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星の町  作者: えもと
4/18

故郷にて 4

とりあえず、地元の人にでも泊まれそうな所を聞くしかない。


そう思って、商店街に来た。


日曜日の夕方とあって、それなりに人が多く行き交っていた。


「すみません」


と、優しそうなおばさんに声をかけた。


「はい、何でしょう?」


「あの、この辺りで泊まれる所ありませんか?」


私の質問に、おばさんは「うーん」と考えてから、


「この近くには無いわねぇ。もう少し奥地に行くと温泉地だから有るでしょうけど」


おばさんは無情にも「無い」宣言をした。


「泊るところが無いの?もしかしたら、私が知らないだけで、どこか有るかも知れないから、一緒に探しましょうか?」


と、親切にも申し出てくれたが、遠慮しておいた。


通りすがりなのに、そんな迷惑はかけられない気がしたからだ。


「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」


そう、お礼を言っておばさんと別れてから、さて、どうしようかと考えた。


この町を散策してみたかったのだが、寝床が無いのなら他に行くしかない。

女ひとりで外で過ごす度胸など無いし、先にも言ったが、この寒さで野宿なんかしたら凍死するのは間違いない。


とすると、もう少し探してみるか、温泉地とやらまで行くか・・・。

どうせなら温泉にでも浸かって、散策は明日また出直せばいいか。


そう決めて駅に向かって歩き出そうとした時、


「泊るところ、探してるの?」


唐突に声をかけられた。


見ると、年の頃は10歳前後の小学生らしき男の子が、私を見上げていた。


「うん、そうなんだ。どこか知らない・・・よね」


少しかがんで、男の子目線を合わせて聞いてみる。


まあ、「知らない」と言われるのは目に見えているのだが。


「おれ、知ってるよ。泊まれるところ」


男の子は予想外の事を言った。


「本当に?」


私の言葉に、こくりと頷き、


「ついてきて」


男の子は、そう言いながら歩き出した。


おばさんは知らなかったのに、こんな子供が知っているのだろうか?

少し疑問に思ったが、まさか嘘を吐いているとも思えず、とりあえずは後に付いて行く事にした。


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