星の町 4
「お世話になりました、本当にありがとうございました」
私はボストンバックを担ぎながら、喫茶店の店先で頭を下げてそう言った。
「こちらこそ、カレーおいしかったです。ごちそうさまでした。気をつけて帰ってくださいね」
そう言ってくれたのは、英理さんだ。
「もう少し、いれば良いのに・・・」
北斗君は、残念そうに言った。
「ありがとね。でも、帰らなきゃ。また来ても良いかな?」
「うん。絶対だよ。今度はおれがご飯作るから」
「楽しみにしてるね」
「はい。指切りげんまん」
小指を絡ませて、北斗君と指切りをする。
そんな私達を見ながら、
「ぜひ、また来てください。冬も良いですけど、夏の星空も綺麗なんですよ。町の名前が「美星町」ですからね。夜空を見上げるには最高の町ですよ」
英理さんが言った。
「確かに、そうですね。あの星空は、本当に綺麗でしたから・・・。また、お邪魔させてもらいます」
私は笑顔で言って、「それじゃ」と付け足し、駅の方へ足を向けた。
少し歩いてから、振り返ろうか迷って、やめた。
代わりに空を見上げると、太陽の白い光がまぶしく見えた。
いい天気だ。
今夜もきっと、綺麗な星空が見られるだろう。
東京はどうだろうか。
少なからず、星は見えるかもしれない。
帰ったら、じっくり天体観測でもしてみようか。
そんな事を考えつつ、風景を眺めながら歩くと、あっという間に駅に着いた。
電車を待ちながら、両手をぐっと上に突き上げて、大きく伸びをした。
このまま、飛べそうな気がするな。
なんて馬鹿なことを思った時に、ホームに電車が滑り込んで来た。
最後に、エピローグ的なものを載せてお終いです。
あと一話、お付き合いいただければ幸いです。