん女将さんでしょ! 温泉で泳いじゃダメダメ」
「貸し切りだから、大丈夫よぅ。女将の私が許します」
「子どもかい!」
そうこうしていると、身体を洗い終えたヴェレネッタさんも入ってきた。
ユフィーちゃんは、やっと泳ぐのを止めた。
これでゆったりと浸かれる。
「そう言えばこの前、気が付いたのだけれど、
毎日更新って、ブックマーク付きにくいんじゃない?」
「そうですよね。週に数回見るサイトって、ブラウザーのお気に入りに入れちゃいますよね~」
「それでも、最近は話数が増えて来て、一気読み出来ない様になったから、多少ブクマ増えてきたのだけれど」
「ブックマーク増やすの大変なのですね」
「ブクマって、そもそもIDを作っていないと登録できないのよね」
「確かに、そうですね。登録して下さった方々に感謝ですね! あ、でも、私のサービスシーンは無しの方向で」
「イリーナは初登場時、裸みたいなもんだったものね」
イリーナの顔が真っ赤になる。
「お姉様の、いじわる……」
「じゃあ、イリーナがのぼせないうちに、あがりますか」
ソフィアが呟く。
「バカばっか……」
「ソフィア、それアウト」
「うが~。あんですと~」
「ソフィア、ツーアウト」
「ハラペコマンボ! なんかオゴレ!」
「ソフィア、それは誰も分からないからセーフにしたいところだけれど、やっぱりアウトだ」
ソフィアは不満そうに体育座りをし、鼻の辺りまで顔をお湯に漬ける。
そして無言で立ち上がった。
温泉からあがり、皆で浴衣を着て、食事所へと移動した。
ヴェレネッタさんは居なくなったが、ユフィーちゃんは一緒に食べるとの事だ。
てっきり部屋での食事かと思っていた。
「Hey、らっしゃい。何、握りやしょうか?」
「スパさん今度は、板さんなのね……」
どうやら、江戸前寿司の様だ。
(あー知ってる。追加効果は命中率アップでしょう?)
「お姉様」
「なあに? イリーナ」
「ゲーム脳乙」
「イリーナにツッコミ入れられちゃった……。ショック。しかも心を読まれた!?」
「こうなったら、飲むしか。大将、梅酒をロックで」
「いきなり食前酒ですか」
「当然! 命の水」
私はその後、日本酒冷やに切り替え、お寿司を堪能した。
「大将、次はイカで」
「あ、いけね。さっきの分で終わりでした」
「じゃあ、タコ」
「生憎、タコは入荷していなくて……。そうだ!」
「クラーケンなら捕ったのありますぜ」
「お。異世界っぽいのあるじゃないの。じゃあそれで!」
「へい!」
そう言うとスパさんは厨房の方へ声を掛けた。
「おーい。クラーケン頼むよ」
「ん?」
私は何か嫌な予感がした。
カウンターの奥、厨房から、長い触手が何本も出てきた。
私とイリーナ、ソフィアは、武器防具が無い為、あっさり触手に捕まってしまった。
イリーナは狭い店内で逆さまにされている。
「ちょっ。イリーナ、下着つけてないんかい! これは発禁の危機!」
ユフィーちゃんは一人、お茶をすすっていた。
「あー、いけねえー。〆(しめ)忘れてた。こいつはうっかrーー」
言い終わる前にユフィーちゃんのツッコミが終わっていた。
「なぁんでやねん。てへ」
「おそろしく速いツッコミ。ワタシでなきゃ見逃しちゃうね」
ツッコミによりスパさんは吹き飛ばされて、クラーケンの本体部に激突していた。
クラーケン、スパさん、共に気を失った様だ。
「あぁ、助かった」
その後は、ヴェレさんがお寿司を握ってくれた。
そして、食事を終えた私たちは、部室へと戻った。
「いやぁ、美味しかったねー。って!」
部屋には、寄り添う様に布団が並んでいた。
「部屋広いのに、布団と枕、近っ!」
かくして、エルフの秘湯での保養は続くのであった。
「夜は長そうだ……」
短編 おしまい
短編をお読みいただき、ありがとうございました。
本編の第三章でお会いしましょう!
毎日連載の再会は1月末を予定しています。




