故郷にて 2
ありがたくも、一話を読んでくださった方、更新が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
もちろん、書ききりますので、最後までお付き合い頂けましたら幸いです。
都内の、某オフィス。
封書を片手に、私は廊下をズカズカと勢い良く歩いていた。
「課長!」
自席でのん気にお茶をすすっている課長のデスクに、バンッと手を突いて封書を突きつけた。
「受理してください!」
私の勢いに押されたのか、据わった目を見て怖かったのか、課長は固まっている。
「え?これは・・・」
戸惑いつつも封書を受け取り、表に書かれた文字を見て、目を白黒させている。
「見ての通り、退職願いです」
「ちょ、ちょっと待ってよ。近藤君。どうして急に・・・理由は?」
このおっさん、もとい、課長は寝ぼけた事を聞いてきた。
「中に書いてあります。読んでください」
私はそれだけ言い放つ。
この会社に勤めて3年。
仕事に慣れてからは、あれこれ任されるようになった。
それ自体は良い事だ。
信用もされているのだろうから。
しかし、毎日の残業。
週6日勤務。
休みの日は疲れ果てて出掛ける気力もなく、死んだように過ごした。
おかげで友達とも遊びに行く事も無く、彼氏には「そんなに仕事が大事なら別れよう」と宣告された。
これは普通、女が言う台詞じゃないだろうか。
さすがに、上司に「誰か人を付けるか負担を減らして欲しい」と何度も掛け合ったが、全て徒労に終わった。
そして、臨界点を突破した私は退職を決意したのだ。
「いや、でも・・・」
「デモもストも無いです!引継ぎのためにあと一ヶ月は働きます。それ以上は無理です。会社に拒否する権利はありません!」
ごちゃごちゃ言おうとする課長の言葉を遮り、その場から立ち去った。