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星の町  作者: えもと
6/18

喫茶店にて 2

※今回から、一話に載せる文章の量を増やしました。

読みにくければ、ご指摘ください。


「おかえり、北斗」


店の奥から、男の人の声がした。


「ただいま。拾ってきちゃったんだけど、今日うちに置いても良い?」


と、北斗が聞く声がする。


「またかい?」


話しながら、二人して店の奥から出て来た。

そして、声の主と目が合った。

おそらく、私と同じか少し上。20代半ば位の男の人だった。


しばし、沈黙が落ちる。


「北斗、人はね、拾ってきたって言うんじゃないよ。連れてきたって言うんだよ。前にも言っただろう?」


と、彼は北斗君に言った。


論点が明らかにずれている。

全力で突っ込みたかったが、何とか堪えた。


「すみません。北斗がご迷惑をかけたみたいで・・・あ、どうぞ、座って下さい。今、コーヒー淹れますね」


そう言って、カウンターの奥に消えてしまった。


どうする事も、何かをいう事も出来ず、とりあえず言われたままにイスに座った。

北斗君は、あたしの正面に座りながら奥の男の人に話しかける。


「泊るところ無いって言うから、拾って・・・連れてきたんだけど。英兄、家に置いても良いでしょ?」


「それは、構わないけど・・・」


言いながら「英兄」と呼ばれた彼は、コーヒーを持って出てくる。


「そこは構わなくないでしょ!?」

そう言いたい。


彼は、私の前にコーヒーを置いて「どうぞ」と進めてくれた。


「どうも」


そう言って受け取ってから、私は話し始めた。


「あのですね。なんだか凄い話になってますけど、これは北斗君の勘違いと言いますか、あたしの勘違いといいますか」


「勘違いじゃないよ。泊まるところ無いって言ったじゃん」


私の説明を、途中でぶっちぎって北斗君が抗議の声をあげた。

そんな私達を見ながら、彼は笑顔のまま、


「あ、コーヒー冷めない内にどうぞ」


と言った。


完全にペースを崩されている。

しかし、そう言われて飲まない訳にもいかず、砂糖をひとかけら入れて、コーヒーに口をつけた。


「おいしい・・・」


自然と、そう呟いていた。

結構コーヒーは飲むほうだが、心からおいしいと思ったのは初めてかも知れない。


「英兄のコーヒーは世界一なんだよ」


そう言いながら、北斗君は砂糖もミルクも入れないで、そのまま飲んだ。


「ブラックで飲むの?」


驚いて声をあげた私に、


「北斗はもっと小さい時からコーヒー飲んでますから、慣れているんでしょうね。なかなか味にうるさいんですよ」


彼は苦笑しつつそう説明して「それで、さっきの続きですが」と話し始めた。


「もし、言い難い事情があるなら、無理に言わなくても良いですよ?今晩は泊まっていって頂いても構いませんし」


にっこりと笑いながら、そう言った。

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